冷凍車・冷蔵車はどんな構造？他の箱ものトラックとの差も解説
目次
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冷凍車・冷蔵車とは？
冷凍車・冷蔵車の歴史
冷凍車・冷蔵車の歴史はそれほど古くはありません。
日本における冷凍車第一号は九州福岡市で生まれました。
第二次世界大戦後、在日駐米軍の要請に応えて苦心の末に福岡運輸の女性社長と矢野特殊自動車が冷凍車を作り上げました。
駐日している米軍の各家庭にアイスクリームを運びたいという難題に、払い下げられたトラックと冷蔵庫を研究して、低温・定温輸送が可能な冷凍車を完成させました。
そこには福岡運輸の女性社長に将来日本で冷凍車両が必ず必要になるという固い信念がありました。
そして今では女性社長の考え通り冷凍車・冷蔵車は普及し、当たり前のように生鮮食品や冷凍食品などが日本中を流通するようになりました。
冷凍・冷蔵車両は、温度管理が必要な積荷を必要な温度まで下げて、その低温を維持したままでの輸送を可能にしました。
冷凍車の種類
積荷の種類によって必要となる最適な温度がありますが、温度を下げる冷凍能力で冷凍車の種類分けをしています。
冷凍可能温度で冷凍車を『中温車』と『低温車』に種類分けしています。
＜低温車＞
低温車はマイナス25℃前後まで下げる冷凍機能を持ちます。
冷凍食品・アイスクリーム・冷凍魚介類（マグロやカツオなど）の運送で利用されます。
＜中温車＞
中温車はマイナス5℃前後まで下げる冷凍機能を持ちます。
精肉・生鮮魚介類・乳製品・野菜類・和洋菓子などの運送で利用されます。
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冷凍車の構造
名称
冷凍車・冷蔵車の形状はバンもしくはウィングタイプです。
荷台の外側は断熱仕様で、内側はアルミパネルもしくは強度が高いFRPパネルで作られています
冷凍車・冷蔵車に採用されている断熱材をサンドイッチしたパネルは、熱が伝わりにくく機密性も非常に高く、強い断熱効果を発揮します。
一般的な機械式冷凍車・冷蔵車はトラックとクーラーが合体しているような構造です。
冷却のために5つの装置が搭載されています。
- コンプレッサー：冷媒を圧縮してそのガスを送ります。
- コンデンサー：送られたガスを外気で冷やして冷媒液に変えます。
- エバポレーター：冷媒液を気化させてバンボディ内の空気を冷やします。
- ターボファン：バンボディ内の空気を循環させて全体を冷やします。
- コントローラー：ボディ内の温度管理を行います。
役割
この冷凍車・冷蔵車がなければ新鮮な野菜や冷凍食品はもちろんのこと、精密機器や薬品などの鮮度を命とする製品の輸送は不可能です。
日本の津々浦々まで、鉄道網が希薄な地域に至るまで、冷凍機能・冷蔵機能を持ったトラックが輸送することによって、私たちは何不自由なく日常生活を送ることができるのです。
冷凍車・冷蔵車が果たす大きな役割が無ければ、今の日本経済は成り立たなくなると言っても過言ではないでしょう。
冷却の仕組み
機械式
トラックに冷凍庫を架装したスタイルのトラックです。
冷却方法はクーラーと同じ原理です。
この冷凍庫を稼働させるためにエンジンから動力を得る機種と小排気量のエンジンを別途備え併せている機種があります。
輸送中に低温の定温を約束してくれる冷却装置は車両重量を増やしてしまいます。
この冷凍装置を作動させるためにコンプレッサー、コンデンサー、エバボレーター、ターボファン、コントローラーなどの装置が搭載されておりその重量分、積載量を減らさないといけないです。
また、約80％の冷凍車は、車両のエンジンを動力として使用する冷却機構を採用しています。
液体窒素式
強力な液体窒素の冷却作用を利用する方式が液体窒素式冷凍装置です。
1気圧下での液体窒素の沸点は−196 ℃です。
このタイプは冷却機能としては一番優れた冷凍車となり、液体窒素を切らせることが無い限りマイナス40℃以下の低温を持続することが可能です。
しかしながら、この原動力となる液体窒素はとても高価なものです。
蓄冷式
蓄冷式冷凍車は保冷剤となる冷凍板で庫内を冷却します。
安価な深夜電力利用や、配送していない時間帯に冷凍機を動かして保冷剤を凍結させます。
冷凍板の冷気で庫内を冷やし、配達中に低温を保つ仕組みです。
毎日の輸送を行うなか、安価な深夜電力を使えることは経営に大きなメリットになります。
単純な仕組みで故障はしにくく、エンジンを切っても庫内の温度が下がらないというメリットはありますが、長時間冷気を保てないというデメリットもあります。
輸送商品により冷凍板の装着場所が異なる3つのタイプがあります。シーリングタイプ（天井取付け型冷凍板タイプ）、サイドタイプ（サイドパネル取付け型冷凍板タイプ）、フロータイプ（強制対流ファン付きフロントパネル取付け型冷凍板タイプ）です。
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冷凍車と他の箱車の違い
冷凍車と他の箱車である冷蔵車・保冷車との違いは、冷却可能な温度と冷却機能の有無です。
低温冷凍車
低温冷凍車は冷凍車のなかで最も低い温度の管理ができます。
管理温度はマイナス15℃以下で業務用冷凍庫と同等の高い保冷却機能を持ち、アイスクリームや冷凍食品を運搬することができます。
中温冷凍車
管理温度はマイナス5℃前後です。
鮮魚や精肉など、主に生鮮食品の輸送などに活用されます。
冷蔵車
冷蔵車には、バンボディ部分に冷却機能がついていますが、保管温度の最上限が冷凍車よりも高く5℃前後です。
5℃前後に設定した管理温度で、氷点下まで冷やさないのが冷蔵車の特徴です。
冷蔵車は野菜・果物・乳製品・薬品・植物などの輸送に向きます。
家庭用冷蔵庫のように常温では保管が難しく、凍らせる必要がないものの輸送に使用されます。
そしてこの冷蔵車も外気温と関係無く常に低温を保てます。
保冷車
保冷車は、バンボディ部分に冷却機能が付いておらず、バンボディ外装の断熱構造により一定時間積荷の温度を保つことができるトラックです。
管理温度は10～20℃です。
クーラーボックスをイメージしていただければご理解いただけるかと思います。
ボディの外・内装パネル間の断熱材で、荷室の温度上昇を防ぎ定温を維持しています。
短時間・短距離の輸送に向きます。
まとめ
現在、私たちが当り前に日本全国の食材を口に出来ることは、この冷凍車・冷蔵車のおかげです。
多くの輸送業者がその鮮度・品質の保持に十分すぎるほどの注意を払って、私たちの食卓まで運んでくれていることは忘れてはならないことです。
街で見かける冷凍車・冷蔵車にさまざまな歴史があって、さまざまな思いが込められて今があることを知っていただければ幸いです。
トラックファイブは『豆知識』でこれからも皆様にさまざまな情報をお届けします。
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