トラックのハイルーフとは何?メリットや特徴を解説
トラックの箱型の空間に一番求められるミッションは、効率的に輸送するために必要な最大積載量ばかりではありません。
ドライバーにとって重要な居場所となるキャビンの快適さもその一つです。
キャビンはハイルーフによってより快適なものになりました。
今回の『豆知識』はこのハイルーフがどのようなものか、そしてハイルーフが生みだすメリットや特徴を解説いたします。
目次
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ハイルーフとは
ハイルーフとは?
「high:高い」と「roof:屋根」、天井が高いキャビン(運転室)を持つトラックの形状を指します。
荷台・荷室を広げるために生まれたショートキャブは、ハイルーフを採用することでキャビン内での圧迫感を感じること無くドライバーは運転ができ、快適にキャビン内で事務作業を行い、休憩時間を過ごすこともできます。
トラックメーカー各社は、このハイルーフを人間工学に基づき、これまで培った独自の経験で開発してきました。
ハイルーフによって生まれた空間を寝台として利用できる個室スペースにすると同時に、このハイルーフの形状を風除けとしての機能を果たすウインドディフレクターとしても利用しています。
いすゞ自動車では『マキシルーフ』、三菱ふそうトラック・バスでは『スーパーマルチルーフ』、日野自動車では『スーパーハイルーフ』と命名しています。
標準ルーフとの違い
標準ルーフと比較するとハイルーフは標準ルーフ上に更に設けられたスペースによって車高は高くなり、外観は重厚さを増します。
そしてハイルーフの座席は標準ルーフより高く設計されています。
視界は高い場所から広がり、運転はしやすくなりました。
このことはドライバーの疲労感を減少させて、長距離輸送を楽にしてくれます。
標準ルーフのような後部のベッドは無くなり、天井は高くキャビンの広さは格段と広くなるため運転を含めて車内での生活は楽になります。
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ハイルーフのメリット
キャビン内にゆとりがある
上部に広がったキャビン内には新たな空間が生まれ、ゆとりも生まれます。
上部空間にこれまで設けることができなかった大型コンソールボックスも設置されます。
それらの利用を腰をかがめることなくシートに立って個人の荷物の出し入れを行うことができます。
運転時間がすべてではないキャビン内での居住性が高まることは、ドライバーに優しいキャビンに進化していると言うことが出来るでしょう。
荷台部分を広くとれる
ハイルーフによってキャビン内に空間とともにゆとりも生まれながら、ショートキャブという形状でキャビンの前後の長さを縮めることが出来たために、その分ですが後部荷台・荷室を長くすることが可能となりました。
そして、荷台部分が広くなったため、積載量・積載空間を多く取れるようになりました。
休憩時間が充実する
ただ運転するだけではない広い空間では、気持ちにゆとりを持って休憩時間を過ごすことができます。
たくさん設けられたコンソールボックスには個人の日用品を収納することもできます。
広くすっきりしたキャビン内では事務作業がはかどるばかりか、休憩時間にはゆっくり食事をすることも熱いコーヒーを楽しむこともできます。
整備されたオーディオや電源もあるため、音楽やゲームなども楽しむことが可能です。
運転が快適になる
広く、ゆとりがある空間での運転は快適です。
しかも高くなった座席からの視界は非常に良く、運転の快適さに加えて心身の疲れ方も緩やかになるでしょう。
働き方改革が叫ばれるなか、ドライバーの作業環境改善にも役立つことでしょう。
ハイルーフの注意点
道路や駐車場が限定される
ドライバーの快適さにつながるハイルーフの車高がもたらすデメリットの一つです。
道路や駐車場、搬入先の倉庫などの入り口の高さに注意しなければなりません。
トンネルや鉄道高架橋など一般道路にある構築物を安全に通過するために高さ制限はあります。
ハイルーフでは通過できない、現行の道路法以前の基準に合わせた高さのトンネルや鉄道高架橋などには十分な注意が必要です。
同様に仕事先の構築物や駐車施設などには細心の注意を払ってください。
※関連過去記事
2023.05.12
周囲の車両への影響
ハイルーフのトラックは背の高いキャビン部分ばかりか、後部のバンボディーやウィングボディーもかなりの威圧感を周囲に与えます。
周囲を走る他の車両は視角が遮られ非常に見通しが悪くなります。
自身の運転も死角が大きくなり走行には注意が必要です。
価格が高価
標準ルーフに比べるとハイルーフは価格が高額になります。
しかし、考えてみればキャビンに使う部材の量は増え、広がったキャビン室内に寝室や多くのコンソールボックスなど快適用品が満載です。
費用対効果を検証すれば、価格が高額になるという言い方は正しくなくなるのかもしれません。
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ハイルーフに似たルーフ
ウインドディフレクター
ウインドディフレクターはトラックキャビンの屋根に取り付けられた三角形のパーツで
エアデフレクター、風防、導風板とも呼ばれています。
トラックのタイプでは平ボディーに取り付けられることは少なく、バンボディーやウィングボディーなどボディーが高い箱型のトラックに取り付けられています。
「導風板」の言葉通り、走行時の空気抵抗を減らすための風切り板です。
ハイルーフではこのウインドディフレクターの機能も併せ持つように形状の設計がされています。
一石二鳥のハイルーフなのです。
スーパーハイルーフ
ハイルーフをただの空間としてドライバーにゆとりを持ってもらうばかりではなく、その空間の最上部を寝室スペースとしたのがスーパーハイルーフです。
もともと『スーパーハイルーフ』は日野自動車で使っている名称です。
いすゞ自動車では『マキシルーフ』、三菱ふそうトラック・バスでは『スーパーマルチルーフ』と各社それぞれ名付けています。
まとめ
3Kと揶揄される運送業のドライバーの仕事ですが、この運送業が無くなってしまえば日本経済は成り立たたなくなってしまうのです。
この先の2024年問題の一つの解決策として、ひと昔前ならば宇宙船のコクピットかと見間違えるようなハイルーフのキャビン室内を、これから運送業に就こうと希望する若者たちに見せてはどうでしょうか。
運送業界に対する先入観は変わるかも知れません。
このハイルーフが、これからの運送業界のイメージを変えていくことも可能なのではないでしょうか。
深刻な人手不足解消に役立つ一つの手段に、この『ハイルーフ』がなってくれることを心から期待します。
トラックファイブは『豆知識』でこれからも皆様にさまざまな情報をお届けします。
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