大型乗用自動車の交通規制を解説!通行止め標識や違反した時の罰則、免許について
大型乗用自動車である大型バスと中型バス・マイクロバスの交通規制の解説と大型乗用自動車が関係する通行止め標識や通行止めのルールを違反した際の罰則、そして免許について今回の『豆知識』で取り上げました。
バス事業者、バス事業に関係する方ばかりでなくトラック事業者や一般の方にも大型乗用自動車の知識を知っていただき、交通安全に役立てていただきたいと思います。
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大型乗用自動車等とは
大型乗用自動車等という言葉は、道路運送車両法によって定義されています。
この『大型乗用自動車等』という言葉の『等』を外した『大型乗用自動車』の定義は、道路交通法に定められた車両総重量が11トン以上、最大積載量が6.5トン以上、乗車定員が30人以上の大型自動車を言います。
そしてこの『等』には特定中型乗用自動車が含まれます。
特定中型乗用自動車は、マイクロバスや中型バスのことを指しています。
以上の2つを合わせて『大型乗用自動車等』には大型乗用自動車である観光バスや路線バスなどの大型バスと、特定中型乗用自動車であるマイクロバスや中型バスが含まれていることになります。
※同じ大型自動車である大型貨物自動車の過去記事はこちらをご参照ください。
『大型貨物自動車とは?サイズや積載量から、必要な免許、通行止めの標識まで解説!』
(2023.08.03記事)
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大型乗用自動車等通行止めで通れない車種
大型乗用自動車等通行止めで通れない車種は前項目の説明でお分かりのように大型乗用自動車と特定中型乗用自動車とになります。
大型乗用自動車である観光バスや路線バスなどの大型バスと、特定中型乗用自動車であるマイクロバスや中型バスが大型乗用自動車等通行止めで通れない車種となります。
・そもそも通行止めの道路標識の意味とは?
通行止めの道路標識により規制する意味は、交通安全を目指して事前に危険予防や自動車の排ガスによる環境汚染防止を図るためです。
公安委員会や道路管理者がそのために設定するのが通行止めの道路標識です。
そして、すべての道路標識は一目でその意味が分かり、瞬時に警告や案内であると理解できなければなりません。
そのために通行止めの道路標識も分かりやすくデザインされ、すべてのドライバーが見落とすことが無い場所に設置されています。
① 大型乗用自動車
大型乗用自動車等通行止めで通れない車種である大型自動車は具体的には観光バスや乗合バスなどの大型バスを指しています。
車両総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上、乗員定員30名以上の乗用自動車です。
大型乗用自動車等通行止めの標識に補助標識が付随している際にはよく注意して見てください。
補助標識には時間指定があったり車両の指定があったりして、通行可能な場合もあるからです。
なお、この大型乗用自動車等通行止めの区間であってもやむをえない事情がある場合に、許可申請を所轄の警察署に出して許可を受けることによって通行は可能になります。
② 特定中型乗用自動車
大型乗用自動車等通行止め区間で通れない車種に含まれる特定中型乗用自動車は具体的にはマイクロバスや中型バスを指しています。
車両総重量8トン以上11トン未満、最大積載量5トン以上6.5トン未満、乗車定員11人以上29人未満の乗用自動車を特定中型乗用自動車としています。
大型乗用自動車等通行止めの標識は大型乗用自動車を中心に対象としているため、補助標識にこの特定中型乗用自動車であるマイクロバスを指定して「マイクロバスを除く」や時間制限があったりします。
そのために、特定中型乗用自動車は大型乗用自動車等通行止めの標識に出会った際にはよく確認することが必要です。
なお、この特別中型乗用自動車も大型乗用自動車等通行止めの標識がある区間もやむをえない事情がある場合に限って所轄の警察署の許可が取れれば通行は可能になります。
大型乗用自動車等通行止めにおける注意点
大型乗用自動車等通行止めに関する事前に周知していただいた方がよい注意点があります。
いきなり出くわしてその場で慌ててしまうことが無いように、いくつか注意点をご紹介します。
・似ている標識がある
標識には統一性を持たせたデザインがあるため、パッと見たらよく似ている、でも違うなと気づく標識が時々あります。
そのような一瞬迷ってしまう標識として、大型貨物自動車等通行止め標識があります。
バスの絵と、トラックの絵で間違いようが無いと思われる方もいらっしゃるとは思いますが、事前に知っておくか知らないで出くわしてしまうかでは、大きな違いがあります。
教習所で習っているとは思いますが、思わぬ事故を起こさないように再度ご周知ください。
・進行するには事前の通行許可が必要
大型乗用自動車等通行止め区間であっても事前に通行許可を申請して受理されれば通行をすることが可能になります。
交通安全や環境保全が通行止めの大きな理由ではありますが、地域の産業である観光などの振興が目的となってこの許可申請は認められるのでしょう。
例えば、桜の名所の京都の観光地では一般車両の通行禁止をしても大型観光バスの進入・通行を許可します。
地元の警察署に理由とともに許可申請を出す必要がありますが、許可申請を受けた特定の大型バスで観光客を運びこむことを許可することによって、進入する車両の排気ガスを減らして、乗員数の多い大型バスでの観光客の案内は地域の環境保全と観光産業の振興への協力となるでしょう。
そればかりではなく、もっと生活に身近な理由でも大型乗用自動車の通行許可申請は警察署で受け付けてもらえる場合があります。
引越しや冠婚葬祭の場合に、通行禁止区内に車庫などの車両保管場所がある時には、所轄の警察署に申請をすれば許可を受けて走行することが可能になります。
・違反すると罰則を受ける
標識の表示意味をよく理解しない、ないしは見落としてしまって大型乗用自動車等通行止め区間に進入・通行した場合は違反となり、通行禁止違反を適用されます。
反則金9,000円と違反点数2点を課されることとなります。
補助標識の表示意味もよく理解して標識全体が意図することをよく把握することが重要です。
初めて行く地域であればその地域をよく知る仲間のドライバーに聞いて事前に頭に入れておくことも大切です。
この大型乗用自動車等通行止めに関しての違反のパターンは通行禁止違反ばかりではありません。
警察から通行許可申請の許可を受けた「通行禁止道路通行許可証」と「通行禁止道路通行許可車」の標章の携行を忘れないでください。
わざわざ通行許可を得ているにもかかわらずに許可証と標章の不携帯で通行してしまった場合には「通行許可条件違反」になってしまいます。
当然罰則もあり、反則金6,000円と違反点数1点を課せられます。
せっかく手間と時間をかけてもこんなミスがあったら、目を当てることもできません。
くれぐれもこんなことで違反を起こすことが無いようにしてください。
そして、繰り返しになりますが、標識は補助標識までよく見てそこに込められた意味を考えてそのルールを守って交通安全につとめてください。
・中型トラックも通行止めの対象になる
パッと見た感じ、大型貨物自動車等通行止めの標識に似ている大型乗用自動車等通行止めの標識では当然、貨物自動車である大型貨物自動車や特定中型貨物自動車は通行出来ます。
よくあるケースですが、大型乗用自動車等通行止めの標識がある道路には、大型貨物自動車等通行止めの標識が同時に併設されていることがあります。
この場合特定中型貨物自動車である中型トラックも通行止めの対象になり、通行出来ません。
複数標識が並んでいる時には注意して標識の確認をしてください。
・その他の通行止めの標識
通行止めの標識はこの『大型乗用自動車等通行止め』以外にもいくつかあります。
その標識をこちらで紹介いたします。
・大型貨物自動車等通行止め
今回のテーマ『大型乗用自動車等通行止め』の貨物自動車版である大型貨物自動車等通行止めの標識です。
通行止めの対象となる車両は大型貨物自動車(車両総重量11トン以上、または最大積載量6.5トン以上)と大型特殊自動車(全長12m以下・全幅2.5m以下・全高3.8m以下の特殊車両、クレーンやショベルカ―などの建設車両など)、そして特定中型貨物自動車(車両総重量8トン以上11トン未満、または最大積載量が5トン以上6.5トン未満・2007年以前の免許制度での大型自動車)となります。
大型自動車が規制対象ですが、貨物自動車ではない大型乗用自動車等は通行することが可能です。
また、この標識にも補助標識が加わって対象となる貨物自動車のサイズが変わる場合があるので気を付けてください。
・通行止め
白地に赤でバッテン、しかも『通行止』の文字入りです。
最上位の通行止めの標識です。
『道路法第46条第1項の規定又は、交通法第8条第1項の道路標識によりすべての歩行者、車、路面電車の通行を禁止する』標識です。
歩行者も通行できない区間を示す標識です。
・車両通行止め
車両すべてが対象になる通行止めの標識です。
この標識には補助標識が付くことがありません。
すべての自動車と原動機付自転車、軽車両が通行することができません。
バイクはエンジンを切って歩いて押せば歩行者と見なされるので通行は可能です。
軽車両である自転車も通行止めの対象です。
この標識は工事により車両の通行が困難となる場合や歩行者天国で設置されることの多い標識です。
この白地に赤字で左上から右下に斜め線の中央に限定する車両を描き、車両を限定しての通行止めの標識がいくつかあります。
「大型乗用自動車等通行止め」、「大型貨物自動車等通行止め」、「二輪の自動車以外の自動車通行止め」、「車両(組合せ)通行止め」などがそれに当たります。
・車両進入禁止
この名称のとおり、 車両が一定の方向に進入することを禁止する標識です。
設置される場所に応じてですが、補助標識が共に設置される場合があります。
これには、通行してはいけない車両や時間帯などが表記されており、この補助標識が存在しない場合は、歩行者は該当しませんがすべての車両が全ての時間帯で進入禁止となります。
歩行者扱いとなるエンジンを切った2輪車は押して歩けば車両進入禁止の区間を通行できます。
自転車は軽車両扱いになるので、車両進入禁止区間を自転車に乗って通行することはできません。
この車両進入禁止の標識は、一方通行路の出口に設置されて「ここから」と補助標識が付き、一方通行終了地点の標識には「ここまで」と補助標識が付くことが多いです。
・二輪の自動車以外の自動車通行止め
二輪の自動車以外の自動車通行止めの名称の通り、二輪の自動車(大型自動二輪車・普通自動二輪車)と原動機付自転車以外は通行できません。
そして当然ですが、二輪の自動車以外の自動車通行止めは、普通自動車のほか大型乗用自動車等や大型貨物自動車等も通行できません。
・車両(組合せ)通行止め
道の細い住宅地域で外部からのエンジン付きの4輪・2輪自動車をすべて規制する標識です。
この車両(組合せ)通行止めにはさまざまな組み合わせがあり、特殊な道路や特殊事情に対応しています。
バイクと自転車の組合せ、自転車と自転車以外の軽車両(リアカー)、大型乗用自動車等と大型貨物自動車等との組みあわせなど他にもまだ組みあわせは存在します。
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大型乗用自動車の法定速度
大型乗用自動車の法定速度は普通自動車と同じです。
一般道で時速60㎞、高速道路で時速100㎞です。
それに比べて大型貨物自動車の法定速度は一般道で時速60㎞、高速道路で時速80㎞と大型乗用自動車のほうが優遇されています。
高速道路の区間によっては普通車の制限速度は時速120㎞に引き上げられたところもありますが、大型乗用自動車である大型バスも制限速度は時速120㎞に引き上げられています。
こちらも制限速度は時速120㎞と大型乗用自動車の方が優遇されています。
・なぜ乗用自動車と同じなのか?
どうして大型貨物自動車と大型乗用自動車の法定速度に差があるのでしょうか。
そして大型乗用自動車だけが乗用自動車の法定速度と同じなのでしょうか。
それには理由があります。
まずは、昭和30年代からバス会社やバス関連の団体が車体の性能向上などを前面に出して国に法定速度の引き上げを要望しました。
そしてその頃のトラックよりもバスの方が、事故率が低いといった事実もありました。
他の理由としては大型バスの方が重量の変化差が大きくないことも理由となっています。
この重量変化とはトラックの場合、車両総重量が空車で10トン程度でも荷物を載せると20トンと倍近い車両総重量になることもあります。
しかし、バスの場合は、仮に50人乗りとして一人平均60kgの体重でも3トン程度であり、乗客の荷物を合わせたとしても4トン程度しか重量増になりません。
この重量変化差の小ささが大型バスのブレーキや操縦性への影響が少ないだろうということも普通自動車と同じ設定をした理由になっています。
大型乗用自動車の免許について
大型乗用自動車の免許取得には、以下の条件が必要です。
① 普通自動車免許、準中型免許、中型自動車免許、大型特殊自動車免許のいずれかを取得しており、免許停止期間を除くその通算運転経歴が3年以上であること。
② 年齢が満21歳以上であること。
③ 身体条件として、視力は両眼で0.8以上、片眼で0.5以上の視力があること。また、深視力検査の平均誤差は2cm以内、赤・青・黄の色識別ができること。
があります。
大型免許を取得するには、指定教習所で教習を受ける方法と、直接、運転免許試験場で試験を受ける方法があります。
教習所に通う場合は個人により差はありますが、35万円程度かかります。
また、大型免許取得で利用できる「教育訓練給付金制度」を活用すれば、取得費用を抑えることが可能です。
かかった費用の20%相当と上限10万円というルールから7万円ほどが支給されるでしょう。
そして大型バスの場合には緑ナンバーの第二種大型自動車運転免許があります。
第二種大型自動車運転免許の取得条件は、下記の通りです。
① 年齢が満21歳以上であること。
② 第一種免許(大型、中型、普通、大特など)取得後、通算3年以上経過していること。
③ 視力は両眼で0.8以上、片眼で0.5以上、深視力2.5mの距離で平均誤差2.0cm以内、10メートルの距離で90dbの警音器の音が聞こえることなどのほか、信号機の色の赤、青、黄の色判別ができること。
以上が条件となります。
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まとめ
同じ大型自動車でありながらも大型トラックを中心とする大型貨物自動車等と大型バスを中心とする大型乗用自動車等に法定速度の違いがあるのはあらためて不思議に思いました。
そのようななか、運送業界の「2024年問題」に対応するために大型トラックの高速道路での現行の最高速度を時速80kmから引き上げることを、警察庁は有識者の検討会を設け、具体的な議論を始めることになったという前向きな話を聞くのは嬉しくもあります。
トラックファイブは『豆知識』でこれからもさまざまな情報を皆さまにお届けします。
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