
ユニック車とは? クレーン車との違いや種類・特徴、必要な免許など徹底解説!
よく耳にするユニック車、トラックとクレーンが合体した形状の車両であると意識される方が多いと思います。今回の『豆知識』ではあいまいなユニック車の定義と、クレーン車との違いや種類・特徴、必要な免許・資格などを解説します。
あまり考えることのなかったユニック車とクレーン車の違いを考え、ユニック車の独特な機能が繰り出す高い作業性能をあらためて認識したいと思います。
目次

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ユニック車とは?
ユニック車の主な活躍場所は建設現場です。平ボディのトラックにクレーンを備えたユニック車はどんな建設現場にも活躍場所があります。小回りが利くため市街地の小さな建設現場にも入り込むことが可能です。資機材を現場に運び込むばかりか、重量物の多い建設現場において資材・物資の移動・小運搬を簡単に片づけることができるのです。
そして、一番の利点は1人で作業を行えることです。そのためにもドライバーには、運転免許とクレーン運転の資格と玉掛け作業者の資格が必要です。トラックの運転とクレーン作業の二役を一人でこなします。
ユニック車は平ボディのトラックにクレーンを搭載した車両です。走行は普通のトラックと同じで、クレーン車のように走行能力が落ち、建設現場までの移動に時間がかかることはないのです。ユニック車の能力と三つの資格を持つドライバーによって効率良い作業が生み出されます。
・ユニック車とクレーン車の違いとは?
ユニック車とクレーン車、建設現場で働く皆さんには使用用途の違いからハッキリ識別できていることと思います。まずはクレーン車、クレーンを積んだ車両ですが、いわば車両型移動式クレーンです。主用途は荷の吊り上げ、そして移動です。
クレーン車の操縦者はほぼクレーンの操縦のみで玉掛け作業は別の作業員が必要です(玉掛け技能講習及び玉掛け特別教育を受け資格が必要)。それに対してユニック車は積載型トラッククレーンという呼び方が一番ふさわしいでしょう。建設資材などを積載できるトラックのキャビンと架台の間にクレーンが装備されています。操縦はユニック車のドライバーが一人で行うことも可能です。
建設資機材のストックヤードから建設現場に資機材を運び込むことも、建設現場内で資機材の小運搬による移動を行うことができるのがユニック車です。
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ユニック車の種類と特徴は?
ユニック車にはいくつかの種類があります。作業によって要求されるクレーン機能は微妙に違ってきます。その要求に応えて生まれたいくつかのユニック車の種類を紹介します。
1:ハイアウトリガー型
クレーン作業を行うユニック車には必ずアウトリガーが装着されています。ハイアウトリガー型ユニック車は通常のアウトリガーよりも張り出した先のジャッキが長く丈夫に作られています。車体が傾くほどアウトリガーを張り出して車体をより一層安定させます。高い安定性を保ちながら重量物の運搬や吊り上げ作業が可能なのがハイアウトリガー車の特徴です。
もう一つの大きな特徴は、ハイアウトリガーにより車体を傾けることによって小型のユンボを積載させることができます。小型ユンボなどの小型重機を運搬できることも大きな特徴になります。
2:キャブバック型
キャブはキャビン(運転室)のことです。トラックの車体の構造を考えると、クレーンの取付け場所は自ずと限られてきます。平ボディのトラックの場合、キャブの後方であるキャブと架台の間にクレーンを設置することが機能上においても作業のしやすさにおいても一番好ましい場所です。ユニック車にはさまざまなタイプのクレーン設置を行なった車両がありますが、一般的にこのキャブバック型がユニック車のなかで一番多いタイプです。
3:荷台内架装型
トラックの荷台内にクレーンを設置したタイプのユニック車を荷台内架装型と呼んでいます。他のユニック車と区別しやすく、『簡易クレーン』とも呼ばれています。平ボディのトラックの荷台内にクレーンが搭載されるので荷台はクレーンに場所を取られてしまい、積荷には制限も出てきてしまいます。小型車両にこの荷台内架装型ユニック車は多く、造園業や石材店などの作業車両として用いられることが多いです。
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【サイズ別】ユニック車の吊り上げ可能重量
ユニック車の吊り上げ可能重量とは、クレーンによって吊り上げることができる最大荷重のことです。用途によってサイズの違う車両はそれぞれ最適なサイズの荷を荷台に積込みます。トラックによって最適な吊上げ荷重が変わってきます。
・2tトラック
小型トラックである2tユニック車の吊り上げ荷重は、2.2〜2.63tが一般的です。吊上げ荷重はトラックのサイズで決まるのではなく、クレーンの力とアウトリガーの能力によって決まりますので、2.9tの吊上げ荷重を持つ2tユニック車もあります。小さなサイズの車両である特性を活かした、都市部での狭い建設現場での荷物の運搬や搬入・搬出に向きます。小回りが利き、狭隘道路にもスムーズに進入可能な2tユニック車は建設現場ばかりでなく、引っ越し作業での運搬やピアノなどの重量物の搬入・搬出にも重宝されます。
・4tトラック
中型トラックである4tユニック車の吊り上げ荷重は、2.63〜2.93tが一般的です。小型トラックと大きく変わらない吊上げ荷重ですが、車体は大きくなり積載量を増やすことができます。ある程度狭い現場でも、一般的な大きさの現場でも、進入可能なのが4tユニック車のサイズです。
現場内で小回りの利く能力を活かして小運搬を行なったり、資機材の搬出入を行なったりと建設現場で活躍もしつつ、店舗の棚や冷凍機、空調設備などの大型物の設置や搬入作業、造園作業の資機材搬出入や土木作業にも活躍します。
・10tトラック
大型トラックである10tユニック車の吊り上げ荷重は、2.63〜2.93tが一般的です。4tユニック車と変わらない吊上げ荷重なのは、3tを超えてしまうと安全規制が厳しくなるという事情があります。厚労省で定められた「クレーン等安全規則」が非常に厳しくなります。
ユニック車の製造者ばかりか使用者にも設置届け、落成検査、検査証の受け取りなどが必要となり、その手間と3t以上の荷の吊り上げ頻度の少なさを比較すれば、需要は落ちてしまうのです。10tトラックのサイズを活かし、大型・重量物の運搬に使われ、大規模な建設現場や工場などで活躍します。
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ユニック車を製造、販売している2大メーカー
日本国内でユニック車を製造・販売している2大メーカーがあります。古河ユニック株式会社とタダノ株式会社です。古河ユニックはユニック車の国内販売の50%以上のシェアを誇ります。古河ユニックの商標である『ユニック』が日本では積載型トラッククレーンの通称となっています。
この2社のユニック車の呼び方ですが、 古河ユニックでは『ユニッククレーン』、タダノでは『カーゴクレーン』と称しています。まったく同じものですが、各社は自社の製品情報においてタダノはクレーンの種類の一つとしてユニック車を分類し、古河ユニックではユニッククレーンとして項目を設けて分類しています。
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ユニック車で公道を走るために必要な免許
ユニック車と言えども公道を走るために必要な免許はほかのトラックと同様で車両総重量と最大積載量によって決まります。
必要になる免許 | 車両のサイズ |
普通自動車免許(2017, 3/11以前取得) | 最大積載量3t未満、車両総重量5t未満 |
普通自動車免許(2017, 3/12以降取得) | 最大積載量3.5t未満、車両総重量2t未満 |
準中型自動車免許 | 最大積載量4.5t未満、車両総重量3.5t以上7.5t未満 |
中型自動車免許 | 最大積載量6.5t未満、車両総重量5t以上11t未満 |
大型自動車免許 | 最大積載量6.5t以上、車両総重量11t以上 |
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ユニック車を操縦するために必要な免許・資格
車両としてのユニック車を運転し、目的地で操縦作業にあたるためにはクレーン作業のための免許・資格が必要になります。吊り上げる荷の重量によって受ける教育内容とその資格が変わりますのでご紹介します。
・吊り上げる荷物が0.5t~1t未満の場合
吊り上げ荷重0.5t~1t未満のクレーンの運転操作には『小型移動式クレーン運転特別教育』の講習受講が義務づけられています。事故を起こさず安全に作業を行うための知識を得るための特別教育で、誰でも受講できます。
・吊り上げる荷物が1t以上5t未満の場合
労働安全衛生法により吊り上げ荷重が1t以上5t未満の場合に『小型移動式クレーン運転技能講習』の修了が必要です。ちなみに『移動式クレーン運転士免許』の資格があればこの講習を修了せずとも操縦の業務に従事できます。
・吊り上げる荷物が5t以上の場合
吊り上げ荷重が大きくなって、少し厳しくなって実技講習・学科試験を経て『移動式クレーン運転士免許』の取得が必要です。吊り上げ荷重が3tを越えると労働安全衛生法のクレーン等安全規則が厳しくなり免許となりますが、この移動式クレーン運転士免許は国家資格です。
・吊り上げる荷物が1t以上のクレーンを使用して玉掛け作業を行う場合
吊り上げ荷重1t以上のクレーンを使用して玉掛け作業を行う場合に労働安全衛生法に定められた『玉掛け技能講習』を修了する必要があります。クレーン操縦とともに荷をクレーンの吊り具にかけたり外したりする玉掛け作業はクレーン操縦と同等に重要な作業です。
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ユニック車を選ぶ際のチェックポイント
ユニック車を選ぶ際、取得費用も大事ですがもっと重要な機能面から選択のチェックポイントをいくつか挙げてみましたので参考にしてください。
1:車両総重量
主たる作業内容によってユニック車のサイズを選定しなければなりません。重量物の揚重・輸送が多いのならば大きなサイズのユニック車を選択しなければなりません。揚重量・輸送量よりも、小回りの利く動きを必要とするならば小さなサイズのユニック車が必要となるでしょう。そして、車両総重量に合わせた運転免許が必要となります。
ユニック車を選ぶ際のチェックポイントとして行う作業内容によって必要なサイズのユニック車の車両総重量によって、必要な運転免許が異なることをよくご周知ください。
2:ラジコン装備の有無
トラックのサイズに伴う運転免許の重要性もさることながら、クレーンという特殊装置の操作を目的とするユニック車ですので、クレーン操作に関わる装備・機能は、ユニック車を選ぶ際の非常に重要なポイントとなるでしょう。クレーン操作を行うには、一般的には有線の操作スイッチが主流でしたが、無線のラジコンスイッチが今では主流になっています。
時代の流れもあるでしょうが、煩雑な建設現場での作業での操作に電線の無い無線のラジコンスイッチは非常に便利です。ドライバー単独での揚重作業が多いユニック車でラジコンの有無はとても大切なことになります。
3:アウトリガーの種類
安心・安全の揚重作業を遂行するためにはアウトリガーは不可欠です。このアウトリガーの種類の選択もユニック車を選ぶ際のチェックポイントとなります。ユニック車での車体安定装置であるアウトリガーにはいくつかの種類があります。
1.ハイアウトリガー
車体の前輪側をアウトリガーによって腕立て伏せを行なうように持上げます。自走できる建機を荷台後部から積み込み、回送することが可能です。
2.リアアウトリガー
通常のアウトリガーに加えて、荷台後方にもアウトリガーを備えたスタイルです。搭載されるアウトリガーは荷台の前後2カ所となり、4カ所を地面に固定してしっかりユニック車を支えます。
3.差し違いアウトリガー
左右のアウトリガーが前後方向にずれて格納されているアウトリガーで、長いアウトリガーを張り出すことによって安定した揚重作業を可能にします。大型ユニック車の多くはこの刺し違いアウトリガーを装備しています。
4:ブーム段数
ユニック車はブームの長さで作業半径が決まります。作業内容によってその必要半径は決まってくるでしょう。ブームが長くなるほどその先で重い荷は吊れなくなります。作業においてあらゆる場面を想定して最適なユニック車を選んでください。
ブーム段数は3段から最大7段まであります。作業能力が上がればユニック車の車体価格は当然高くなります。費用対効果を考えてユニック車を選択し、作業内容に最適なブームを考えてください。
5:クレーンの吊り上げ可能重量
クレーンの吊り上げ可能重量は、先に説明したように3tを超えてしまうと安全規制が厳しくなってしまうために、3t未満の吊り上げ荷重のユニック車が多いです。ユニック車は「車両積載形トラッククレーン」に分類され、クレーン操作には必要な資格の保有もしくは教育の受講が必要です。
・移動式クレーンの運転の業務特別教育(吊上げ荷重が1t未満)
・小型移動式クレーン運転技能講習(吊上げ荷重が1t以上5t未満)
・移動式クレーン運転士免許(吊上げ荷重が5t以上)
吊上げ荷重による免許・教育もユニック車の選択に関係するでしょう。
6:フックの収納方法
クレーンのブーム先端からぶら下がるフックの収納は今では一般的になってきましたが、以前はブームを畳んだ先にぶら下げたまま、ユニック車は走行をしていました。フックも相応の重量がある鋼鉄製の製品です。安全性の向上のためにフックは収納されるようになっています。
収納方法は、クレーンの操作パネルやリモコンを使用して行われることが一般的です。ボタンやレバーの操作によりフックを安全かつ迅速に格納することができます。フックイン機能は、作業中にフックが周囲の物や人に接触するリスク減らし、これによって安全性が向上します。ユニック車の選択の際には大いに注目すべき個所です。
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ユニック車を買い替える際には”トラックファイブ“へ
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まとめ
一般のトラックと変わらない走行機能を持つユニック車は定時に建設現場に現れ、指示通りの作業を小回りの利くボディで単独で行い、時間になれば単独で現場から去っていきます。ある意味とても優等生的なこのユニック車のことをあらためてご認識いただけたことと思います。
トラックファイブはこれからも『豆知識』で皆さまのお役に立つ情報をお届けしていきます。
