デリックとは?クレーンとの違いや必要資格、特徴を解説
『デリック』と耳にしてもピンとこない方も多いかも知れません。
クレーンと同じ仲間の揚重装置であり、クレーンの原型とも言えるでしょう。
現在も活躍するデリックは日本で200台ほどだそうです。
大型貨物船が荷降ろしのために寄港する波止場に建つ背の高い揚重機にもデリックはあります。
コンテナの出現で積荷の積込み荷降ろしが効率化するまでの主力の揚重機でした。
その堅固で単純な仕組みが理由でいまだに現存、活躍しています。
今回の『豆知識』ではこのデリックの特徴、クレーンとの違いや操縦に必要な資格などを解説します。
目次
-
豊富な実績
買取12,000台/年
-
最短即日から!
高価買取
-
日本全国無料!
出張査定
-
フォームに入力するだけ
デリックの特徴
デリックは動力を使って荷の揚重を行う機械装置です。
そして、その構造に特徴があります。
トラス構造に組まれた鉄骨のマストやブームが基本構造の原型を作ります。
揚重をし易くするために背の高いマストが地上に垂直に固定され、そのマストに支えられた長いブームが荷の真上に移動してブームにつたったワイヤーロープで揚重を行います。
全ての荷の移動はワイヤーロープによって巻き上げたり、弛緩したりして作業を行います。
そしてこの動力の元であるワイヤーを巻き上げるウインチがデリック本体と一体化しておらず別置されているのがデリックの大きな特徴です。
ウインチは離れた場所に備え付けられているのです。
現在主流となっているクレーンや移動式クレーンはその装置自体に動力が一体化しており、単体で吊り上げ、降しを行い荷の揚重、降しを行います。
ラフタークレーンなどの移動式クレーンは自走で荷積み・荷降ろしの場所に移動してどこででも作業に当たることが出来ます。
固定設置されたデリックにはその移動という利便は無く、トラックや船舶が荷積み・荷降ろしの可能な場所に移動しなければなりません。
-
豊富な実績
買取12,000台/年
-
最短即日から!
高価買取
-
日本全国無料!
出張査定
-
フォームに入力するだけ
デリックとクレーンの違いとは?
クレーンの定義は荷を動力を用いて吊り上げる事が一つ、そしてこの荷を水平移動させる事を目的とすることが二つ目の定義です。
デリックの定義は荷を動力を用いて吊り上げる機械装置であることです。
デリックとクレーンの大きな違いは荷の水平移動がデリックの定義の必要条件ではないのです。
そして、水平移動の出来るデリックと水平移動の出来ないデリックが存在します。
加えて、デリックのブームを稼働させるワイヤーロープを操作する原動機であるウインチが別置されているところがクレーンとの大きな違いです。
デリック本体と離れた場所にウインチが固定されており、それが原動力となるのです。
デリックと移動式クレーン車まで含めて考えてのクレーンにおける構造の大きな違いは、原動機が別置されていることのほかに油圧シリンダーの有無もあります。
油圧シリンダーを活用する移動式クレーン車がまだ登場していなかった頃から活躍して来たデリックはモーターの力とワイヤーだけで荷の揚重をして来たのです。
デリックの種類
水平移動を必ずともその定義としないデリックは揚重作業に特化した機械装置と言えるでしょう。
港湾での荷役作業や建設工事現場での重量のある積荷や資機材を吊り上げ降ろすという単純ではありながら絶対の安全の確保が要求される作業を行うためにデリックはいくつかの形態を持ちます。
・ガイデリック
ガイデリックは真っ直ぐそびえたつマストとピン結合されたブームが架台部分に支点を取って組み立てられており、マストはガイロープ(英語でguy rope:ガイは男とか奴と言った意味です。そこから頼りになるロープ→支線という意味です。)であるワイヤーロープに支えられています。
原動力となるウインチはガイデリック本体から離れた場所に据え付けられており巻き上げのほか、360度の旋回が出来ます。
この360度の旋回が出来るという、いわば平行移動が可能なのがガイデリックの大きな特徴と言えるでしょう。
しかしながら、移動式クレーンであるトラッククレーンやタワークレーンなどの台頭によってガイデリックの使用頻度は落ちてしまっていることは致し方ないのかも知れません。
・スチフレッグデリック
基礎部となる架台から垂直に伸びるマストの頂上部を2本の斜めのステーと呼ばれる支柱が支えます。
上下に稼働するブームは基礎となる架台部にマストとともにピン付けされており、支柱であるステーを伝いマストの頂上部から延びるワイヤーはブームにつながりブームを上下に操ります。
スチフレッグデリックは架台自体が円運動を出来るため、360度は無理ですが2本のステーに制限される240度までの旋回が可能です。
加えて、ガイデリックのように固定したガイロープで支えられている構造ではないので旋回の際にその下をくぐらなければならないようなブームの高さを下げる必要はありません。
・鳥居形デリック
2本のマストの頭頂部を横梁でつないで固定し、これをガイロープであるワイヤーロープで安定を保ちます。
この2本のマストと梁とで組み立てられた形が神社の鳥居に似ていることから鳥居形デリックと呼ばれています。
鳥居形デリックの特徴はその高い安定性と優れた持ち上げ能力にあります。
縦のマストは地面にしっかりと固定され、梁はその上に横たわっています。
この構造により、鳥居形デリックは重い荷物や建築材料を安全かつ効率的に持ち上げることが可能なのです。
その堅牢な構造と優れた持ち上げ能力により大型の建設材料や機械を効率的に揚重することができます。
・ジンボールデリック
ジンボールデリックは1本のマストと3本以上のガイロープで支えられています。
付属はウインチと揚重用のワイヤーロープのみの構造です。
巻き上げのみを作業する非常にシンプルな揚重装置です。
-
豊富な実績
買取12,000台/年
-
最短即日から!
高価買取
-
日本全国無料!
出張査定
-
フォームに入力するだけ
デリックを運転するための必要資格(運転士免許)と取得方法は
デリックを運転するための必要資格(運転士免許)は揚重という同種作業のクレーンとともに扱われています。
クレーン、デリックともに運転するには資格・免許が必要となりますが、これらは落とすための教育・試験を行っているのではありません。
重量物の揚重・移動という危険を伴う作業であることをしっかり認識してもらい、安全に作業を行ってもらうためのものなのです。
・クレーン・デリック運転士の免許
平成18年にクレーン運転士免許とデリック運転士免許が統合され,「クレーン・デリック運転士免許」となっています。
デリックを運転するための必要資格(運転士免許)はクレーン・デリック運転士の免許というようにクレーンとひとまとめにされています。
揚重という基本的には同様な動きを操作するクレーンとデリックです。
しっかり覚え、身につけてどちらも運転できるようになってください。
吊り上げ荷重によって操作できるクレーン・デリックの必要な免許・資格が変わります。
なお、荷の揚重の際には「玉掛け」が必ず必要となります。
この玉掛けは「クレーン・デリック運転士の免許」とはまったく別物になりますのでご注意ください。
クレーン・デリック運転に必要な免許 | 吊り上げ荷重による区分 | 関係法令 |
クレーン・デリック運転士免許(限定なし) | つり上げ荷重が5t以上 | クレーン等安全規則第22条 |
クレーン・デリック運転士免許[クレーン限定] | つり上げ荷重が5t以上 | クレーン等安全規則第22条 |
クレーン・デリック運転士免許[床上運転式クレーン限定] | つり上げ荷重が5t以上の床上運転式 | クレーン等安全規則第22条-4 |
デリック運転に必要な資格 | 吊り上げ荷重による区分 | 関係法令 |
クレーン・デリック運転士免許(旧)デリック運転士免許 | つり上げ荷重が5t以上 | クレーン等安全規則第108条 |
デリックの運転の業務特別教育 | つり上げ荷重が5t以未満 | クレーン等安全規則第107条 |
・クレーン・デリック運転士免許の取得方法について
クレーン・デリック運転士免許やデリックの運転に必要な資格は全国7ヶ所にある安全衛生技術センターで取得することが出来ます。
学科試験と実技試験がありますが、各地にある教習所・学校で「クレーン・デリック運転実技教習」を受け、修了試験を通過すれば実技試験は免除されます。
そして、免許・資格の取得を確実にするために登録教習機関(自動車免許の教習所と同じです。)を利用する方法もあります。
先に申しましたように落とすことを目的にした試験ではありません。
私たちが日常生活を送るために不可欠な物流を支えるクレーン・デリックの揚重作業です。日本の物流を停滞させること無く、事故無く安全に作業が行うことが一番の目的なのです。
まとめ
デリックは大量の荷を停滞なく動かす物流の影の立役者でした。
油圧シリンダーの登場で新しいスタイルのクレーンが登場しましたが、基本的な揚重の原理はデリックのままです。
重量物を安全に持上げる地味な作業にいまだにデリックは数こそ減りましたが無くなってはいません。
橋梁の橋桁のような超重量物の架設に新しい架設方法として取り入れられたりしています。
これはデリックの揚重力に絶対の信用がある証拠でしょう。
しかしながら、時代の遺物であるデリックが物流での揚重機としての姿が消えて無くなってしまうのは遠い未来ではないかも知れません。
TRUCK BIZの『豆知識』では皆さまのお役にたつ情報をこれからもお伝えします。
今回デリックとタンカーで運ばれるコンテナは切っても切り離すことは出来ません。
世界の三大発明の一つであるコンテナを運ぶコンテナ専用トラックの『豆知識』の過去記事もご参照ください。
トラック買取の無料査定はこちら
-
豊富な実績
買取12,000台/年
-
最短即日から!
高価買取
-
日本全国無料!
出張査定
-
WEB相談・
お問い合わせフォームに入力するだけ