
トラックのエンジンがかからないトラブルとは? その原因と対処法
中古トラックばかりでなく、新車でも発生がゼロとは言えないのがエンジントラブルです。その原因はさまざまで、それぞれ対処法が違います。
熟練のプロ整備士の手にかかった中古トラックであれば、新車同様にエンジントラブルの発生は極めて少ない場合もあります。しかし、納車期間の短さを求めて整備が万全でない中古トラックを購入すると、あってはならないトラブルの可能性がゼロとは言い切れません。
今回の『豆知識』では、万が一のエンジントラブルでもあわてることなく対応できるように、その原因や対処法を紹介します。
【参考】LINE友達登録でトラックの買取実績・お役立ち情報を送信!無料出張査定依頼ができる!
目次

-
豊富な実績
買取12,000台/年
-
最短即日から!
高価買取
-
日本全国無料!
出張査定
トラックのエンジンがかからない原因とは?
トラックのエンジンがかからない場合、いくつかの原因が考えられます。その原因を一つずつ紹介していきます。
エンジンがかかる条件が整わなければエンジントラブルが発生する
エンジンは内燃機関とも呼ばれ、シリンダーなどの機関内で軽油やガソリンといった燃料を爆発・燃焼させて発生した燃焼ガスをエネルギーに変えて動力を起こしています。
そのための次の3点の始動条件が整わなければエンジントラブルが発生します。
・エンジン稼働用燃料
エンジンのシリンダー内で爆発・燃焼を起こすエンジン稼働用燃料が、装置の不備やトラブルで供給されなかったり、爆発・燃焼を起こすために噴霧することができなければエンジンは始動しません。
・動力稼働用エネルギー
シリンダー内では燃料の噴霧によってピストンが爆発・燃焼を起こします。シリンダーが上下運動を続けることによって、吸気・圧縮・爆発・排気が起こり、エンジンを停止するまで続きます。この一連の動作がエンジンに不可欠な動力稼働用エネルギーを生んでいます。
・始動用動力
エンジン内のピストンは燃料の噴霧によって爆発・燃焼を起こして、上下運動のサイクルを始動させます。
エンジンとしての機能を働かせる始動用動力も欠くことのできないエンジンの始動条件の一つです。

-
豊富な実績
買取12,000台/年
-
最短即日から!
高価買取
-
日本全国無料!
出張査定
エンジンがかからない原因はセルが回る場合と回らない場合で分けられる
セルはエンジンを始動させるためのモーターです。英語ではself starter(セルフスターター)や、starter motor(スターター・モーター)と呼ばれています。
多くのトラックで採用されているディーゼルエンジンでは、シリンダー内で高圧を起こすためにクランク軸を回転させるクランキングを行わなければなりません。そのための強いトルクを発生させるのがセルモーターです。このセルが回る場合と回らない場合でエンジンがかからない原因を分けることができます。
セルが回る場合の原因に該当するもの
まずはセルが回るのにエンジンがかからない場合の原因から見ていきましょう。
・燃料供給系エンジントラブル
セルは回るのに、エンジンがかからない。一番に考えられるのはシリンダー内に燃料が届かない燃料供給系のエンジントラブルです。ガス欠や燃料供給パイプの詰まりなどの不具合、燃料フィルターの目詰まりなどがその原因として考えられます。
・電装系エンジントラブル
ディーゼルエンジンではなく、ガソリンエンジンの場合に考えられるのは、点火プラグ関連の不具合から起きる電装系エンジントラブルです。点火プラグ自体の不具合や、ケーブルの異常、ヒューズが飛んでしまっているなどの原因が考えられます。
・外的エンジントラブル
燃料供給系でも、電装系のエンジントラブルでもない場合には、外的な原因を疑ってみてください。外気温が非常に低い冬期にはセルは回るがエンジンがかからないといった状況が起きる場合があります。特に長くエンジンをかけていなかったトラックで起きる状態です。
セルが回らない場合の原因に該当するもの
続いて、セルが回らない場合の原因を見てみます。
・電源系エンジントラブル
一番に考えられる原因は電源系エンジントラブルです。バッテリーが上がってしまい、セルモーターに電力を供給できなくなった状況です。点検ではバッテリー液量を適量に保っていても、寿命があり経年劣化を起こします。点検時に電圧も計り、必要に応じて交換も必要です。
・始動用動力系エンジントラブル
始動用動力系エンジントラブルはセルモーター自体の故障です。バッテリーは正常で、インパネ内の警告灯に異常がなく、エアコンや電装品が作動する場合には、始動用動力系エンジントラブルであるセルモーターの故障を疑ってください。
【参考】LINE友達登録でトラックの買取実績・お役立ち情報を送信!無料出張査定依頼ができる!
エンジンから聞こえる異音でエンジンがかからない原因を探る
トラックのエンジンがかからない場合、その原因をエンジンから聞こえる異音で探る方法があります。
いくつかの異音とその原因を知って対処法を見つけてください。
カチカチ音がする場合
エンジン付近から聞こえる『カチカチ音』はセルモーターが正常に作動していない場合に起きる音です。ディーゼルエンジンでは、クランク軸を回転させるクランキングでシリンダー内に高圧を起こさなければなりません。そのための強いトルクを発生させるセルモーターが回り切れていない状態です。高い電圧が必要ですが、その電圧が足りていないのです。
その原因はいくつか考えられます。一番に疑うべき原因はバッテリーです。バッテリーは経年劣化する消耗品で、定期点検や車検をしっかり受けていても寿命がくれば、バッテリー液が満たされていても十分な電力を蓄えることができません。
近年の異常気象による夏期の高温や、冬期の低温で経年劣化のスピードは増します。完全に放電した状態でなくとも、バッテリーが弱くなってしまった状態では十分な電力をセルモーターに供給できず、セルは回り切らずにカチカチと音を鳴らすのです。
そして、バッテリー端子が接触不良を起こしていたり、腐食してしまって電気を送りにくい場合でも電力の十分な供給ができず、カチカチ音を発生してしまいます。
その他にも、セルモーター自体の故障やバッテリーに電力を供給するオルタネーターの故障がカチカチ音の原因となる場合もあります。
カリカリ音がする場合
カリカリ音がする場合、エンジンが軽いノッキングを起こしている状態が考えられます。ひどいノッキング状態が続くとエンジンにダメージを与えてしまいます。
そして、エンジンのオーバーヒートの可能性もありますので、原因がどちらにしても早急に整備工場で点検を受けて修理を依頼してください。
キュルキュル音がする場合
キュルキュル音はセルモーターから出る音です。元気のないキュルキュル音が聞こえてくると思います。これもまたバッテリーが弱っている場合に起きる音です。
元気よくキュルキュル音がしながらも、エンジンがかからないトラブルはガソリン車であれば点火プラグに不具合がある場合があります。シリンダー内に火花を飛ばして発火させる点火プラグを新しいものに交換することで解決できます。
ジジジ音がする場合
このジジジ音もバッテリーが原因となって起きるトラブルです。バッテリーの低電圧によって、トラックのエンジンがかからない時に出やすい音です。バッテリーの寿命などが原因であったり、エンジンのファンベルトの不具合が原因となって起きる場合があります。
出先でこのようなトラブルが起きてしまった際には、会社で提携したロードサービスに連絡し、プロの整備士の眼でトラブルの原因を探ってもらい、トラックのエンジンがかからないトラブルを対処するようにしてください。
【参考】LINE友達登録でトラックの買取実績・お役立ち情報を送信!無料出張査定依頼ができる!

-
豊富な実績
買取12,000台/年
-
最短即日から!
高価買取
-
日本全国無料!
出張査定
原因別のエンジンがかからない場合の対処法
ここまでセルモーターを中心にして、トラックのエンジンがかからないトラブルへの対処を説明してきましたが、ここからは原因別にエンジンがかからない場合の対処法を説明します。
ヒューズの破損が確認された場合
ヒューズが破損してしまえば、電気は流れずエンジンがかかりません。そもそも、ヒューズは決められた電流よりも大きな電流が流れた場合に、安全のためにヒューズ自体を溶断して電流を遮断する部品です。
トラックのヒューズを交換するのは簡単ですが、どうして過電流が流れたのかを推測しなければなりません。火災の原因にもなりかねないトラブルです。整備工場で点検を受けて過電流の原因を突き止めて、必要に応じて修理を行ってください。
外の気温が低い
冬期における外気温の低さが、トラックのエンジンがかからないトラブルにつながる場合があります。
低温はエンジンオイルを硬くしてしまいます。エンジンオイルの粘度は高まり、クランクやエンジン内のピストンを動かすのに普段よりも大きな力が必要になります。そして、冬期の低温はバッテリーの働きも弱めてしまいます。冬期には、粘度の低いエンジンオイルを使用したり、バッテリーの点検を行い、必要に応じてバッテリー液の補充や、バッテリーの交換を行ってください。仕事前に少し時間を作ってトラックの暖機運転を行うことによって、トラブルを減らすことができます。
燃料フィルターの異常
燃料フィルターに汚れが付着したりして、目詰まりを起こすとエンジンはかかりにくくなる場合があります。そして、燃料を送るポンプやその配線に、なんらかの異常があった場合にもエンジンはかかりにくくなる場合があります。燃料は満タンなのにガス欠と同じ状態になってしまいます。
燃料フィルターが故障の原因と考えられる場合には、整備工場でプロの整備士に点検してもらい、必要に応じてフィルターの交換や修理を行ってください。
バッテリーあがりが疑われる場合
バッテリーあがりが確認できた場合には、救援車両を呼んでジャンプスタートを行いバッテリーを充電してください。トラックは24V バッテリーを使用していますので、12V バッテリーを積んでいる乗用車では充電できませんので注意してください。ジャンピングスターターをトラックに積んでいれば救援車両を呼ぶことなく、バッテリーの充電を行うことができます。最悪はバッテリー交換を行うことになります。
基本的には、ブースターケーブルをトラックに積んでおくことでバッテリー上がりに対処することが可能です。
・JAFなどのロードサービスを利用する
ロードサービスを利用する対処法もあります。ロードサービスではJAF(日本自動車連盟)がよく知られていますが、JAFは乗用車専用のロードサービスを中心に行っているのでご注意ください。
JAFではロードサービス対象車種を車両重量3,000kg以下(最大積載量2,000kg以下)の対応としています。それを越えるトラックやバスには「燃料切れ」「キーの閉じこみ」のみに対応しています。会社が提携するロードサービスや加入している自動車保険のロードサービスの利用も考えてください。
セルモーターに異常がある場合
バッテリーに異常がなく、セルモーターが動かない場合は、セルモーター自体が故障している場合があります。セルモーターは消耗部品です。整備工場で整備士のプロの目で確認させて、必要に応じて交換してください。
オルタネーターの故障が疑われる場合
バッテリーに電気を充電するオルタネーターの故障は、正常なバッテリーに充電が行えなくなってしまうために、バッテリー上がりと同様な状態が起きます。
この場合にも整備士の点検で確認してもらい、修理で済まなければ、高額の費用がかかりますが交換を行ってください。
まとめ
トラックのエンジンがかからない場合に考えられる原因は、バッテリーを中心とした電気系統と、始動時に重要なセルモーターに関連してのトラブルが中心です。どちらも普段から行う点検作業で見つけることができて、未然に防ぐこともできます。
道路運送車両法で定められた定期点検や業務前に行う日常点検を大切にして、トラックのエンジンがかからないトラブルは避けるようにしたいものです。
トラックファイブは『豆知識』でこれからも皆様にさまざまな情報をお届けします。
