楽天　山岳エリアでのドローン配送に成功

楽天は９月１８日、山岳エリアでのドローン配送の実証実験に成功した、と発表した。高度差のある場所での成功例は国内で初めてだという。山岳エリアでは安全かつ短時間での物資輸送が大きな課題となっており、同社では今後、実験結果の検証などを進めていくことで、将来の実用化を目指す。

実験の飛行ルートは、長野県白馬村の白馬岳登山口にある「猿倉荘」（標高１２５０メートル）から、山頂の「白馬山荘」（同２８３２メートル）と「白馬岳頂上宿舎」（同２７３０メートル）までの片道５キロメートルで、高度差は最大で約１６００メートルに達する。実験ではドローンで桃や梨など最大５キログラムの荷物を傷つけることなく運ぶことに成功した。

従来、同区間の物資供給は、荷物を背負い、徒歩で山小屋などに荷揚げする「歩荷」で約７時間を必要としていた。一方、ヘリコプターによる荷揚げには、複雑な地形特性や天候など環境面に影響されやすく、コストも高騰しているという課題があった。これに対して、ドローンでは約１５分で輸送を完了することができた。

実証実験は「白馬村山岳ドローン物流実用化協議会」が今年８月中旬から９月中旬にかけて実施した。楽天では今後、実証実験で得た知見を全国の山岳エリアでのドローン配送ソリューションの提供拡大に向けて生かしていき、将来的には地元地域の人材が活用・運用できるオペレーション体制を確立するとともに、地域雇用の創出を目指すとしている。