トレーラーのバック運転が難しいのはなぜ?上手く停めるコツや注意点を解説
今回の『豆知識』ではトレーラーの運転操作方法を解説いたします。
ネット上の記事には多くのトレーラーの解説があり、どの記事を読んでもまずは運転の難しさから導入しています。
しかしながら、日本、いや世界中には多くのトレーラーがあり、多くのドライバーがトレーラーを運転しています。
ここではあえて『誰でも運転できるトレーラー』としたいと思います。
難しさを理解すればトレーラーバックも難しくはありません。
その他の運転方法におけるコツや注意点を解説させていただきます。
しかし、広大なアメリカ大陸やヨーロッパにおける道路事情は狭い日本とずいぶん違うかも知れませんね。
目次
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トレーラーは一般車やトラックと操作が異なる
トレーラーを一般車やトラックと同じように考えるので操作が難しいものだと思ってしまうのではないでしょうか。
トレーラーは牽引車両であってトラクターがトレーラーを牽引しているのでその操作方法は最初から一般車やトラックと同じように考えないほうがよいのかも知れません。
操作が異なるのは当り前であるという認識を持てば難しさとは違う次元のものになるのではないでしょうか。
そうは言ってもトレーラーの車体は長く、許可を受ければ全長が25mもの車体になるのです。
その長い車間に対してトラクターとトレーラーの間には1つのカップラーしかなく、その1個のカップラーでつながっている1点をトラクターで押してトレーラーのバックを行わなければなりません。
そして、長い車体にはトラックより多くの死角が潜みます。
重量ある車体も運転の難しさの理由の一つになっています。
一般車やトラックと操作が異なるトレーラー、その操作の中でも特にバックが難しいとされます。
その難しさの理由をご説明しましょう。
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トレーラーのバック運転が難しい理由
トレーラーのバック運転が難しい一番の理由は、そのサイズ・形状から起因する以下の5つの理由が考えられます。
① 連結車両であることとその長さから
② 直進でバックができないから
③ 普通の車両と運転感覚が異なるから
④ 死角が多いから
⑤ ハンドルを切る方向が異なるから
どれもがトレーラーだけにある特徴です。
これらを克服して安全にバック運転を行わなければなりません。
順番に理由を説明していきたいと思います。
① 車両が連結できて長いから
トレーラーは40フィートの海上コンテナを積むサイズで全長16m、許可を得れば最長で全長25mとなります。
セミトレーラーであろうとフルトレーラーであろうと、この長さの車両で運転するには走行道路を選ばなければなりませんし、運転に慣れるまでには時間と労力を必要とします。
ましてやこの長さの連結車両でバックをするには、これまでの一般トラックでの運転における経験と、時間をかけての慣れが必要になります。
・「折れ」と「伸び」を意識する必要がある
トラクターとトレーラーに特有の「折れ」と「伸び」を意識する必要があります。
トラクターとトレーラーの連結部分が、バックする途中で「くの字」や「逆くの字」に折れることがあります。
この状態を「折れ」と呼びます。
トレーラーのバック時にはカプラーを通してトラクターで押し進めてバックするのですがトレーラーは必ず左右どちらかに「折れ」てしまいます。
これがトレーラーのバック運転の難しさの一つです。
そして、トラクターとトレーラーをまっすぐに戻すことを「伸び」と言います。
バックの途中に「折れ」を起こし、そのたびに「伸び」で体制を戻します。その繰り返しでバック運転を行うのです。
この「折れ」と「伸び」いかに少なくするかが重要です。
② 直進でバックができないから
直進でバックができないこともトレーラーのバック運転が難しい理由になります。
トラックのようにハンドルを動かないように持っていても、そのまま真っ直ぐバックができないのがトレーラーです。
トラクターとトレーラーはカプラーの1点だけでつながっており、トラクターはカプラー部分だけを押してトレーラーをバックさせようとするのです。
ですからトレーラーは右か左に振れてバックしていってしまうのです。
そのわずかな折れを伸びで修正しながら直進でバックさせなければならない難しさがあります。
③ 普通の車両と運転感覚が異なるから
車長、重量、車両の形状などすべてにおいてトレーラーはトラックや乗用車とは違います。
普通の車両との運転感覚は異なります。
トレーラーをまっすぐバックさせるためにこの運転感覚が異なることを意識する必要があります。
ハンドルがあるトラクター全体が、一台のトレーラーの前輪だと思って運転を行う必要があります。
普通の車両のようにハンドルを切って左右に前輪を動かすことによって車両全体の方向を自分の意思の通りに動かすことがトレーラーにはできません。
トレーラーにはハンドルはもちろんのこと、左右に曲がる車輪も無いのです。
トラクターはカプラー1つを引くこと、押すことによってトレーラーを動かさなければならないのです。
④ 死角が多いから
長さに加えて連結部分で深く曲がることがあるトレーラーの死角は多いです。
バックさせる場合は備えられたバックミラーやバックモニターを使ってもまだ見えない部分が残ります。
バック時は死角だらけであることをよく理解して運転を行うことが必要です。
運転席の窓は全開にして目視の確認は十分に行い周囲の音にも注意を向けて、誘導員を利用したりと出来る限りの手段を使ってください。
これからバックする場所と運転するトレーラーの位置関係も把握してください。
死角を可能な限り生まないことにつながります。
一度駐車スペースの前を通り過ぎて、よく視認してからバックしやすい場所に頭を振って止まれば、かなりバックはしやすいでしょう。
死角を無くす方法を考えることと、絶えずトレーラーがどの場所に位置しているかをイメージすることを両方すれば、トレーラーバックの難しさは減るかも知れません。
⑤ ハンドルを切る方向が異なるから
ハンドル操作がトレーラーではトラックや乗用車とは逆になります。
このこともトレーラーのバック運転が難しくなっている原因の一つです。
運転席のあるトレーラー部分がタイヤの前輪の役割を果たしていると考えてください。
運転席のあるトレーラー部分を曲げたい方向に向ければいいのです。
この運転に慣れるまでには多少の時間はかかりますがハンドルを逆に切ることによって、運転席を進めたい方向に向けることができます。
右に曲がりたければハンドルを左に、左に曲がりたければハンドルを右に切ればよいのです。
トレーラーでバック運転をする手順
トレーラーでバック運転をする手順をご紹介します。
① まずは入口を通り過ぎて事故の危険がない程度の距離で停止してください。
② そこでハンドルを右に切ってください。
③ トレーラーが「くの形」に折れたタイミングでハンドルを戻してください。
④ 折れている角度をそのまま維持してゆっくりバックしてください。
⑤ あとは微調整しながらまっすぐバックしてください。
この手順では①の入り口を通り過ぎることを除いた②から⑤の手順はトラックや乗用車とは違い、初めのうちは戸惑うこともあるでしょう。
特に③から④のハンドルを戻すタイミングや角度を保ったままバックすることは慣れるまでは大変でしょう。
トレーラーでバック運転をするためのこれらの手順に慣れてください。
何度も練習することによって考えることなく自然に体が動くようになってください。
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トレーラーで上手にバック運転をするコツ
トレーラーで上手にバック運転をするためのコツ、気にかけたい点を挙げてみました。
①決して無理せず焦らない
②進行速度と角度の一定化
③ハンドル角度をつけすぎない
④右バックのすすめ
⑤アクセルに頼らない
⑥バックモニター等の活用
⑦運転席の窓を全開にして運転
⑧人の力を借りる
⑨内輪差をわすれない
⑩バックする進行方向の目視確認
以上のどれもが大切なトレーラーで上手にバック運転をするためのコツとなります。
日常生活で私たちが意識すること無く箸と茶碗を手にして食事をしているように身に付けて頂きたいと考えます。
それぞれの説明をさせていただきます。
① 決して無理せず焦らない
カプラー一つを引くか押すことにより移動するトレーラーはバック時にドライバーが予想しない動きをする場合があります。
スピードは決して上げずにゆっくりバックすることで、ドライバーが予想しなかった動きになった時にはすぐに停車して一度前進して調整してください。
バックしながらの調整は難しいです。
車庫入れや工場内への搬出入の場合では、他の車両・壁面・柱などがある時もあるでしょう。
強引にバックして衝突・接触事故を起こさないようにまずは停車して前進してください。
決して無理せず焦ることなく前進して体制を持ち直すことが大切です。
② 進行速度と角度の一定化
車体が長く大きいトレーラーは少しの移動でも全体の動きはとても大きくなっているものです。
バック時のハンドルは切った状態から動かすことなく、一度決めた状態で角度を保って進んでください。
速度も一定に保つことがバックを簡単にし、思わぬ動きになった時にもすぐに停車を可能にします。
バック時の進行速度と角度の一定化は非常に大切なことで、運転時の習慣となるように心がけてください。
③ ハンドル角度をつけすぎない
カプラー一つで大きなトレーラーをコントロールするために、トレーラーの動きは一般車両と違ってハンドルの少しの動きで車体を大きく曲がらせてしまうことがあります。
これがトレーラーの特徴です。
そうはならないようにハンドル角度をつけすぎないように注意して運転しなければなりません。
そして、進みながら角度をつけるのではなく、先に角度を作り、その状態のままバックするのがコツです。
④ 右バックのすすめ
視覚、聴覚を活用するためにもトレーラーの駐車時には、右バックになるよう意識してみてください。
一般車両のバック時と同じ考え方です。
運転席は右側にありますから運転席の窓を全開にすることで視野が広がる右バックのほうが、より安全にバックできます。
周囲の音も右バックのほうが聞き取りやすいです。
なるべく安全性の高い右バックを選択してください。
安全にトレーラーを駐車するためには、右バックをおすすめします。
⑤ アクセルに頼らない
これも一般車両のバック時と同じ考え方です。
トレーラーをバックさせる際もアクセルを踏み込むようなことはしません。
アクセルを多用するのではなく、クラッチワークを使ってバックすることが基本です。
体制を立て直すために一旦前進をする必要がある時にだけアクセルを使ってください。
⑥ バックモニター等の活用
とにかく巨大な車体、長い車体には死角が多いです。
自身の目視だけではなく、バック運転時にはバックモニターを活用したいものです。
死角を少しでも減らし、バックモニターに慣れて自身の頭の中でトレーラーの周囲がどのような状態であるのかを想像できるようになってください。
複数のカメラを設置するなどして、それらもあわせてトレーラー周囲の視認範囲を広げて死角を無くしてください。
しかしながら、バックモニターはあくまでも補助であり、自身の目を一番と考えてください。
バックモニターに限らず機械類への過信は事故につながる場合がありますので注意してください。
⑦ 運転席の窓を全開にしての運転
バック運転時の運転席の窓を全開にすることは非常に大切なことです。
視野は広がり、窓を閉めていては拾うことができない音を聞くこともできます。
そして、運転席の窓を全開にしても見えず、気になる場所に関してはトレーラーを降りて目視で確認してください。
当り前の安全運転のために身体を動かす労を厭わず、不安があればそのままにせず、自身の目や耳で確認することを徹底してください。
⑧ 人の力を借りる
運転は一人で行いますが、トレーラーによる材料・製品の搬出入には相手もいて、一人の作業ではありません。
巨大なトレーラーが入ってくることを関係者には周知していることでしょうから、関係者である周囲の皆さんに誘導を依頼したらいいのです。
バック運転時には第三者に合図を送ってもらい、それに合わせてバックすることで安全性は高まります。
関係者の誰もが事故無く搬出入の作業が終了することを望んでいます。
バック運転時には人の力を借りてください。
⑨ 内輪差をわすれない
車体の長いトレーラーでは当然内輪差も大きくなります。
この内輪差がバック運転を難しいものにもしています。
トレーラーの特徴ですが、進入しようとする方向の反対側にハンドルを切って、逆ハンドルの状態で進入する方法が多く使われます。
この時に注意が必要なのが、反対側にステアリングを切ることでウインカーが反対に出てしまうことです。
そのために後続の車が勘違いをして、事故につながってしまうケースもあります。
それを防ぐ対応策として、「左折します」といった音でアナウンスをするシステムを導入することもできます。
⑩ バックする進行方向の目視確認
最終的に一番信じることができるのは自身の目です。
バック運転時にはまずは必ず降車確認をしてください。
それから運転席の窓は全開にして、周囲の目視確認を怠らないでください。
トレーラーの荷はさまざまです。
ハイキューブコンテナのような背の高い荷を積んでいる場合には、使えないミラーやモニターも出てきて特に死角は多くなります。
バックする進行方向の目視確認が特に必要な場合です。
トレーラーのバック運転を練習する方法
ほとんどのトレーラーのドライバーはバックの運転練習をしてきています。
時代は変わりその練習方法も変わりつつあるようです。
①広いスペースを使う
②先輩ドライバーに同乗してもらう
③アプリ・動画でイメージトレーニングをする
どれもが効果的な練習方法であり、繰り返して練習することでバック運転のコツを習得できると思います。
そうすればあとは実際の実務での運転回数を重ねて、自身の身に付けて本物の技術にするだけです。
一つ一つの説明をいたしますのでイメージしていただいて実際の練習に活用してください。
①広いスペースを使う
巨大なトレーラーのバック運転の練習ですので、当然、広いスペースを利用してバック運転の感覚を身に付けてください。
仕事場の広い駐車場など第三者との事故を起こすことのない場所を使ってください。
トレーラーの特徴であるまっすぐにバックできないこと、カプラー一つをトラクターで押してトレーラーをバックさせること、大きな内輪差を実感してトレーラーの運転感覚を掴んでください。
②先輩ドライバーに同乗してもらう
昔からある効果的な練習方法です。
実際に日々トレーラーのハンドルを握っている先輩方からのリアルタイムでの言葉での指導は、実感もできて頭にも残りやすいと思います。
「どのようなタイミングでハンドルを回すべきか」や「どのように角度を決めるべきか」という感覚的な部分のアドバイスをしてもらえます。
助手席から言葉のアドバイスばかりでなく、必要とあらば運転操作を見せてもらうこともできます。
③アプリ・動画でイメージトレーニングをする
運送業界でもITの浸透は目覚ましく、トレーラーにおけるバックの仕方を紹介するアプリや動画も登場するようになりました。
動画はテキストを読むより理解はしやすく、アプリを使った練習はイメージトレーニングにも効果的でしょう。
バック運転のレクチャーを行うアプリもあります。
どこででもイメージトレーニングが行えることは大きなメリットかも知れません。
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バック運転で起きたトレーラーの事故事例
死角が広いトレーラーでの事故例です。
物流倉庫でコンテナを降ろすためにバック発進前に降車確認を行ったものの、バックし始めて大きな衝突音がして何かに衝突したことに気付き、急停車して降車した。
ドライバーはいつもの倉庫なので普段通りにバックしたが、その日のコンテナがハイキューブコンテナであることを完全に忘れていた。
コンテナが倉庫入り口に衝突してしまった。
馴染みの場所であり、構内が空いていたことから緊張感がかけていたことと、死角となる後部を事前に確認していなかった完全なうっかりミスによる事故例でした。
降車確認はトレーラー下部ばかりではなく、上部にも気を配らねばならず、慣れた場所でも緊張感を持ち、指差し呼称確認を行ってからバック運転を行ってください。
けん引免許を取得するには?
トレーラーの運転に必要となるけん引免許、この取得には2つの方法があります。
①教習所に通って取得する
②一発試験に合格する
それぞれを説明させていただきます。
①教習所に通って取得する
教習所に通っての取得が最も一般的な方法です。
受験資格は普通免許以上の保持です。
保有免許によって講習時間と費用は変わります。
講習時間は12時間ほどで学科試験はありません。
卒業検定に合格すれば、けん引免許をもらえます。
費用は10~18万円前後です。
地域や教習所によって費用は若干違ってきますので必ず確認してください。
②一発試験に合格する
他の検定試験にも共通する一発試験です。
各地の運転免許試験場での飛込み受験も可能です。
費用も1回約6,000円と、教習所に通う費用よりずっと安いです。
警察庁の発表で合格率は80%以上と非常に高い数値ですが、1回での合格は難しいようです。
2度や3度の受験で合格できるのであるならば一発試験にするか、教習所に通い手堅く卒業検定を目指すかは当事者の考え方次第ですね。
まとめ
トレーラーのバック運転が難しいのは必然的なことです。
トレーラーが長く大きいことや、トラクターが巨大なトレーラーをカプラー一つで操らなければならないからです。
しかしながら、訓練と慣れによってトレーラーはドライバーの意のままにコントロールできます。
トレーラーは日々仕事を共にする相棒です。
苦手意識は持たずに、私たちが日常生活で不便を感じることなく茶わんや箸を意識せずに使うように、トレーラーの運転に慣れていってください。
トラックファイブは『豆知識』でさまざまな情報を皆様にお届けしてまいります。
※関連の過去記事をご覧ください。
『セミトレーラーとは?特徴やフルトレーラーとの違い、種類、運転のコツを解説』
2023.07.20
『トレーラーヘッドとは?トレーラーヘッドを運転する時に必要な免許について』
2022.12.06
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