タイヤ交換時のホイールバランス調整とは?必要な理由やタイミング、やり方を解説

トラックの日常点検や定期点検、車検の項目にはありませんが、タイヤのホイールバランス調整はとても重要なことです。

タイヤは走行中たえず高速回転をし続けます。

わずかでも狂いがあれば、その狂いはいずれ大きくなってしまいます。

そしてその狂いから生じる異音や振動はドライバーに直接伝わり、事故につながる場合もあります。

今回の『豆知識』はタイヤ交換時のホイールバランス調整の必要性をお伝えします。

交通災害を未然に防ぐ一手段ともなります。

よくご認識いただいて交通安全にお役立てください。

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タイヤ交換で行うホイールバランス調整とは?

タイヤを交換し、ホイールにはめて車軸に取付け、バランスよく回転するように調整をすることをホイールバランス調整と言います。

実はタイヤは真円(完全な円)ではありません。

ただ取り付けたタイヤは勝手にバランスよく回転するわけではないのです。

振れのあるタイヤでそのまま走り続ければ、さまざまな異常や不具合に結びつき、最悪の場合には事故につながってしまう場合があります。

新品のタイヤを取り付ける時にはホイールバランス調整が必要です。

そして、一定距離を走行してタイヤが摩耗した時にもホイールバランス調整が必要になります。

新品のタイヤも、走行により摩耗したタイヤも決して均等な円ではないからです。

タイヤバランサー、バランスウェイト(カウンターウェイト)といった専用の測定器と専用部材で調整を行いホイールバランスの調整が取れた状態でなければ安全走行にはつながらないのです。

タイヤ交換時や一定距離を走行して行うホイールバランス調整とは定期点検に無い非常に重要な作業です。

 

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ホイールバランスの調整が必要なケース

ホイールバランスの調整が必要だとはっきりわかるケースをご紹介します。

このような場合には必ず調整を行ってください。

 

・タイヤに重量や形状のバラつきがあるから

機械が大量に作り出すタイヤは完全ではありません。

真円(完全な円)ではありません。

タイヤの360度すべての部分が同じ重量であり、形状であることが理想ですが、タイヤの製造作業で完璧な製品(タイヤ)を作り上げることはなかなか難しいことなのです。

その重量や形状のバラつきを克服するためにホイールバランスの調整が必要になります。

なお、タイヤメーカー各社は製品出荷前に検査を行い、各タイヤの個性とも言えるバラツキを目視で確認できるようにペインティングしています。

タイヤのサイドウォールにある黄色いペイントは「軽点マーク」と呼ばれる印です。

そのタイヤの一番軽い部分を示します。

そして赤色のペイントは「ユニフォミティマーク」と呼ばれ、そのタイヤで外周が一番大きな場所を示します。

ちなみにユニフォミティとは「均一性」のことです。

 

・重量バランスの差が大きいホイールを装着しているから

ホイールバランスの調整が必要なケースはタイヤに起因することばかりではありません。

タイヤを装着するホイールの影響もあるのです。

重量バランスの差が大きいホイールを装着していれば仮に真円のタイヤを装着しても完璧なバランスを取ることはできません。

ホイールバランス調整が必要になります。

この場合の原因はホイールが粗悪な製品であることが多いです。

 

・エアバルブの装着によってバランスが変わるから

空気が内部に詰まってタイヤとしての機能を果たしているタイヤには必ずエアバルブがあります。

この数十グラムのエアバルブがホイールバランスに影響を与えます。

必ず存在するエアバルブがホイールバランスに影響を与えるのは問題があるような気もしますが、重要な空気注入口で仕方が無いことなのです。

プロの整備士たちはこの数十グラムの重さを相殺させるためにバランスウェイト(カウンターウェイト)を使いますが、バランスウェイトの利用を最小限に留めるために先ほど説明した黄色いペイントの「軽点マーク」を利用して、軽点マークと合わせることによって相殺に近づけたりします。

整備士によってその方法はさまざまなようです。

 

・タイヤの摩耗が進んでいるから

タイヤの摩耗が進んでいるときにホイールバランス調整が必要になります。

タイヤの接地面の一部や片一方だけが異常に摩耗する偏摩耗は、ホイールのバランスを狂わせてしまいます。

まずは偏摩耗を起こした原因を究明することが必要です。

そして、軽度の偏摩耗であればホイールバランス調整を行う手順に進みますが、理想を言えばタイヤを交換したいものです。

重度の偏摩耗であれば、必ずタイヤ交換をしてください。

 

・バランスウェイトが外れたから

バランスウェイト(カウンターウェイト)が外れてしまったときにはすぐに整備工場に行ってください。

虫歯の治療を歯科医院で行って、治療した歯の詰め物が外れてしまったのと同じ状態です。

ホイールバランスの調整が必要なケースです。

 

ホイールバランス調整を行わないとどんな症状が出る?

ホイールバランスの調整が必要なケースでありながら、ホイールバランス調整を行わないとどんな症状が出るのかをご紹介します。

 

・ステアリングの振動

走行するタイヤの振動はステアリングに直接伝わってきます。

そしてぶるぶるとハンドルが震えだします。この症状をシミ―現象と言います。

一定の速度になると震えだすこのシミ―現象は特に高速道路の走行時にはっきりわかります。

ハンドルを取られる状態にもなりかねませんので整備士に相談してすぐの対処が必要です。

 

・車体の振動

そして、この走行するタイヤの振動はステアリングのみならずに、サスペンションを通じて車体全体に伝わってきます。

ここまで来ると非常に危険な状態で、安全走行は損なわれて事故を起こしかねません。

すぐに整備工場に行ってホイールバランス調整を行い、影響を受けたサスペンションほか車体の点検を受けてください。

 

・重要パーツの破損

ホイールバランスが狂った状態で走行を続ければシミ―現象や車体の振動ばかりで済まずに、サスペンションなどの重要パーツが破損してしまう危険性があります。

振動によるネジ類のゆるみも気になります。

ホイールバランス調整を行い、同時に各ネジ類の点検も忘れずに行うようにしてください。

 

・直進安定性の欠損

ホイールバランス調整を行わないと本来車両の持つ直進安定性が損なわれてしまいます。

ステアリングの振動とともに車両の安定した直進が難しくなる要因になります。

走行は難しく危険な状態になる可能性があります。

 

・タイヤの偏摩耗の進行

ホイールバランス調整を行わないことによって生じる振れや振動はタイヤの偏摩耗をひき起こします。

そしてそのまま走り続ければその偏摩耗を進行させてしまいます。

偏摩耗を起こしたタイヤでの安全走行は期待できず、交換が必要となり本来ならば不要の費用が発生してしまいます。

 

・寿命の短縮化

ホイールバランス調整を行わないことによって生じるシミ―現象や車体の振れ、タイヤの偏摩耗はすべてタイヤに悪影響をあたえ、タイヤの寿命を短縮化してしまいます。

本来タイヤが持つ寿命を全うさせて、早期のタイヤ交換などの余計な費用を発生させないためにもホイールバランス調整は必要なのです。

 

・燃費の悪化

ホイールバランス調整を行わないで起こり得るステアリングや車体の振動、重要パーツの破損、直進安定性の欠損、タイヤの偏摩耗の進行などはすべて燃費を悪化させてしまいます。

ホイールバランス調整を行わないことによって起因するさまざまな不具合が最終的には燃費を悪化させてしまうのです。

 

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ホイールバランス調整が必要な車種は?

ホイールバランスの調整はどの車種でも必要です。

タイヤが付いた車両であればどの車種にも必要で、特定の車種には必要ないなどということはなくどの車種であっても必要です。

 

ホイールバランス調整でも改善できないことはある?

ホイールバランス調整でもそのホイールバランスを改善できないケースもあります。

事故車の場合です。

衝突や大きな段差での衝撃で受けたシャーシや車軸の歪みがあったら、ホイールバランス調整ではなく、ホイール交換や車体の根本的な修理が必要です。

ホイールバランス調整で全てを改善できるわけではないのです。

 

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ホイールバランス調整をするタイミング

ホイールバランス調整をするタイミングは、タイヤやホイールを外した時だと考えてください。

寿命がきたタイヤを交換する場合やホイールを新しく購入した場合がホイールバランス調整が必要なタイミングです。

季節に応じての交換のタイミング、冬期にスタッドレスタイヤに交換するときにホイールはそのままでタイヤだけを交換する場合にはホイールバランス調整が必要になります。

ホイールごとの保管をして、交換を行っている場合には走行で不調を感じなければホイールバランス調整は必要ない場合もあります。

 

ホイールバランスの正しい調整方法

ホイールバランスの調整にはホイールバランサーと呼ばれる専用の点検調整機械を使用します。

このホイールバランサーにタイヤ付きのホイールを装着して、実際に公道を走るスピードの回転をさせます。

その実際に近い状態で回転しているバランスをダイナミックバランスと言い、このダイナミックバランスを点検して調整するのです。

 

実際の走行に近いホイールバランサーでの調整には調整ミスはほとんどありません。

具体的な調整方法は以下の通りです。

 

① ウェイトマッチング

ホイールの外周部にバランスウェイト(カウンターウェイト)を取り付ける一番基本的な調整方法です。

このウェイトには「打ち込みタイプ」と「貼り付けタイプ」があります。

② ラジアルマッチング、ラテラルマッチング

ホイールバランスの狂いの縦方向の調整方法がラジアルマッチングで、横方向の調整方法がラテラルマッチングです。

ラジアルマッチングとラテラルマッチング両方のバランス調整で車両は直進できるようになります。

③ フォースマッチング

走行時に道路面から受ける力が一定になるようにホイールのバランスを測定して組付けるタイヤとのベスト位置を探り出す調整方法です。

 

・調整の流れ

ホイールバランス調整の流れは、まずはホイールの歪みやへこみなどの異常を調べます。

そして古いバランスウェイト(カウンターウェイト)を取り外します。

それからタイヤの異常(傷、剥離、測定に影響のあるタイヤ溝の異物)を調べます。

その後に、ホイールバランサーにセッティングし、測定を行いその結果に応じたバランスウェイトを取り付けます。

 

・バランスウェイトの種類

バランスウェイト(カウンターウェイト)はウェイトマッチングで使う調整用の重りです。

ウェイトマッチング専用に作られたグラム単位の鉄製の重りです。

打ち付けタイプと貼り付けタイプなどがあります。

 

・タイヤの種類ごとのポイント

ランフラットタイヤのタイヤ交換は難易度が高いものとされていますが、ホイールバランス調整は一般のタイヤと同様に行えます。

スタッドレスタイヤのバランス調整はトレッドのゴムが通常のタイヤよりも柔らかく、摩耗しやすいためにホイールバランス調整は重要なものになっています。

 

ホイールバランス調整は自分でできる?

ホイールバランス調整はホイールバランサーがあればある程度はできるでしょう。

しかしながら、安価ではない水平器付きのホイールバランサーを所有することや、頻繁に使う機械ではないことを考えると自分でホイールバランス調整を行うことは現実的ではないように思われます。

高速で回転するホイールのバランス調整は知識と経験と技術が必要です。

調整ミスは事故にも直結します。

特にトラックのような大型で重量があるホイールはプロの整備士に任せることで安心ができ、安全を確実なものにするべきではないでしょうか。

 

ホイールバランス調整と併せてやりたいメンテナンス

ホイールバランス調整と併せてやりたいメンテナンスがいくつかありますのでご紹介いたします。

 

・タイヤのローテーション

車体からホイール・タイヤを外すチャンスです。

タイヤのローテーションを行ってはどうでしょうか。

タイヤの片減りや偏摩耗を防ぐためにタイヤのローテーションは有効です。

整備先に依頼すればホイールバランス調整と併せて作業してくれます。

 

・エアバルブの交換

エアバルブも消耗品です。

エアバルブの交換にはタイヤの脱着が必要なので、ホイールバランス調整と併せて行うことをルールにしておけば、エアバルブの劣化で起きる空気漏れを防ぐことができます。

 

・ホイールアライメントの調整

タイヤ・ホイールが正しい角度で装着されているかどうかのホイールアライメントの確認・調整はホイールバランス調整と併せて行うことが一番好ましいです。

 

・窒素ガスの充填・補充

タイヤの空気の自然漏洩量が少ないという理由で、近年は空気より窒素ガスの充填がトラックやバスに普及しています。

タイヤの空気の自然漏洩は避けることが出来ないもので、補充の充填頻度を減らすために窒素ガスの充填を行ってみてはどうでしょうか。

 

ホイールバランス調整にかかる費用相場と時間

ホイールバランス調整にかかる費用(工賃)の目安は下記のようになりますが、バランス調整する整備工場、カー用品ショップや地域によって価格は異なりますので実際には直接ご確認ください。

 

小型トラックで1,000円~2,000円/1本

中型トラックで2,000円~2,500円/1本

大型トラックで3,500円~4,000円/1本

 

知識と経験ある整備士がホイールバランサーを使って作業を行います。

1本あたり10分程度が時間相場のようです。

10分程度×本数です。

その時の整備場所の混み具合などでの待ち時間が整備時間に加味されるでしょう。

 

まとめ

タイヤ交換時のホイールバランス調整が必要な理由や交換タイミングやそのやり方をご理解いただけたでしょうか。

日常の運転で異常を感じたらこのホイールバランスも疑ってみてください。

タイヤ・ホイールのトラブルは重大事故につながります。

 

トラックファイブは常に皆様の交通安全を願っています。

これからも『豆知識』でさまざまな情報をお届けします。

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