ホイールクレーンとは?必要な免許や他のクレーンとの違いを解説
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ホイールクレーンとは
ホイールクレーンとは?
今回の『豆知識』では、さまざまな種類がある移動式クレーンのうち、ホイールで作業地内を移動でき、公道の走行も可能なホイールクレーンをご紹介します。
移動式クレーンの定義を一般社団法人日本クレーン協会では『動力を用いて荷を吊り上げ、これを水平に運搬することを目的とする機械装置で、原動機を内蔵し、かつ、不特定の場所に移動させることができるもの』としています。
クレーン作業に特化し、作業地内を自走で移動ができ、公道も走ることが可能で回送車を利用することなく作業現場である目的地まで到着できるのが移動式クレーンです。
ホイールクレーンの特徴
移動式クレーンはその自走方法で種別すれば、大きく二つに分けることができます。
一つはクローラークレーン、そしてもう一つがホイールクレーンです。
その自走をホイールで行うことがホイールクレーンの特徴です。
クローラーとはキャタピラーのことで、日本語では無限軌道という聞き慣れない言葉で表現されます。
キャタピラーは米国キャタピラー社の登録商標であり、そのため日本の法令(車両制限令、道路交通法施行規則等)においてはキャタピラーの変化形の表記であるカタピラという用語が用いられています。
クローラーは不整地において低速での自走は可能ですが、公道での自走は認められていません。
公道を使用しての移動には回送車が必要になります。
ホイールクレーンには速度制限はあるものの、公道での自走が可能です。
クレーン用に作られた専用の車台としっかりした移動用のタイヤを持っていることがホイールクレーンの特徴です。
公道の自走可能に加えて、ホイールは全輪駆動・全輪操舵で小回りが利き市街地での作業に向きます。
運転室が一つでクレーン操作室と同室になっており、走行とクレーン操作を一つの原動機(エンジン)で行うこともホイールクレーンの特徴の一つです。
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ホイールクレーンの運転に必要な免許
運転免許
車両としてのホイールクレーンで公道を走って移動するためには大型特殊自動車免許(第一種)とその車両サイズに合わせた自動車運転免許が必要となります。
必要になる免許 | 車両のサイズ |
普通自動車免許(2017, 3/11以前取得) | 最大積載量3t未満、車両総重量5t未満 |
普通自動車免許(2017, 3/12以降取得) | 最大積載量2t未満、車両総重量3.5t未満 |
準中型自動車免許 | 最大積載量4.5t未満、車両総重量3.5t以上7.5t未満 |
中型自動車免許 | 最大積載量6.5t未満、車両総重量7.5t以上11t未満 |
大型自動車免許 | 最大積載量6.5t以上、車両総重量11t以上 |
クレーンの資格
目的地に到着してホイールクレーンの操縦にあたるためにはクレーン作業のための資格が必要になります。
吊り上げ荷量によって資格は分かれており労働安全衛生法に定められたそれぞれの教育もしくは講習によって資格は与えられます。
- 吊り上げる荷物が5t~1t未満の場合
『小型移動式クレーン運転特別教育』の受講が必要となります。
この特別教育は事故を起こさず安全に作業を行うための知識を習得することが目的です。
- 吊り上げる荷物が1t以上5t未満の場合
『小型移動式クレーン運転技能講習』の修了が必要となります。
なお、上位資格である『移動式クレーン運転士免許』の資格があればこの講習を修了せずとも操縦の業務に従事することが可能です。
- 吊り上げる荷物が5t以上の場合
実技講習・学科試験を経て『移動式クレーン運転士免許』の取得が必要です。
吊り上げ荷重が3tを越えると労働安全衛生法のクレーン等安全規則が厳しくなり免許となりますが、この移動式クレーン運転士免許は国家資格となります。
この移動式クレーン運転士免許を取得して初めて『移動式クレーン運転士』と呼称されます。
前述の2つはそれぞれ技能講習修了者又は特別教育修了者であって、『移動式クレーン運転士』と呼称されません。
そしてホイールクレーンによる揚重作業において、ドライバーが玉掛けを行うためには、玉掛け作業者の資格が必要になります。
吊り上げ荷重1t以上のクレーンを使用して玉掛け作業を行う場合に労働安全衛生法に定められた『玉掛け技能講習』を修了する必要があります。
クレーン操縦とともに、荷をクレーンの吊り具にかけたり外したりする玉掛け作業はクレーン操縦と同等に重要な作業です。
他の移動式クレーンとの違い
ラフタークレーン(ラフテレーンクレーン)
ラフタークレーンもホイールクレーンの仲間になります。
どちらもホイールで移動できる機動性が高い移動式クレーンです。
ラフタークレーンはラフテレーンクレーンとも呼ばれます。
ラフテレーンという言葉は、英語のrough(荒れた)と terra(大地)から成り立ち、荒れた地面でも活躍できるクレーンを意味しています。
一般化している呼称のラフタークレーンは建機メーカーである加藤製作所の商標名です。
ラフタークレーンも一つの運転室で、走行の運転とクレーン操作が行えることが特徴です。
また移動における大きな特徴として、車輪の操向を状況に応じて自由に変えることができます。
2輪操向(前軸又は後軸)、4輪操向、かに操向を選択できることが可能です。
トラッククレーン
クレーン用キャリアにクレーン装置やアウトリガーを設置し、公道自走時の運転用キャビンとは別にクレーン操作用運転室を装備したものがトラッククレーンです。
建設作業現場での吊り荷作業や、流通基地での大型重量貨物の積込み・降ろしなどを含めて幅広い揚重作業を行うことができます。
積載型クレーン
キャビンと荷台の間にクレーン装置を搭載したタイプのクレーン車を積載型クレーンと称しています。
走行用のエンジンからPTOを利用して動力を取り出しクレーン装置の作動を行うもので、吊り上げ荷重が3トン未満の機種が多いです。
一般的にユニック車と呼ばれることが多いのですが、ユニックは古河ユニック株式会社の登録商標です。
ちなみにユニックの名は、ユニバーサルとクレーンの合成語です。
そして、ユニック車にはキャブバック型、ハイアウトリガー型、荷台内架装型の3種類があります。
カニクレーン
カニクレーンはその名前の通り、磯辺にいるカニにその姿が似ていることからそう呼ばれている株式会社前田製作所のクレーンです。
移動はカニのような足を折りたたんでクローラーによって行われます。
吊り能力は3tまでです。
その小ささと小回りできる機動性を活かして石材店における墓石の据え付けや、工場内での資機材や製品の揚重・移動、機械の設置作業で能力を発揮しています。
クモの足にも見える形状のアウトリガーを持つことから英語では「スパイダークレーン:spider crane」と呼ばれています。
鉄道クレーン
名称通り鉄道のレールの上を移動して鉄道関係の作業をするクレーンです。
鉄道路線での作業で一番注意しなければならないのが電化された軌道上に張られている架線です。
この架線に触れないために、一般のクレーン車のように荷を高く吊上げることを行わず、鉄道クレーンは少しだけ吊って水平に移動させることができます。
脱線した車両の復旧作業にその水平吊り能力を発揮します。
アウトリガーを張り出すことがないので、鉄道軌道に沿って設置されているポールや機器類に触れることなく作業を行うことができます。
それを可能にするために、カウンターウェイトを車体に固定させて、重量バランスを保っています。
鉄道線路内にあるさまざまな制約を解決し、クレーンの役割を果たします。
クローラークレーン
クローラーは無限軌道やキャタピラーなどとも呼ばれます。
通常の車輪では地面にめり込み走行不能となる不整地(オフロード)を自在に移動するこのクローラーは、土木作業現場・農地・砂漠などの不整地で移動を可能にするために開発されました。
クローラーは舗装道路を傷めてしまうため一般道や高速道路などの公道を走ることができません。
作業を必要とする現場までの移動には回送車両が必要になります。
浮きクレーン
クレーン船とも呼ばれる浮きクレーンは、海洋事故で沈没した船舶を引き上げたり、海上での橋梁架設時に重い橋桁や部材を吊り上げたりと、海洋での作業や工事にその力を発揮するクレーンです。
浮きクレーンには自航式と非航式とがあり、非航式浮きクレーンはタグボートに曳航され現場まで移動して作業を行います。
浮きクレーンは海上での揚重作業に欠かすことができないクレーンです。
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まとめ
人間の力には限界があります。人力のみに頼って行っていた荷積み・荷降ろし作業はクレーンの登場で一変しました。
そして、パレットやコンテナの出現はさらに揚重の必要性を高めました。
クレーンは進化を続け、現在では適材適所で活躍できるさまざまな種類のクレーンがあります。
ホイールクレーンは公道での時速制限はあるものの、自走で目的地に行きクレーン作業を行うことができる優れものです。
輸送や建設における揚重時に、ホイールクレーンの特性を理解して能力を最大限に活用してください。
トラックファイブは『豆知識』でこれからも皆様にさまざまな情報をお届けします。
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