大型車両には通行禁止の道路がある?標識や通行許可について解説

全国各地には大型車両通行禁止の道路があります。さまざまな理由から設置される大型車両通行禁止の道路にはどのような標識があるのでしょうか。そして、通行禁止でも正規の手続きを行えば通行許可が認められます。 

今回の『豆知識』では大型車両を運転する際に必ず遭遇する「大型車両通行禁止」に出くわしても慌てぬように、「大型車両通行禁止」に関係する知識や関係する標識、通行許可について解説します。 

 

「金額だけ知りたい」という方もお気軽にトラックファイブにご連絡
トラック・重機・バス買取の無料査定はこちら

大型車両通行禁止の道路標識とは 

道路交通法や道路運送車両法で大型車両として定義される大型貨物自動車、大型特殊自動車、特定中型貨物自動車、大型乗用車(路線バスもしくは観光用大型バス)が大型車両の通行止めの対象車両となります。大型貨物自動車は車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上の大型トラックのことです。

大型特殊自動車は、車両構造が特殊な車両または輸送する貨物が特殊な車両であり車長、車幅、車高および車両総重量のいずれかの一般的制限値を超えてしまう車両です。橋、トンネル、高架道路等で総重量、高さのいずれかの制限値を超える車両も含まれます。車両構造が特殊なため一般的制限値のいずれかが超える車両も含まれます。
 

トラッククレーン等自走式建設機械、トレーラー連結車の特例5車種(バン型、タンク型、幌枠型、コンテナ用、自動車の運搬用)のほか、あおり型、スタンション型、船底型の追加3車種がそれに当たります。
 

特定中型自動車 とは、車両総重量が8t以上、最大積載量が5t以上 または 乗車定員が11人以上29人以下の中型自動車のことを言います。この特定中型自動車は2006(平成19)年に中型自動車が登場したことによって生まれていますそれまでは大型自動車と普通自動車の2種類しかなかったのです。 

変えられた免許の既得権利を活かすために2006(平成19)年6月1日までに普通免許を持っていた人は車両総重量8t未満、最大積載量5t未満、乗車定員10人以下の運転が認められました。それが「中型車は中型車(8t)に限る」と入った普通免許です。これを越える中型自動車が特定中型自動車です。 

 

通常、この大型車両通行止めはこれらの車両と、バスのことである大型乗用車のどちらかに指定されています。そして、大型車両通行止めの標識は狭い道路に設置されることが多いです。狭い道路への大型車両の進入は交通安全を阻害する理由があるだろうと、推測はしやすいです。しかし理由はそればかりではなく、大型トラックの走行による騒音や振動等の交通公害の影響が懸念されるなどから市街地の広い道路などでも大型車両通行止めの標識が設置される場合があるので注意が必要です。 

 

よく似た大型車両通行止めの道路標識 

大型車両通行止めの道路標識は白地の丸型プレートに赤色のマル印、青色のトラックもしくは青色のバスが描かれており、進入禁止を意味する赤色の斜線が描かれています。中には、その2台が両方とも掲示されている標識が設置された道路もあります。よく似た大型車両通行止めの道路標識の意味と違いをよく理解してください。標識をよく見れば、違いは自ずとわかります。 

標識中央に描かれている青色のトラックは大型貨物自動車であり、標識名称は「大型貨物自動車の通行止め」となっています。前項で説明した、大型貨物自動車、大型特殊自動車、特定中型貨物自動車がその対象となっています。それ以外のトラックや大型バスは進入が可能です。そして、中央に青色のバスが描かれた標識は「大型乗用自動車通行止め」です。 

大型乗用自動車とは大型バスのことで、大型バスの進入が禁止されている道路となります。中型以下のバスや、大型トラックを含む各サイズのトラックは進入可能です。 


大型車両に関係する規制の種類

大型車両に関係する規制には法定速度や通行車線などがあります。 

 

1.法定速度  

法定速度は道路交通法施行令で定められた最高速度であり、標識で制限速度が示されていない場合の最高速度となります。速度制限の表記された道路では、それが法定速度より遅くとも従わなければなりません大型貨物自動車の法定速度は一般道では60km/hです。そして大型貨物自動車の高速道路での法定速度はこれまで80km/hとなっていましたこれが2024年4月から90km/hに引き上げられました。 

一般道では普通自動車と同じ60km/hの法定速度ですが、高速道路では普通自動車の法定速度である100km/hよりも抑えられています。これは車両重量の大きな大型貨物自動車が高速道路で走行中に事故を起こせば死亡事故を含む重大事故につながる危険性が高いための措置でした。特定中型貨物自動車やトラッククレーン等自走式建設機械、トレーラー連結車の特例5車種(バン型、タンク型、幌枠型、コンテナ用、自動車の運搬用)のほか、あおり型、スタンション型、船底型の追加3車種も含まれます。

一方、大型乗用車である大型バスの一般道での法定速度は普通自動車と同じ60km/hです高速道路での法定速度も普通自動車と同じ100km/hとなっています。大型バスの高速道路での制限時速は乗用車と同じ100km/hなのです。これには理由があります。車体の性能向上などを前面に押し出したバス関係業界団体からの要望を国は聞き入れて、1965年(昭和40年)に道路交通法を改正したからです 

当時は大型トラックの事故があまりにも多く、大型貨物自動車の高速道路での法定速度100km/hは実現しませんでした2024年4月からの高速道路における大型貨物自動車の法定速度は90km/hに引き上げられ大きな社会問題解決に向けての施策でもありました。トラック運転手の不足が懸念される「物流の2024年問題」に対応するためでもあったのです。 

高速道路でのトラック事故は安全装置(リミッター)の普及が進み過去20年間で半減しました。警察庁はその結果を検討して、速度引き上げに踏み切ったのです。ただし、高速道路では法定速度以下の制限速度を標識で示し規制している区間もありますから十分注意してください。

高速道路での各車両の最高速度、最低速度を一覧表にまとめましたのでご覧ください。 

車両  法定最高速度  法定最低速度 
大型乗用自動車 

中型自動車 

普通自動車 

大型自動二輪車 

普通自動二輪車 

 

 

100km/h 

 

 

 

 

50km/h 

大型貨物自動車 

特定中型貨物自動車 

90km/h 
トレーラー 

大型特殊自動車及び三輪の自動車 

80km/h 

記載の速度は法定速度です。 

最高速度・最低速度が道路標識や表示によって指示されている場合には、その指示に従う必要があります。 

 

2. 通行車線  

大型貨物自動車には高速道路通行時に法定速度ばかりでなく、走行車線も決められています。大型貨物自動車は第1通行帯(一番左側車線)を走行してください。第2通行帯(走行車線)や第3通行帯(追い越し車線)の走行は違反となります。やむ負えない事情で他の車両を追い越す場合は、第2通行帯を利用して追い越したあと、速やかに第1通行帯に戻ってください。

「大型貨物自動車等通行帯」の標識が出ている道路では、大型トラックが追い越し車線(片側三車線での中央分離帯側・第3通行帯)を走っているのは違反となります。大型貨物自動車等通行帯の標識が出ている3車線の道路においての大型貨物車は、事故・工事・道路損壊等の理由による場合以外、第3通行帯は走行できません。そのように真面目に走行車線である第1通行帯を走るトラックを煽る車両もいないことはないようです。 

リミッターがあって、90km/hしか出ない大型貨物自動車は大きなボディーから出しているスピードよりものろのろと走っているように見えてしまい、煽りたくなるのでしょうどんな理由があろうとも、煽り運転は良くないことです。 

大型トラックが追い越し車線(片側三車線での中央分離帯側・第3通行帯)を走っているのは違反となりますが、「大型貨物自動車等通行帯」の標識が出ているケースに限ります。 

大型貨物自動車の走行車線が第1車線でない場合もあります。追い越し車線(第3通行帯)を延々と走る行為は、大型貨物車に限らず、乗用車であっても違反行為になりますが、場合によってはこの第3車線を大型貨物車の走行車線にするケースがあります。大都市圏の幹線道路では「大型貨物自動車等通行帯」の標識によって中央分離帯寄りの車線を大型貨物自動車の通行帯として指定されている場合があります。これには都市圏ならではの大きな理由があります。歩道を歩く歩行者や、幹線沿いの住民たちに大型貨物自動車の通行によって与える、騒音や振動、排気ガスによる悪影響をなるべく遠ざけるためです。 

トラックや道路などの性能は向上しているものの、安全や環境の保全に完璧はあり得ず、できることをやっていこうという自治体の対応策です。 

 

【参考】トラックの買取相場・実績一覧はこちら

【参考】トラックの全国無料出張査定依頼はこちら

【参考】LINE友達登録でトラックの買取実績・お役立ち情報を送信!無料出張査定依頼ができる!

 

「金額だけ知りたい」という方もお気軽にトラックファイブにご連絡
トラック・重機・バス買取の無料査定はこちら

大型貨物自動車等通行止めに該当する車両は

大型貨物自動車等通行止めに該当する車両は以下の3種類の自動車になります。 

貨物自動車とは貨物を運ぶための自動車であるトラックやバンのことを言い、「貨物自動車運送事業法」にもとづく「一般貨物自動車運送事業」の許可を得た有償で荷を運ぶことを認められたトラックのことを貨物自動車と言っています。この貨物自動車に加えて大型建設車両等となる大型特殊自動車が加わります。 

 

大型貨物自動車 

大型トラックである大型貨物自動車のサイズは全長12m、全幅2.5m、全高3.8m以内です。最大積載量6.5t以上車両総重量11t以上となります。大型貨物自動車等通行止めに該当します。 

 

特定中型貨物自動車

大型貨物自動車に近いこの特定中型貨物自動車も大型貨物自動車等通行止めに該当する車両です。特定中型貨物自動車のサイズは全長12m、全幅2.5m、全高3.8m以内です。最大積載量5t以上6.5t未満、車両総重量8t以上11t未満となります。改正前の免許制で車両総重量8t以上が大型自動車でしたが、変更によって11t以上が大型自動車、8t以上は中型自動車に分類され、標識では大型自動車と同等の扱いで残されています。 

 

大型特殊自動車

この大型特殊自動車も大型貨物自動車等通行止めに該当する車両です。大型特殊自動車とは油圧シャベルやブルドーザーなどの建設作業現場で働く大型建機です。全長12m以下・全幅2.5m以下・全高3.8m以下の建設車両となります。 

 

大型貨物自動車等通行止めの注意点

一般的に道路標識は原色を使いドライバーの目につきやすい場所に設置されますがすべてがそうなっていない現実もあります。特にこの大型貨物自動車通行止めの標識は狭い道路の入り口に設置されることが多いのですが、都市部においては広い道路でも、付近住民への振動や騒音の交通公害に配慮した大型貨物自動車等通行止めも少なくありません。 

物理的に大きなサイズの大型車両が通りにくいから大型貨物自動車等通行止めの可能性が高いだろうという一方的な考えは間違いを生み出してしまう可能性があるのです。広い道路、観光地や歓楽街でも大型貨物自動車等通行止めの標識の設置は十分に可能性があることです。 

 


類似標識との間違い

この大型貨物自動車等通行止めの標識と大型乗用自動車等通行止めの標識を見間違えるドライバーが意外と多いそうです。この交通標識は赤色のマル印に青色のトラック、もしくは青色のバスが描かれており、禁止を意味する赤色の斜線が打たれています。描かれている車両が通行禁止の対象車両です。 

中にはトラックとバスの両方の車両の絵が描かれている標識もあります。交通標識は一目瞭然でわかるように設計されています。よく視認して、その意味を考えて間違いのない対応をしてください。そして、本標識の下に補助標識が設置されている場合もあります。その補助標識によって、規制対象の車両が変わるため注意が必要です。補助標識によって車両の種類をより詳しく指定する場合があります。 

補助標識トラックの下に「積3t」と表記されていれば、最大積載量3t以上のトラックは通行できないのです。補助標識によって規制対象の車両が変わることをよく認識してください。 

 


バスは大型乗用車である

大型貨物自動車等通行止めの対象車両はあくまでも貨物自動車等であり大型貨物自動車特定中型貨物自動車大型特殊自動車であるということです。 

車両サイズから路線バスや観光バスの大型バスが含まれるように思われますが、大型乗用車が対象ではないのです。荷を運ぶトラックである大型貨物自動車等が対象であることを勘違いすることなく正しく認識してください。 

 

4tトラックは通行可能である 

人間はどうしても視角から入ってくる情報で、自身の脳にある知識に結びつけて答えを導きだそうとします。大型貨物自動車等通行止めの標識にあるトラックを目にして勘違いをしてしまいます。 

対象となるトラックのサイズは最大積載量5t以上か、車両総重量8t以上となるのです。最大積載量4tの中型貨物自動車よりもサイズの小さなトラックは規制の対象外であって、問題なく通行することができます。 

自身で運転するトラックの積載量を事前にチェックして、標識の規制車両となるのかを知っておき勘違いをしないようにしてください。

【参考】トラックの買取相場・実績一覧はこちら

【参考】トラックの全国無料出張査定依頼はこちら

【参考】LINE友達登録でトラックの買取実績・お役立ち情報を送信!無料出張査定依頼ができる!

 

「金額だけ知りたい」という方もお気軽にトラックファイブにご連絡
トラック・重機・バス買取の無料査定はこちら

大型貨物自動車等通行止めの道路を通るには?

大型貨物自動車等通行止めの道路ですが、緊急時であったり必然性のある理由があれば通行することは不可能ではありません。 

ただそのためには定められた手続きがあり、定められたルールを守って運行をしなければ通行許可条件違反になり、罰則や罰金が待ち受けます。正しい方法で申請を行い、大型貨物自動車等通行止めの道路を利用してください。 

その申請手続き方法、付随する罰則・罰金等を紹介します。 

 

警察署での許可申請を行う

大型貨物自動車等通行止めの道路を通行するためには所轄の警察署で許可をもらう必要があります。必然的な理由を持って通行禁止道路通行許可申請を行ってください。許可を受けることができれば通行規制区間でも通行可能になります。許可申請に必要な申請書類は下記のとおりになります。 

1.通行禁止道路通行許可申請書
2.
通行道路の経路図
3.
特殊車両通行許可証のコピー
4.
運転免許証のコピー
5.
自動車検査証のコピー

以上を所轄の警察署に持参して申請して許可を受けてください。
そして、所定の審査ののち、通行許可がおりると「通行禁止道路通行許可証」と「通行禁止道路通行許可車」の標章を交付してもらえます。
この「通行禁止道路通行許可証」と「通行禁止道路通行許可車」の標章が非常に大切です。 

 

通行許可証の携行を忘れずに

申請書類等の審査が済めば「通行禁止道路通行許可証」と「通行禁止道路通行許可車」の標章が交付されます。通行禁止区間を走行する際に大事なのはその許可証と標章を必ず携行することです。忘れて携行しなければそれは許可なく通行することと同じで違反となります。 

「通行禁止道路通行許可車」の標章は申請した車両に忘れずに備え付けて提示を求められた時には必ず「通行禁止道路通行許可証」と携行する「通行禁止道路通行許可証」を見せてください。 

ちなみに許可証、標章はトラックごとに発行されます。これは大切なことですのでくれぐれも間違いのないように準備してください。そして、せっかく通行許可を得ているにもかかわらずに許可証と標章の不携帯で通行してしまった場合には「通行許可条件違反」になります。当然のことながら、罰則・罰金が科せられてしまいます。

通行許可証の携行を忘れてしまった際の罰則・罰金 

当然罰則もあり、違反点数1点を科せられ反則金6,000円も科せられますせっかく手間と時間をかけて申請手続きをしたのにこんなうっかりがあったら目を当てることもできません。こんなケアレスミスで違反を起こすことの無いように注意してください。

標識は補助標識までよく見てそこに込められた意味を考えてそのルールを守って交通安全につとめることが大切です。大型貨物自動車等通行止めの標識の対象になる車両は、大型貨物自動車・大型特殊自動車・特定中型貨物自動車の3種類だけで、大型乗用車であるバスは通行止めの対象に含まれません。 

同じ大型車両でありながら各車両の特性やそこまで至った歴史を知らずにいれば不思議な気もしますが、簡単な過去の経緯なども頭に入れておくと標識の意味も記憶しやすくなると思います。 

 

【参考】トラックの買取相場・実績一覧はこちら

【参考】トラックの全国無料出張査定依頼はこちら

【参考】LINE友達登録でトラックの買取実績・お役立ち情報を送信!無料出張査定依頼ができる!

 

まとめ

標識の見誤りで反則金や違反点数、余計な時間を使って煩わしいストレスを背負い込まないようにして日々の業務に当たってください。

大型貨物自動車に関する過去記事をご参照ください。 

『大型貨物自動車とは?サイズや積載量から、必要な免許、通行止めの標識まで解説!』(2023.08.03記事) 

 

トラックファイブは『豆知識』でみなさまにこれからもさまざまな情報をお届けします。 

 

【参考】トラックの買取相場・実績一覧はこちら

【参考】トラックの全国無料出張査定依頼はこちら

【参考】LINE友達登録でトラックの買取実績・お役立ち情報を送信!無料出張査定依頼ができる!

「金額だけ知りたい」という方もお気軽にトラックファイブにご連絡

トラック買取の無料査定はこちら

関連記事一覧