ウィング車とは?メリット・デメリットと併せて車両別の特徴を紹介
貨物自動車であるトラックの作業において、走行に次いで重要な作業は貨物の積み降ろしになります。
「箱型」と呼ばれる従来型のバンボディでは、後方扉を中心に貨物の積み降ろしを行っていました。
そのバンボディの側面を跳ね上げて、パレットごと貨物の積み降ろしをフォークリフトで行うことができるようになった画期的なトラックがウィング車です。
今回の『豆知識』ではウィング車のメリット・デメリット、特徴をご紹介します。
目次
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ウィング車とは?
・素材や構造
持上げるウィングの重量が重い場合は、それによって車両総重量を引き上がってしまい、結果的に最大積載量を減らしてしまいます。
そのため、素材は軽さと強度の観点からアルミ素材のものが中心ですが、軽量化のために幌式のものや近年は炭素繊維強化プラスチックを採用したウィングも見られるようになっています。
ウィングが左右に跳ね上がり開く構造はいくつかあります。
天井中心型は、天井の中心から、左右に割れた一体となった天井と側壁が鳥の翼のように開きます。
天井固定型は、天井はそのままで側壁のみが左右に跳ね上がります。
上昇開閉型は、側面開口部の面積を広げて天井目一杯に貨物を積込むために天井が上昇します。
作業効率を上げるためにさまざまな構造のウィング車が開発されています。
・他のトラックとの違い
どのトラックも目的は貨物の運送です。
その貨物の積込み方、降ろし方の方法により、時間を大きく短縮できたのがこのウィング車でしょう。
他のトラックと貨物の積み降ろしの効率が大幅に違います。
この合理性が高く評価されて、現在ではウィング車が運送業でのトラック販売台数の一番を誇るようになっています。
また、冷蔵車、冷凍車にもウィング車が採用されるようになっています。
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メリットとデメリット
・メリット
メリットはなんと言っても貨物の積み降ろしの効率の高さです。
トラックの左右から、パレットに積んだ貨物をフォークリフトで一度に積込み、降ろすことができます。
ドライバーの負担は減り、作業時間の短縮にもつながります。
運送と違う使い方でのメリットとしては、音楽コンサートなど野外ステージとしての利用できるというメリットがあります。
事前に設備をセットしておいたウィング車は、そのウィングをオープンさせただけでステージに変身させることができるのです。
・デメリット
天井のある作業ヤードではこの開閉に制限がかかってしまい、能力を発揮することができないことがデメリットになります。
ウィング車の能力を発揮するにはトラック上部に十分な空間が必要となります。
天井にウィングをぶつけてしまう事故や、ウィングを降ろし忘れて走行して事故に至ったケースもあります。
十分な注意が必要です。
そして、このウィングを作動させるためにモーターや油圧装置が必要となり、車両総重量を増やすことになってしまいます。
このことは結果的に、最大積載量を減らすデメリットとなります。
・注意点
ウィング車の注意点は、積み降ろし作業時のウィングの開閉とともに、この開閉がいつも安定して行えるように、定期的なメンテナンスを欠かさないことです。
日常の動作確認と作業時の動作確認で異常をチェックしてください。
サイズと車両区分別荷台寸法
小型、中型、大型トラックの基準は道路運送車両法で決まっています。
各サイズのウィング車が各サイズのトラックに架装されて活躍しています。
以下の各サイズ車両の荷台寸法は日本フルハーフ株式会社のウィングボディーを参考にさせていただきました。
・小型ウィング車
小型ウィング車は、小型トラック(2・3t車)をベースに架装されますが、荷物が多量でも積み降ろしを容易に行うことができるウィング車の一番のメリットが小型車で活かされることはないです。そのせいか小型ウィング車の活用は多くはありません。
そのため、日本フルハーフがラインアップしている小型と呼称するウィング車は、業界で一般的に言う小型車(準中型車など)を指しているようです。
道路運送車両法・道路交通法で規定された小型トラックの寸法
全長 | 4.7m以内 |
全幅 | 1.7m以内 |
全高 | 2.0m以内 |
最大積載量 | 3.0t未満 |
車両総重量 | 5.0t未満 |
荷台寸法(日本フルハーフ社製)
長さ | 4,515cm |
幅 | 2,095cm |
高さ | 2,220cm |
大きくない車体は小回りが利き、市街地での走行や駐停車がしやすく、物流におけるラストワンマイルに向いています。
・中型ウィング車
中型ウィング車は中型トラック(4t車)をベースに架装されています。
道路運送車両法・道路交通法で規定された中型トラックの寸法
全長 | 12.0m以内 |
全幅 | 2.5m以内 |
全高 | 3.8m以内 |
最大積載量 | 3t以上6.5t未満 |
車両総重量 | 7.5t以上11.0t未満 |
荷台寸法(日本フルハーフ社製)
長さ | 6,385cm |
幅 | 2,320cm |
高さ | 2,400cm |
荷台寸法は大きくなり、ウィング車としてのメリットが活かされます。
・大型ウィング車
大型ウィング車は大型トラック(10t車以上)をベースに架装されています。
道路運送車両法・道路交通法で規定された大型トラックの寸法
全長 | 12.0m以内 |
全幅 | 2.5m以内 |
全高 | 3.8m以内 |
最大積載量 | 6.5t以上 |
車両総重量 | 11.0t以上 |
荷台寸法(日本フルハーフ社製)
長さ | 9,775cm |
幅 | 2,498cm |
高さ | 2,655cm |
ウィング車としてのメリットが十分活かされるトラックです。
ただし、長い車体は多くの死角を生むため運転には細心の注意が必要になります。
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免許によって運転できるウィング車は異なる
ウィング車に限らずどんな車種でも、運転の出来る車両のサイズは免許によって違ってきます。
物流業界で車両の運転に携わるのであれば、いずれは大型免許を取得したいものです。
上位資格として大型サイズ以下のトラックであれば、どれも運転することができます。
仕事の幅を広げるために大型自動車免許は物流業界で大きな力を持ちます。
運転可能な車両サイズ
必要になる免許 | 車両のサイズ |
普通自動車免許(2017/3/12以降取得) | 最大積載量2t未満、車両総重量3.5t未満 |
準中型自動車免許 | 最大積載量4.5t未満、車両総重量3.5t以上7.5t未満 |
中型自動車免許 | 最大積載量6.5t未満、車両総重量7.5t以上11t未満 |
大型自動車免許 | 最大積載量6.5t以上、車両総重量11t以上 |
まとめ
平ボディのアオリを降ろした時の左右・後方からの寄り付きのよさから生まれる積載のしやすさと、バンボディの積荷を風雨から守る堅固さをあわせ持つのがこのウィング車の特徴です。
貨物の積込み・降ろしはドライバーに頼らざるをえない場合がいまだに多く、ドライバーの仕事を不人気にしてしまっている原因ともなっているなかで、ウィング車は、業界を上げて改革しなければならない労働力不足を解決する一助になることでしょう。
すでに人気があるウィング車は、この先もますます需要を延ばしていくことが予想されます。
今回の『豆知識』で皆様にウィング車をさらに深く理解していただけたら幸いに思います。
トラックファイブは『豆知識』でこれからも皆様にさまざまな情報をお届けします。
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