トラックの”あおり”とは?種類やデザイン、メンテナンスのポイントや故障対策など
平ボディやダンプに無くてはならないが”あおり”です。
あおりは積荷の輸送時に安全と安心を確保し、あおりはその開閉できる機能から荷台からの積み降ろし作業を容易にします。
しかし、実用的な部品であるこのあおりも経年劣化で傷み、錆び付き外見のイメージを悪くしてしまいます。
一度、現在活躍してくれているトラックのあおりを見直してみませんか。
”あおり”の種類やデザイン、メンテナンスのポイントや故障対策などを『豆知識』で拾い上げてみました。
使い易さや外見であおりをチェンジして貴社のイメージを一新してみてはいかがでしょうか。
目次
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トラックの”あおり”とは一体何?
お預りした荷の輸送を一番の目的とする貨物自動車としてのトラックに、ある意味一番必要で大切なのは架装部分かも知れません。
目的や用途に合った最適な架装は色々ありますが、固形物から土砂などの流動体まで含めての多くの種類の積荷の輸送に対応しやすい架装を持つ車両は、屋根や天井の無い側面・後方をあおりで囲われた平ボディタイプのトラックかも知れません。
積荷の積み込み・積み降ろしはクレーンやフォークリフトで行うことが出来て、ロープで固定すれば安全に輸送ができます。
あって当たり前の囲いであるあおりはトラックの一番の目的である安全輸送のために必要なパーツです。
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トラックの”あおり”の種類は?
あおりはさまざまな素材で開発・提供されており、目的に一番合った素材・種類のあおりを選択する必要があります。
1:鋼製
平ボディ・ダンプトラックのあおりで一番オーソドックスな素材の種類になります。
加工は自在に出来て、ペインティングもお好きなようにすることが可能ですので、会社の顔にすることも可能です。
しかしながら、重量が重くなってしまいます。
大型トラックでは男性1名でも側面のあおりの開閉は危険な場合があります。
そのために数々の開閉補助器具が開発されており、女性の手でも一人で楽に開閉が可能になっています。
そして鋼製あおりはその素材である『鉄』の特性から錆びやすいです。
塗装をしたあおりですが、荷物の積み込み・荷下ろし時や輸送時のキズから腐食が始まってしまいます。
2:アルミ製
鋼製あおりの弱点の錆びやすさを解決したのがこのアルミ製あおりです。
アルミ素材という錆に強い特性を活かし、アルミの爽やかなシルバー色はスタイリッシュでトラックのイメージをよくします。
そしてアルミ素材の特徴は軽さです。
軽いアルミ製のあおりは開閉がしやすく便利なばかりではありません。
鋼製あおりよりも軽くなった分最大積載量を増やすことが出来るのです。
これはトラック事業者にとって一番ありがたいことかも知れません。
3:ステンレス製
ステンレス製のあおりもあります。
このステンレス製あおりもアルミ製あおりと同様に防錆という点はクリアしています。
耐久性にも問題は無く、加工の仕方で鋼製素材より重くならないでしょうが、価格の高さがポイントになるでしょう。
目的・用途によってそれぞれの素材の特性を活かし最適なあおりで仮装することが望ましいでしょう。
4:木製
重量は軽く、一番加工しやすい素材であり、当然価格も一番安くなります。
ただし、耐久性では一番劣ってしまい、重量物の運搬には不向きです。
農業・牧畜用の飼料や干草などの運搬に向くでしょう。
トラックの”あおり”のデザイン例
あおりにはさまざまなデザインがあります。
ただの見かけだけのデザインではなく、用途目的によって出来上がったデザインもあります。
”あおり”のデザイン例をご紹介します。
1:板チョコ
横長のあおりのデザインは構造を主に考えて、意匠が中心ではないでしょう。
多くのデザインを考えることが難しいなか、構造的にも強い板チョコレートのような形のあおりが生まれたのでしょう。
あおりの中でも背の高いものにデザインされています。
2:額縁(がくぶち)
この額縁タイプが一番一般的なあおりのデザインです。
あおりの構造の主体となる鉄部材を中心に鉄板があるシンプルなデザインです。
3:船底(ふなぞこ)
架台下部が船底のように湾曲したタイプです。
その形状にともなってアオリはフラットでなく底に向けて曲線を描きます。
そして側面のあおりは開閉せず、後方のみの一方開ゲートのトラックが多いです。
用途としては砂のような個体の流動体が多く、搬出の際にダンプのようにジャッキアップで架台を傾けるのですが、搬出物が残りにくいのが利点です。
4:面一(つらいち)
あおりの表面が一枚の鉄板のみなので面一の名称がついています。
あおりの構造の主体となる鉄部材の外部を鉄板で覆っているためにあおり表面は1枚板です。
塗装がしやすく、洗車もしやすいです。
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トラックの”あおり”の作業効率をUPさせるポイント
金属製のあおりはアルミ製に取り換えてもそれなりの重量があり、ほとんどのトラックであおりの開閉用補助具が使われています。
1:セイコーラック
このセイコーラックが一番オーソドックスなあおり開閉用補助具です。
セイコーラックにはSRC型とSRN型があります。
大型車であればSRC型、中・小型車、低床ならSRN型が向いているでしょう。
バネの力を利用しており、女性にも簡単にアオリの開閉が出来るようになります。
あおりの大きさでセイコーラックのサイズが変わりますからご注意ください。
2:スーパースケットマックス
このスーパースケットマックスもバネの力を利用したあおり開閉用補助具です。
1枚のあおりにこのスーパースケットマックスを2~3個複数個装着すれば大型トラックのあおりも片手で開閉が可能になります。
そのためこのスーパースケットマックスは大型トラックに装着されていることが多いです。
セイコーラック、アオリバランサーと同様にボルトでの取付けなので、取付穴をあけることが出来れば取付けは難しくはありません。
3:アオリバランサー
このアオリバランサーもバネの力を利用したあおり開閉用補助具です。
セイコーラックと同様で、トラックの新車購入時に標準装備として付いてくるようになっている一般的なパーツです。
トラックのあおりサイズに合わせて規格がありますので、使用するトラックのあおりのサイズに合ったものを選んでください。
アオリバランサーとセイコーラックの違いは耐用年数ですこのアオリバランサーの方が短く、耐用年数は10年と言われていますが、7~8年で正常に作動するうちに交換した方がよいでしょう。
4:コボレーン
コボレーンは「あおりシート」、「ダンプ用シート」、「自動開閉シート」などとも呼ばれています。
コボレーンはダンプには必ず装着しなければならない飛散防止装置の商品名です。
ダンプ側面アオリ上部に付いている鉄枠とシートから出来ている飛散防止装置です。
実はダンプにおいてこのコボレーンは「ダンプ規制法」で装着が義務付けられています。
ダンプ規制法とは高度成長期にあまりに多く起きたダンプの人身事故を抑制するために制定された法律で、正式名称は「土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法」です。
そのなかで安全に土砂を運搬するために、土砂などの落下や飛散を防ぐコボレーンなどの飛散防止シートの取り付けが義務付けられているのです。
コボレーンのおかげでダンプのドライバーは土砂などが荷台からこぼれ落ちる心配なく安心・安全に運転することができます。
5:方開ゲート
方開ゲート、あまり耳にすることの無い言葉ですが、
この「方開」の頭に数字を付けて「一方向に開く」、「三方向に開く」ゲートといった意味です。
一方開ゲートのトラックはダンプカーです。
後方の一方向にしかあおりであるゲートは開かず、しかもダンプの場合アオリは上部で支えられて下部から土砂を流し落とすことが出来ます。
一般的なトラックは三方開ゲートのスタイルが多いですが、大型トラックの平ボディの中には一般的制限値の全長12mを活かし10m近い荷台を設けて側面のあおりを備えることがあります。
しかしその重量の重さを考えると現実的な使用は考えることは出来ず、側面あおりを二分割、三分割する場合があります。
そのようなスタイルを「五分開ゲート」、「七分開ゲート」と呼んでいます。
トラックの”あおり”の劣化・故障原因と対処法
避けることの出来ないトラックの”あおり”の劣化や故障、しかしながらその原因を知ることでそれらを最小限にとどめて対処することは出来ます。
・経年劣化
経年劣化と聞けば誰もが避けることの出来ない仕方ないことと決めつけていないでしょうか。
SDGsが日本で叫ばれる前からトラックファイブは開発途上の国々に日本の中古トラック・建機・重機を送り出してきました。
日本で役目を果たし開発途上の国々で第二の人生をスタートさせて、それこそ動かなくなるまで乗り続けるのです。
私たちが経年劣化を理由にたいした努力もしないまま他国にバトンタッチしてしまったその後に私たちが忘れてしまった何かがあるのかも知れません。
・錆び
まず積荷が原因の錆びがあります。
また、走行中の風雨や駐車場所でも風雨は避けられないかも知れず、それも原因となります。
しかし、なるべく人為的な原因は遠ざけてください。
積荷によってあおりに傷が付き金属の地肌が出てしまえば錆びやすくなってしまいます。
日々の作業終了時に清掃し、洗車した水をしっかり切ってください。
見つけたあおりのキズはタッチアップもしくは防錆スプレーで処理してください。
日々の対応で錆びを防ぐことは出来ます。
・積荷との相性
あおりの材質と積荷との相性です。
鉄のあおりは錆びやすく、アルミのあおりはキズが付きやすいです。
木のあおりは固い材質の荷に強いですが、水には弱いです。
それぞれのあおりの特性をよく理解して、相性の合わない積荷と出会わないようにし、万が一出会ってしまったら、その後の洗車や防錆び処置を忘れずに行ってください。
・荷の積み下ろし
素材のデリケートさはアルミ製のあおりばかりではありません。
ステンレスはキズが付きやすく、鋼製あおりのダンプ車がコンクリートガラや大小の石を積んで走るようにはステンレスのあおりは行えません。
キズが付いてしまい、もとには戻せなくなってしまうからです。
積載時の積荷とあおりの相性はよく考えてください。
・運転による振動
走行中はエンジンによる微振動が続き、積荷はあおりに固定されますが、その微振動によってあおりを摩擦し続けます。
そして微細な摩擦キズは徐々に拡大し深く広がっていきます。
運転の振動であおりの連結部分にも力が加わり良くない影響を与える条件は揃います。
積荷はしっかり固縛し、更にあおりや荷台と触れ合う部分には緩衝材を噛ませてください。
・日々の点検
始業前、就業時の点検ではあおりの開き具合に異常がないかの確認も行ってください。
少しの異常でも時間の経過とともに徐々に大きく徐々に広がっていきます。
小さなキズや小さな部品のゆがみでも気付いて時間が許すならば、その日のうちに対処してください。
すぐならば、一刷毛のタッチアップで終わり、大事な修理に至らない微調整で処理できるかも知れません。
・その日のうちの清掃
日々の清掃はとても重要です。
錆びの原因を洗い流すこともできれば、洗車によって新たなキズを見つけることが出来るかも知れません。
就業時の洗車・清掃でそれまで気付けなかった異常を見つけて、より早い対処をすることで大事に至らない対応を行うことが出来ます。
・トラックの駐車場所
事前にできる最大の防御であり対処法かも知れません。
仕事中にトラックが風雨に晒されることは仕方ありませんが、駐車中・終業後に風雨に晒されることは長期間になり、長い目で見ればあおりばかりかトラックに悪影響を与えてしまいます。
可能であれば屋根付きの駐車場所で風雨に晒されない所でトラックを休ませてやりたいものです。
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故障した”あおり”の対処法・修理費用の目安
さて、実際故障してしまったあおりの対処はどうすべきでしょうか。
まずはどんな故障なのかみましょう。
積荷の輸送が原因であおり板が凹凸に変形してしまった。
この場合には板金修理と塗装が必要になります。
大きな荷重がかかり蝶番が変形し開閉を行いにくくなってしまった。
この場合には、蝶番の取換え修理と塗装、もしかしたら溶接が必要になるかも知れません。
この時点で、よほどDIYに自信があり様々な工具や、重量物の吊下げが出来るウインチがある自前の整備場でも持っていない限り、自分での修理はあきらめてください。
ではプロの整備士に依頼したらどうでしょうか。
まずは故障の程度により状況は変わります。
機能に影響がないあおり板のデコボコならば叩いて修理は可能かもしれません。
しかし、一番大事なあおりを開閉させる蝶番部分での故障ならば簡単には直せないかも知れません。
蝶番1つ1つの値段は数千円程度のことでしょうが、それをプロに依頼すれば当然工賃や経費がかかってきます。
また単純な作業ではなく多種にまたがった複合作業になりこともあります。
そして整備士の目から見たらその蝶番だけの問題ではなく車台やあおりそのものに問題があり、交換などのもっと大げさな修理に発展するかもしれません。
そうなれば、修理費用は見当つきません。
そんな場合にはまずは応急処置です。
出費可能な予算を提示して、その金額で対応してもらい早急に次の手立てを考えるべきでしょう。
その時はトラックの買取を専門業者に依頼して、買い替えをするタイミングなのかも知れません。
トラックの”あおり”は劣化対策・メンテナンスが重要
トラックのあおりには日々の点検が必要です。
細かなキズはタッチアップや防錆スプレーで対処してください。
開閉部の蝶番はグリスアップして常に動きの状態を確認してください。
日々の点検、そして即時のメンテナンス作業がじわじわと効果を表し、あおりの状態を健全に保ってくれることでしょう。
それが一番費用がかからないあおりの劣化対策になっていくことでしょう。
まとめ
トラックの重要なパーツであるあおりも他の部品と同じで日々の点検とメンテナンスによって長く健全な状態で使用できるようですね。
ただ、すべての物には使用限度があり、経年劣化を免れることは出来ません。
その見極めは難しいかも知れませんが、思い切ってトラックの乗換えを考えるのも一つの選択肢となります。
その際には是非、創業20年のトラック・重機の買取専門業者であるトラックファイブにご相談ください。
トラックファイブは『豆知識』でこれからもさまざまな情報をお届けします。
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