バッテリー液の補充方法は?注意点、劣化を防ぐ使い方を解説

トラック・自家用車のバッテリーの存在を知らない方は少ないと思います。

そして、現在の品質の上がったバッテリーは定期点検をきちんと受ける限りはバッテリー上がりを起こしてしまうようなトラブルはほぼ無いと言ってもよいかも知れません。

しかしドライバーとして、トラブルを起こせば車両のスタートすらできなくなってしまうバッテリーの仕組みや劣化を防ぐ方法、バッテリー液の補充方法は知っておいてください。

今回の『豆知識』はバッテリー液を取り上げてみました。

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バッテリー液とは?

 

普通車のバッテリーは12v、トラックのバッテリーはこの12vのバッテリーを2つつないだ24vです。

EV(電気自動車)やPHV(プラグイン・ハイブリッド車)にも駆動用のバッテリーだけではなく補器類用として12vのバッテリーが搭載されています。

そして、どの車両もこの補器類用のバッテリーが上がってしまうとエンジンの始動ができません。

バッテリーに電気を貯めて放電する重要な役目をこのバッテリー液が持っています。

このバッテリー液は無色透明の希硫酸なのです。

 

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バッテリー液が減る理由

 

バッテリーを使うことでバッテリー液は減ります。

その理由はバッテリーの仕組みを知れば分かります。

大切にバッテリーを使っていくためにもこの減る理由を理解してください。

 

・水の蒸発と電気分解

車両の走行によって充電されるバッテリー内のバッテリー液は濃度37%の希硫酸です。

精製水か蒸留水と混合された硫酸水であるバッテリー液は走行時の充電によって水(H₂O)が水素(H₂)と酸素(O₂)に分解されるために減少します。

精製水や蒸留水が蒸発してのバッテリー液の減少も考えられます。

夏場の暑さや太陽の直射日光で焼かれた車体の高温でバッテリー液の水分が蒸発してしまうのです。

 

・経年劣化や液漏れ

他にも原因はあります。

バッテリーには寿命があります。

走行して充電・放電を繰り返すことはバッテリーに負担をかけていることになります。

これは想定の上での補器類用のバッテリーなのです。

使えば無くなる、寿命が来る、当たり前の話なのです。

しかし、取付けミスによるバッテリー液漏れは違う話になってしまいます。

バッテリー液を減らすばかりか漏れたバッテリー液である希硫酸はまわりの部品を腐食させ、ダメージを与えてしまいます。

 

バッテリー液を補充する前の確認事項

 

バッテリー液の補充作業はそれほど難しい作業ではありません。

作業前に何点か確認事項があります。

 

・バッテリー本体の探し方

乗用車であればバッテリーはボンネットを開けてすぐに目につく場所にあります。

トラックであれば通常は車体横に車種によってはむき出しの裸のままですぐに目につくこともあります。

車種によってはパネルがボディの一部となっている場合もあります。

赤と黒の太いコードがつながっていますのですぐに識別できます。

赤がプラス黒がマイナスです。

トラックはこの12vのバッテリーが2つ並んでいますので分かりやすいと思います。

バッテリーを見つけて取り外さなければならないのですが、高電圧なため感電に十分気をつけてください。

電極プラグを外す際にはゴム手袋か皮手袋をして十分に気をつけてください。

 

・バッテリー液の残量の確認方法

外したバッテリーは横から見ればプラスチックの容器にバッテリー液の残量が映し出されています。

適量の目安になる目盛りがあり、表示に「upper(上限)」、「lower(下限)」とありますので、この間に残量があるかをチェックしてください。

バッテリーは6つの部屋に分かれていますから、1つずつ丁寧に確認してください。

そして、バッテリーの上部にある蓋を外して「upper(上限)」、「lower(下限)」の表示内に収まるように精製水か蒸留水を補給してください。

バッテリー液の残量の確認は目視で行います。

目視が出来るようにバッテリーを取外してください。

 

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バッテリー液の補充方法と注意点

 

バッテリー液の補充方法と注意点は補充するバッテリー液は精製水か蒸留水ですが、バッテリー内のバッテリー液は希硫酸であることをよく認識してください。

くれぐれも事故無く、怪我無く作業してください。

 

・バッテリー液補充に必要なものは?

まずはバッテリー補充液です。

精製水か蒸留水です。

硫酸は気化・蒸発しませんから減っているのは水分です。

この水分補給のために必要な準備があります。

精製水、蒸留水をバッテリーの狭い口から流し込むジョウゴがあると便利です。

微妙な量まで気になる方にはスポイトも便利でしょう。

バッテリー液の跳ね返りが無いとも限りませんから、ゴーグルとゴム手袋があると重宝します。

補充時は感電防止のためにバッテリーの電極を外すか、バッテリーごと取り外さなければなりません。

この時普通のスパナでは作業時に金属のスパナの尻がシャーシや他の金属部品と触れると通電して感電してしまいます。

それを防ぐためには皮手袋もしくはゴム手袋をして注意して電極を外すか、ショート防止の握り手がゴム引きになったスパナを使う必要があります。

バッテリー液補充だけにさまざまな必要なものがありますが、備えあれば憂い無し、たまにしか行わない作業ですから、十分備えて、十分気をつけて事故の無いように作業を行ってください。

 

・入れすぎには注意する

バッテリー本体の表示に従ってバッテリー液を補充してください。

「upper(上限)」、「lower(下限)」の表示には意味があります。

「lower(下限)」の表示を下回ったままにしておくとバッテリーの性能が落ちてしまうことはご存じの方も多いと思いますが、「upper(上限)」を越えての補充もバッテリーに悪影響を与えます。

高熱で膨張したバッテリー液が入れ過ぎも原因して、しみだして周りを腐食させてしまうこともあります。

バッテリー本体の表示に従って作業してください。

 

・ゴム手袋やゴーグルを装着する

バッテリー液が希硫酸であるということをよく認識してください。

補充作業中に希硫酸が飛び散って手や服についてしまえば、火傷にまでなる可能性や服なら焼けて穴が開いてしまいます。

補充作業にはゴム手袋で手を防御し、万が一を考えてゴーグルも用意してください。

眼は火傷ではすまず、失明してしまう可能性があります。

ゴム手袋とゴーグルもセットで工具箱に備えてください。

 

手についた場合はすぐ洗う

繰り返してお伝えしますがバッテリー液は希硫酸です。

一たび肌に付けてしまったら、大量の水で洗い流すしか対処する方法はありません。

しっかり洗い流して、それでもなお痛みを感じたり、目で見てわかる外傷のある場合はすぐに病院へ行ってください。

とにかく手や皮膚にバッテリー液がついた場合はすぐ洗うことが鉄則です。

 

・引火するため作業中は火気厳禁

通常、どんな作業を行う際にも火気は厳禁であり、どんな整備工場に行っても工場内に「火気厳禁」の貼り紙が掲示されています。

特にこのバッテリー液補充作業時にはバッテリー液の硫酸が化学反応を起こして水素を発生させている可能性があります。

可燃性の水素に引火する可能性があり非常に危険なためバッテリー液補充作業時は火気厳禁です。

 

バッテリー液を補充する頻度

 

では、このバッテリー液の補充はどれくらいの頻度で補充したらいいのでしょうか。

 

・月1回から半年に一回程度の確認のうえ補充する

バッテリー液の補充の必要性を確認するために日常点検や定期点検に絡めて毎月一度、最低でも半年に一度バッテリー液の残量の確認を行い、補充することを考えてください。

夏期のクーラーや冬期のヒーター使用はバッテリーに大きな負担をかけます。

これらの季節の終わった後には必ずバッテリー液の残量の確認を行って、バッテリー液の補充を行ってください。

 

※日常点検や定期点検での過去記事です。

『日常・定期点検はトラックの不具合に気づくチャンス!状態のよいトラックは高く買い取られやすい!』

 

・メンテナンスフリーでも残量チェックを行う

メンテナンスフリーを売り文句にして、バッテリー液が減らないとする高性能バッテリーがあります。

しかしながら、基本的に仕組みの同じバッテリーですのでバッテリー液が減ることはあります。

メンテナンスフリーでも注意して残量チェックをしてください。

 

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バッテリー液が不足するとどうなるのか?

 

バッテリー液が不足するとバッテリーの充電が不十分となり、エンジンの始動に必要な電力が不足する可能性があります。

特に寒冷地などではバッテリー液の凍結や充電効率の低下が起こりやすく、車両の始動が困難になることがあります。

バッテリーは正常な状態で保たれることで最適な性能を発揮しますが、液量が不足するとバッテリー内の化学反応が妨げられ、バッテリーは劣化して寿命が短くなる可能性があります。

 

バッテリー本体の寿命・交換目安

 

一般的なトラックのバッテリーの寿命は3年から5年程度とされています。

日々のメンテナンスや適切な使用をしていれば寿命を伸ばすことは可能なのでしょうが、大切なことは日常のメンテナンスでバッテリーの寿命が近づいていることを読み取り、交換目安を知ることでしょう。

 

バッテリー本体の寿命が近づいている兆候

 

バッテリーの寿命が近づいてきている兆候を知ってください。

そして、タイミングよくバッテリーを交換してください。

・電圧が落ち、エンジンの始動が困難になる。

・パワーウィンドウなどの電装品の動作が弱くなる。

・エンジンの回転数でライトの明るさが変わる。

・バッテリーエネルギーの低下を示す警告灯が点灯する

これらのサインが現れた場合、バッテリーの寿命が近いことを示しています。

 

バッテリーの寿命が減りやすくなるNGな使い方

 

バッテリーの寿命が減りやすくなるNGな使い方はバッテリーへの充電量よりも使用量が上回ってしまっている使い方です。

・ライトの付けっぱなし。(最近では警告音が教えてくれる車両が増えましたが、)

・長期間運転をしなかった。(エンジンをかけることもなく自然放電させてしまった)

・エンジンを止めたままでの電装品やカーアクセサリーなどの使用。

・渋滞の多い道の走行、しかも照明の必要な夜間。

・チョイ乗りが多い。(放電時間が多くなる)

充電量よりも使用量が上回ってしまっている状態が一番バッテリーに負担をかけてしまいます。

 

まとめ

 

この先、トラック、自動車の駆動はエンジンからモーターに移り、その動力源は化石燃料から電気や新エネルギーに変わっていきます。

現在のハイブリッド車で行われている駆動用バッテリーと補器類用バッテリーの区分けの考え方も変わっていく可能性もあるのではないでしょうか。

従来型とは考え方の違うバッテリーの登場もあるかも知れません。

いずれにしても私たちの手から離れてプロの整備士でなければ入り込むことのできない世界へとトラック・自動車は移行していきそうですね。

電気とコンピューターに制御されるかつてのSFの世界がすぐそこまで来ているようですね。

 

トラックファイブは『豆知識』で皆さまに新しい情報をこれからもお届けします。

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