普通免許で何トンまでのトラックを運転できる?運転可能なトラックの種類を解説
取得した時期によって普通免許で運転できるトラックのサイズが変わります。
普通車で運転可能なトラックのサイズを今回の『豆知識』で取り上げました。
時代の流れとトラックの利用者からの要請によって短期間に変わった道路交通法における運転免許制度の概要を説明します。
道路交通法改正でわかりにくくなっている普通免許の取得時期ごとの運転可能なトラックの種類を解説します。
目次
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トラックの最大積載量と車両総重量
世の中の流れによって自動車免許制度は改正され、普通免許の運転可能な車両区分は変わって(狭くなって)います。
2017年(平成29年)3月12日以降に取得した普通免許で運転可能なトラックの最大積載量は2トン未満、車両総重量は3.5トン未満と定められています。
この最大積載量は車両総重量-(車両重量+乗員定員数×55キロ)の計算式で算出できます。よって、この最大積載量は車両重量と乗員定員数で変わってきます。
この最大積載量、車両総重量が定められている理由は、トラックの重量によって道路の劣化は早まり、補修や再整備の必要性が出てくるためです。
そして、過重な積荷によりバランスを崩し横転する事故を未然に防ぎ、ドライバーを危険から守るためです。
車両総重量は車両や積荷の重量と乗員定員数の体重などを含めた全ての重さとなります。
車両総重量=車両重量+乗員定員数×55キロ+最大積載量の計算式で求めることが出来ます。
正確には自動車検査証で確認してください。
1キロでもオーバーすると種別外無免許運転として行政処分(免許取消しなど)として扱われますのでご注意下さい。
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普通免許でもトラックを運転できる
トラックのイメージがそうさせるのでしょうが、トラックの運転には大きなサイズの車両の運転免許が無ければできないのではないかと詳しい知識が無ければ思いがちです。
しかし、実際はそうではありません。
普通免許でもトラックを運転することは可能です。
ただ、免許を取得した時期によって運転できるトラックのサイズは変わってきます。
自動車が世に生まれてまだ140年ほどしか時間は経っていません。
その間に日本の人口は増え、車両も増え、交通事故も増えました。
そんな社会の変遷にそって道路交通法は改正され、普通免許で運転の出来るトラックは変わってきたのです。
そんな流れを頭に入れていただきこの先の業務に間違いが無いようにしてください。
普通免許でも運転できるトラックの種類
取得した時期によって変わってくる普通免許でも運転できるトラックの種類(車両総重量、最大積載量等)を確認していきます。
・2007年(H19)6/1以前に取得した普通免許で運転できるトラック
2007年(平成19年)6月1日まで自動車運転免許証の区分は普通自動車免許と大型自動車免許の2種類だけでした。
この時には車両総重量8tを境にして普通免許と大型免許の定義をしていました。
2007年(平成19年)6月1日まで普通免許を取得された方の運転可能なトラックサイズです。
車両総重量 8t未満
最大積載量 5t未満
乗車定員数 10人以下
高度成長期に定められた自動車免許制度は日本のインフラを作り上げるため、その中心となる物流・建設を大きく成長させなければなりませんでした。
物流・建設に不可欠な多くの大型車両のドライバーを養成する目的の方が交通事故防止の目的よりも先走りしていたのでしょう。
時代とともにその不具合を是正するためにトラックを運転できる運転免許の基準は変わっていきます。
・2007年(H19)6/2から2017年(H29)3/11までに取得した普通免許で運転できるトラック
普通免許の改正が2007年(H19)6/2に行われ、中型免許が創設されました。
免許区分は大型免許・中型免許・普通免許の3種類となりました。
交通量の増大から自動車事故が増えてその対応のためでした。
交通死亡事故の大半は貨物自動車で、その内訳は普通免許の上限に近い(車両総重量5~8㌧)と大型自動車の特に車両総重量 11 ㌧以上が占めていました。
そしてその理由は交通量の増大ばかりではなく、ドライバーの運転技術や知識の足りなさによるものだったのです。
この10年後に再び自動車運転免許制度は見直されます。
それまでのこの10年間に普通免許を取得された方の運転可能なトラックサイズです。
車両総重量 5t未満
最大積載量 3t未満
乗車定員数 10人以下
免許制度改正までのこの10年間に普通免許を取得された方の免許証には「5t限定準中型免許」と表示されています。
・2017年(H29)3/12以降に取得した普通免許で運転できるトラック
2017年(H29)3/12に改正された免許制度が施行され、準中型免許が新設されました。
準中型免許が道路交通法の改正により導入された経緯はドライバー不足解消が目的でした。
前回の道路交通法改正で導入された中型免許取得条件には20歳以上、経験2年以上の規定があり、そのことがドライバー不足の一因となっていました。
これで免許区分は大型免許・中型免許・準中型免許・普通免許の4種類となりました。
2017年(H29)3/12以降に取得した普通免許で運転できるトラックサイズです。
車両総重量 3.5t未満
最大積載量 2t未満
乗車定員数 10人以下
これで現在まで続いていますが、2022年(R4)5/13に大型免許と中型免許の受験資格が見直しされました。
『特例教習終了(36時限以上)、19歳以上、普通免許等保有1年以上』
となっています。
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普通免許と準中型免許・中型免許・大型免許で運転可能なトラックの違い
これまでの変遷のなか、現在にたどり着いた普通免許とその途中生まれた準中型免許、中型免許そして大型免許で運転可能なトラックの違いを説明します。
・準中型免許で運転できるトラック
2017年(H29)3/12に改正された道路交通法で生まれた準中型免許は、その10年前の改正で生まれた中型免許が20歳にならないと取得が出来ないという不具合が原因でした。
それがもとで起きていたドライバー不足の是正を目的に新設された免許が準中型免許でした。
高校を卒業して物流・建設業界などに飛び込んできた若者たちにサイズの大きなトラックの運転は出来なかったのです。
これに対しての物流・建設業界を中心とした産業界の声は大きく、10年後の改正に至ったのです。
この準中型免許の取得条件は満18歳以上の年齢であれば、普通免許を持っていなくても取得できます。
車両のサイズは車両総重量3.5~7.5t未満、最大積載量2~4.5t未満、乗車定員数10人以下です。
・中型免許で運転できるトラック
中型免許は2007年(H19)6/2の道路交通法改正時に生まれました。
取得条件は厳しく満年齢20歳以上、普通免許の保有期間2年以上となっていました。
※この取得条件は2022年に大型免許とともに緩和されています。
それまでの免許制度では普通免許と大型免許の2種類のみ、ある意味おおらかな免許制度でした。
しかしながら、この大型トラック及び普通免許での上限に近いトラック(車両総重量5~8t)の事故が多く、この中型免許が生まれたのです。
ところが、この取得条件の満年齢20歳以上、普通免許の保有期間2年以上という厳しさは高校を卒業して物流業界に飛び込んだ若者たちの中型車両以上の大きいサイズのトラックの運転を10年間も阻んだのです。
中型免許で運転できる車両のサイズは車両総重量7.5~11t未満、最大積載量4.5~6.5t未満、乗車定員数11人~29人以下です。
大型免許に次いで運転できる車両の種類の多い中型免許です。
・大型免許で運転できるトラック
大型トラック・バス、トラクターなどの運転に必要な免許です。
大型免許で運転できる車両のサイズは車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上、乗車定員数30人以上です。
この積載量にはトラックの荷台の形状・装備で各車両によって大きく違います。
形状には最も一般的な平ボディから始まりバンボディ、ウイングボディ、冷凍冷蔵トラック
ダンプトラック、タンクローリーなどがあり、その装備によってトラック1台ごとの積載量には大きな開きがあります。
免許取得条件は各サイズの車両のなかでこの大型免許が一番厳しいものでしたが、2022年(R4)5/13の道路交通法改正で中型免許とともに見直し(緩和)されています。
未成年者には門戸を閉ざしていた大型・中型免許でしたが、改正後は『特別な教習を修了した者、19歳以上かつ普通免許等保有1年以上』と、36時限の適正・技能までを含められた教習の後に19歳で受験が認められるようになりました。
普通免許の区分外のトラックを運転するとどうなる?
普通免許の区分外のトラックを運転すれば『無免許運転』になってしまいます。
無免許運転に科される罰則等は非常に厳しいものです。
・違反点数25点
・2年以上の免許取消し
・3年以下の懲役または50万円以下の罰金
以上の処分が待っています。
しかしながら、2017年(H29)3/11までに免許を取得した場合、違反を犯した車両区分によっては『無免許運転』ではなく『免許条件違反』となります。
運転免許には安全に車両を運転するために必要な『免許条件』が定められていますが、免許条件に従わず誤って車両を運転することが『免許条件違反』です。
この『免許条件違反』の罰則は違反点数2点のみであり、『無免許運転』と較べると軽いです。
2017年(H29)3/12の道路交通法改正で前日まで運転できていた車両が運転できなくなってしまったのです。
2017年(H29)3/12の道路交通法改正前の普通免許では車両総重量5t未満、最大積載量3t未満、乗車定員10名以下の車両を運転することが可能でした。
それが改正後、普通免許で運転できる車両は、車両総重量3.5トン未満、最大積載量2トン未満、乗車定員10人以下に変更されました。
これに加えて新設された準中型免許は車両総重量3.5トン以上7.5トン未満、最大積載量2トン以上4.5トン未満、乗車定員10人以下の車両を運転できます。
これを混同して2017年以前に取得した普通免許で免許条件改正後の準中型免許で定められている車両を運転した場合が『免許条件違反』に当たります。
2回の改正によって変更された運転可能範囲は勘違いしやすいため、実際運転する際に不明・不安がある場合には運転免許所センターや警察署で確認を取ってください。
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普通免許で運転できないトラックに乗るためにはどうすればいい?
免許区分から外れているトラックに乗るためには、新たに免許取得の必要があります。
普通免許で運転できないサイズの大きなトラックの運転を目指すのであれば目的に合った免許取得を目指してください。
免許取得の方法はお仕事などの生活スタイルに合わせたいくつかの方法があります。
最も最適な方法で免許を取得して目的のトラックを運転してください。
・準中型免許の取得
準中型免許取得条件の年齢は18歳(修了検定受験時)です。
身体的能力として視力は片目で0.5以上、両目で0.8以上必要です。
色の識別も必要です。
聴力では10m先の警音器の音の聞き分けが必要です。
そこまでの確認のうえ、取得の方法は普通自動車免許の取得方法と同じで、教習所利用もしくは検定試験の一発受験方法があります。
教習所での準中型免許取得の費用の目安は通学での場合35万円くらいから、合宿教習で30万円台くらいがですが、地域や時期(繁忙期・閑散期)によっての違いもありますので是非、自身で調べてみてください。
全日本トラック協会では準中型免許の新規取得と5トン限定準中型免許の限定解除のための助成事業を行っていますのでこれも調べてみてください。
『令和5年度若年ドライバー確保のための運転免許取得支援助成事業』
・中型免許の取得
中型免許の取得条件の年齢等は、2022年(R4)5/13の見直しで『特例教習終了(36時限以上)、19歳以上、普通免許等保有1年以上』となっています。
身体的能力として視力は片目で0.5以上、両目で0.8以上必要です。
色の識別も必要です。
聴力では10m先の警音器の音の聞き分けが必要です。
準中型免許の取得条件と同じです。
取得の方法は準中型免許の取得方法と同じで、教習所利用もしくは検定試験の一発受験方法があります。
普通免許を取得していれば教習所通学であれば10万円台~20万円台、合宿で10万円台ほどとなりますが、こちらも地域や時期(繁忙期・閑散期)によっての違いもありますので是非、自身で調べてみてください。
・大型免許の取得
大型免許と中型免許の受験資格が見直しされ、大型免許の取得条件の年齢等は『特例教習終了(36時限以上)、19歳以上、普通免許等保有1年以上』となっています。
身体的能力の視力・聴力も同様です。
普通免許(MT)を取得していれば通学であれば30万円台~40万円台、合宿で20万円台~30万円台ほどとなりますが、こちらも地域や時期(繁忙期・閑散期)によっての違いもありますので是非、自身で調べてみてください。
費用に関してはハローワークによる「教育訓練給付金制度」を利用するのはいかがでしょうか。
助成金には10万円という上限額がありますが、免許取得などにかかった費用の20%相当が支給されます。
安くはない費用を少しでもまかなってください。
まとめ
交通事故を無くし安全な社会を作るために多くのルールはあります。
私たちはそのルールを守りトラックを運転して日々の業務を遂行しなければなりません。
今回説明させていただいたトラックの運転免許が複雑なのは私たちの日常生活を成り立たせるためにはトラックでの輸送が不可欠だからです。
今回の普通免許で運転できるトラックの種類をよくご理解いただいて、今後の業務に役立ててください。
TRUCK BIZは『豆知識』でこれからも皆さまにさまざまな情報をお届けしていきます。
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