トラッククレーンとラフタークレーンの違いは? それぞれの特徴と必要な免許を解説

トラッククレーンとラフタークレーンは、どちらも移動式クレーンですが、構造、用途、走行性能、必要になる免許などで明確な違いがあります。無駄のない有効な活用のためにその違いを理解してください。 

今回の『豆知識』では、これら車両の違いを紹介します。 

 

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トラッククレーンとは?

トラッククレーンとは、自走して移動できる移動式クレーンの一種です。そしてトラッククレーンは大きく3種類に分類されます。 

まず、専用のキャリアに旋回サークルとクレーン装置、アウトリガーを装備したトラッククレーンです。走行用の運転室とクレーン操作用の運転室は別に備えられています。 

2つ目は一般的にはユニック車の通称で親しまれている『車両積載形トラッククレーン』です。トラックの荷台と運転室の間に小形クレーン装置を搭載したタイプのトラッククレーンです。 

3つ目は一般的にはレッカー車と呼ばれている『レッカー形トラッククレーンです。トラックシャーシにサブフレームで補強してアウトリガーを備え、クレーン装置を架装したトラッククレーンです。 

この3種類のトラッククレーンは、移動式クレーンの中でも陸上の移動が得意な移動式クレーンです。今回の記事では1種類目の『トラッククレーン』に照準を絞り紹介していきます。 

 

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ラフタークレーンとは?

ラフタークレーンも自走して移動できる移動式クレーンの一種です。ラフタークレーンはラフテレーンクレーンとも呼ばれいます。このラフテレーンクレーンは加藤製作所の商標です。rough terrain crane(不整地のクレーン)と呼ばれるように不整地でも自走できる走行機能が大きな特徴です。
大型の4輪は全輪駆動・全輪操舵が可能で、自在に移動することができます。ラフタークレーンは、大型特殊自動車に分類され、作業現場まで公道を自走で移動できるのでキャタピラー式のクローラークレーンや大型のオールテレーンクレーンのように回送車は必要ありません。自走で現地に到着後、クレーン部分の組み立ての作業がなく、すぐに揚重作業に着手できます。そして仕事が終わればサッと引揚げることができるクレーンです。
移動式クレーンの同じ仲間である、『ラフタークレーン』をトラッククレーンとともに、紹介していきます。 

 

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トラッククレーンとラフタークレーンの違いは?

まずはトラッククレーンとラフタークレーンの違いを、車両区分、必要になる免許や資格、機種の特徴を紹介します。 

 

車両区分

建設現場などで使用される移動式クレーンですが、構造や用途の違いから道路交通法上の扱いが異なります。その違いを表にまとめました。 

項目  トラッククレーン  ラフタークレーン 
車両区分  車両サイズでさまざま(道交法では貨物自動車扱い  特殊自動車(建設機械) 
特殊車両の扱い  寸法・重量超過時のみ許可が必要  ほぼ必須(寸法・重量超過が一般的) 
ナンバープレート  自動車用(白ナンバーなど)  特殊自動車用(小型/大型特殊ナンバー) 
公道走行免許  車両サイズによる(普通/準中型/中型/大型免許)  大型免許または大型特殊免許 
クレーン操作資格  移動式クレーン運転士免許など  移動式クレーン運転士免許など 
主な用途  舗装路など整地でのクレーン作業  不整地でのクレーン作業 

 

運転に必要な免許

トラッククレーンとラフタークレーンの、公道走行時において必要となる運転免許をまとめてみました。 

トラッククレーン  ラフタークレーン 
機種のサイズに合った免許(大型、中型、準中型など)  大型特殊免許(ラフタークレーンは大型特殊車両に指定されているため) 
トラッククレーンは、クレーン装置を搭載しているものの、基本的には「普通自動車」または「大型自動車」に分類されます。
これは、車両の総重量や最大積載量などによって決まります。 クレーン部分は「特殊な装置」として扱われ、車両の主要な用途が貨物運搬や作業であるため、「貨物自動車」として登録されることが一般的です。
ただし、クレーン装置の構造や車両の寸法・重量が特殊車両の基準を超える場合(例: 幅2.5m超、重量20t超など)は、「特殊車両」に分類され、特殊車両通行許可が必要となります。 
ラフタークレーンは、その特殊な構造(不整地走行用のタイヤやサスペンション、クレーン装置の常設など)から、通常「特殊自動車」に分類されます。 

特殊自動車の中でも「建設機械」として扱われることが多く、道路運送車両法に基づく車両登録が必要です。 

公道を走行する場合は、車両の寸法・重量が特殊車両の基準を超えることが一般的であるため、特殊車両通行許可がほぼ必須となります。 

続いて、トラッククレーンの運転に必要となる大型免許、中型免許、大型特殊免許を紹介します。 

 

1.大型免許
大型免許は、車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上、または乗車定員30人以上の自動車を運転するための免許となります。大型トラックや大型バスがこの中に含まれます。大型免許を保有することによって、中型自動車や小型特殊自動車(例小型建設機械)も運転が可能になります。ただし、大型特殊自動車(特殊車両となるクレーン車、ラフタークレーンなど)は運転できません。
なお、取得可能年齢は、19歳以上であり、準中型、普通免許のいずれかの免許を取得しており、免許経歴が通算1年以上の者と、定められています。 

 

2.中型免許
中型免許は、車両総重量7.5t以上11t未満、最大積載量4.5t以上6.5t未満、または乗車定員11人以上30人未満の自動車の運転をするための免許となります中型免許を保有することによって、普通車や小型特殊車も運転可能になります。なお、取得可能年齢は、19歳以上であり、準中型、普通免許のいずれかの免許を取得しており、免許経歴が通算1年以上の者と、定められています。 

 

3.大型特殊免許
大型特殊免許は、大型特殊自動車(例:クレーン車、ホイールローダーなど)を公道で運転するための免許です。これは主に建設現場での車両移動に使用され、作業自体(例クレーン操作)は別途資格(移動式クレーン運転士免許など)が必要です。
大型特殊免許では普通自動車や中型自動車、大型自動車は運転できません。別途当該免許が必要になります。小型特殊自動車や原動機付自転車(原付)は運転可能です。
なお、取得条件は18歳以上で、特に免許経歴等の制限はありません。 

 

操作に必要な資格

公道走行に必要な各車両サイズに合った自動車免許のほかに、トラッククレーンにも、ラフタークレーンにも、クレーン操作のための資格が必要になります。必要な資格を紹介します。 

トラッククレーン  ラフタークレーン 
各サイズの車両の吊り上げ荷重によって必要な免許・資格は変わります。 

・『移動式クレーン運転士免許』
吊り上げ荷重5t以上 

・『小型移動式クレーン運転技能講習』
吊り上げ荷重1t以上5t未満 

・『移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育』
吊り上げ荷重1t未満 

吊り上げ荷重5t以上の車両が中心のラフタークレーンには『移動式クレーン運転士免許』が必要となります。 

 

1.移動式クレーン運転士免許
クレーンの操作に当たっては移動式クレーン運転士の免許が必要になります。トラッククレーンやラフタークレーンを含めた移動式クレーンには、吊り上げ荷重によって区分された資格が必要になります。
吊り上げ荷重1t未満の「移動式クレーンの運転業務特別教育修了」、吊り上げ荷重1t以上5t未満の「移動式クレーン運転技能講習終了」、吊り上げ荷重5t以上の「移動式クレーン運転士免許」がそれに該当し、ほとんどのラフタークレーンの操縦には「移動式クレーン運転士免許」が必要になります。

 

移動式クレーン運転士免許 
試験内容  学科:移動式クレーンに関する知識、原動機および電気に関する知識、関係法令、移動式クレーンの運転のために必要な力学に関する知識 

実技:移動式クレーンの運転、移動式クレーン運転のための合図 

合格ライン  60% 
合格率 

(2024年度) 

(学科)61.9%  
(実技)64.7% 
受験料金  学科試験8,800円、実技試験14,000円ですが事前に必ずご確認ください。 
試験日程  各地域によって2025年度日程が発表されていますので安全衛生技術試験協会ホームページでご確認ください。https://www.exam.or.jp/ 

 

2.小型移動式クレーン運転技能講習
つり上げ荷重5t未満の小型移動式クレーンの運転作業に従事するために必要となる技能講習です。 

小型移動式クレーン運転技能講習 
講習内容と時間  (学科)・小型移動式クレーンに関する知識:6時間
・原動機及び電気に関する知識:3時間
・運転のために必要な力学に関する知識:3時間
関係法令:1時間 (実技)
・小型移動式クレーンの運転:3時間
小型移動式クレーンの運転のための合図:1時間 
講習費用  講習料金:32,140円(受講料30,460円 テキスト代1,680円 

なお、①クレーン運転士免許、デリック運転士免許、揚貨装置運転士免許を受けた者
②玉掛け技能講習、または床上操作式クレーン運転技能講習修了者は講習時間の免除があり、講習料金がその分安くなります。 

講習費用は、講習場所によって変動がありますので、必ずご確認ください。 

 ※本表は一般社団法人労働技能講習協会の情報によるものです。 

 

3.移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育
移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育は吊り上げ荷重1t未満の移動式クレーンの運転作業に従事するために必要となる特別教育です。 

移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育 
講習内容と時間  (学科)
移動式クレーンに関する知識:3時間
原動機及び電気に関する知識:3時間
運転のために必要な力学に関する知識:2時間
関係法令:1時間 (実技)
移動式クレーンの運転:3時間
移動式クレーンの運転のための合図:1時間 
講習費用  実際にこの特別教育を行っている認定の教育機関は少ないようです。 
これは、0.5t以上1t未満の移動式クレーンを実際に使用することが多くないことと、この上位資格である小型移動式クレーン運転技能講習や移動式クレーン運転士免許を取得すれば運転作業が可能という効率の良さを考えての結果からきているようです。  

※本表はコマツ教習所のウェブサイトを参考にしていますが、コマツ教習所では本講習の開催を行っていません。  

 

クレーン操作室の場所

トラッククレーンとラフタークレーンの相違点であって、それぞれの特徴となるクレーン操作室の場所を紹介します。 

クレーン操作室の場所 
トラッククレーン  ラフタークレーン 
2つの運転室に分かれています。(分離型) 

 

・クレーン操作用運転室
クレーンのブーム基部または車両後部に設置されています。
クレーン操作に特化し、レバー、ジョイスティック、モニター、負荷計(モーメントリミッター)などを備えます。
視界を確保するため、広めの窓や高めの位置に配置されています。
作業中はオペレーターがここに移動して操作を行います。 

 

走行用運転室
トラックの前方に位置し、一般的なトラックのキャブと同様です。
運転席、ステアリング、アクセル、ブレーキなどを備え、公道走行に特化しています
快適性を重視し、エアコンやオーディオ、快適なシートを装備する場合が多いです 

 

クレーン操作用運転室と走行用運転室が同室になっています。(一体型) 

 

ラフタークレーンのほとんどのモデルは、1つの運転室で走行とクレーン操作の両方を兼用しています
運転席にステアリングやペダル(走行用)と、クレーン操作用のレバーやジョイスティックが統合されています
運転室は車両の中央または、やや前方に配置され、旋回可能なクレーンブームを視認しやすい位置に置かれています。 

 

・非常に大型のラフタークレーン(例: 100トン超のモデル)では、クレーン操作専用の補助キャブを備える場合もあります。 

 

最大吊り上げ荷重

トラッククレーンとラフタークレーンそれぞれの最大吊り上げ荷重は下表のようになります。 

最大吊り上げ荷重 
トラッククレーン  ラフタークレーン 
トラッククレーンは、トラックのシャーシにクレーン装置を搭載した車両で、舗装道路での走行とクレーン作業を目的とします。
安定性が高く、比較的大型な吊り上げ能力を持つモデルが多いです。一般的なトラッククレーンの吊り上げ能力は、10tから100t以上の範囲になり、モデルによってその幅は広くなります
そして、長大型モデルでは200t以上の吊り上げ能力を持つトラッククレーンもあります。 
ラフタークレーンは、不整地走行が可能なクレーン車両で、未舗装地や狭い現場での作業に適しています。
機動性は高いが、トラッククレーンに比べると吊り上げ能力は一般的にやや小さいです
一般的なラフタークレーンの吊り上げ能力は、10tから100tの範囲です。 

 

速度 

公道を走行する際のトラッククレーンとラフタークレーンそれぞれの速度は下表のようになります。 

速度 
トラッククレーン  ラフタークレーン 
走行を目的としたトラックと組み合わされたトラッククレーンは80~100㎞/hでの走行が可能です。
2024年に緩和された高速道路の最高制限速度90㎞/hにも十分対応可能です。 
ラフタークレーンはその構造から、高速スピードで停車すれば、つんのめってブームが地面についてしまったり、カーブ時の横転の危険性があり、50㎞/hに自主制限しています。 

 

用途

トラッククレーンとラフタークレーンの用途は下表のようになります。 

用途 
トラッククレーン  ラフタークレーン 
長距離の公道走行が可能で高い吊り上げ能力を持つトラッククレーンは、さまざまな用途に使用されています。
橋梁建設、高層ビル建設、重量機械設置、インフラ工事、イベント設営など、平坦な現場での作業を得意とします。大規模・重量物の吊り上げ作業に使用されます。  
小回りが利き、不整地作業も得意なラフタークレーンは、さまざまな用途で使用されています。
建築・土木の建設現場においては、市街地の狭隘現場での作業にラフタークレーンに出動要請がかかります。
そして、引っ越し時の重量物(ピアノなど)の移動、港湾での船からの荷降ろしや荷積み、埠頭に据え付けられたクレーンで作業ができない場合に使用されることもあります。
不整地である山林部などで伐採した木材の吊り上げなども可能です。 

 

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クレーンの作動方式の違い

クレーン装置の作動方式は、トラッククレーンとラフタークレーンともに機械式と油圧式があります。そして、現在は油圧式が主流となっています。最後に作動方式の違いを紹介します。 

 

機械式 

クレーン装置における機械式は、モータープーリーにワイヤーロープを巻き付けたり緩めたりすることによる伸縮機能によって作動するシステムです。機械式クレーンはトラス式構造のブームを持ち、重い荷の吊り上げに向いています。そして、長尺のブームを使用できるので高所作業や、離れた場所への荷の揚重・移動に向きます。
油圧システムに比べると耐久性は高いですが、機械式クレーン車は自重の大きいため走行速度は遅く、移動時には重量が理由でブームの分解が必要な場合もあります。 

 

油圧式 

油圧式は、油圧ポンプで油をシリンダーに送り込むことと、吸い出すことによる伸縮機能によって作動するシステムのことを指します。
油圧システムは、ブームの伸縮や角度の調整を行いやすく、クレーンの伸縮や移動をスムーズに行うことができる利点を持っています。ただし、油圧システムはメンテナンスを怠るとオイル漏れや各部品に摩耗を起こしてしまうので注意が必要です 

 

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まとめ

物流業界・建設業界になくてはならない移動式クレーンです。トラッククレーンとラフタークレーンの違いをよく理解していただき、安全第一で現場への走行移動と揚重作業を行ってください。 

 

トラックファイブは『豆知識』でこれからも皆様にさまざまな情報をお届けします。 

 

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