
オールテレーンクレーンとは? 特徴や活用シーン、必要な免許などを解説
オールテレーンクレーンは大型トラッククレーンです。非常に大きな吊り上げ能力を持ち、高層ビルやタワーマンションなど大規模ビルの建築工事や橋梁や鉄道高架橋の架設などで活躍しています。普段、なかなか目にすることのできないオールテレーンクレーンの特徴や活用シーン、そして必要な免許などを今回の『豆知識』では取り上げました。
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目次

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オールテレーンクレーンとは?
オールテレーンクレーンは、不整地でも道路でも走行・移動が可能な大型車両中心の移動式トラッククレーンです。オールテレーンは英語でAll Terrain、「全地対応」という意味で、タイヤが全輪駆動全輪操舵という大きな特徴を持っています。複数の車軸と車輪を持つオールテレーンクレーンは、一般公道ではトラックと同様の法定走行速度60㎞/h、高速道路では90㎞/hまで認められています。
その大きさが理由となって、クレーン部とトラック部を解体し別途移動させることもあります。高度な走行能力と非常に大きな吊り上げ能力を持った、大型現場で活躍するオールテレーンクレーンです。
・オールテレーンクレーンの基本構造
まずはオールテレーンクレーンの基本構造から紹介します。そして、オールテレーンクレーンの特徴へと続けます。
1.ブーム
高所での揚重作業も可能な長い伸縮式のブームを備えています。強度と耐荷重を備えたテレスコピック式(望遠鏡のような筒の重なり合った形状)のブームをオールテレーンクレーンでは装備しています。
2.アウトリガー
非常に大きな荷重に耐えるためにアウトリガーはトラッククレーンに必須の装備品です。車体から左右に張り出すアウトリガーは、車体重量のあるオールテレーンクレーンをさらに安定させ、作業時の安定性を強化します。
3.シャーシ
強力、頑丈なフレームに搭載された高出力エンジンと、オールテレーンクレーンの特徴ともいうべき全輪操舵の多軸駆動(8軸16輪が最大)の車軸を装備し、一般舗装道路も、建設現場の未舗装地も自在に走破します。
・オールテレーンクレーンの特徴
一般的な移動式クレーンと違うオールテレーンクレーンの特徴を紹介します。
1.高い吊り上げ能力がある
オールテレーンクレーンには高度な吊り上げ能力があります。軽量化と高強度を目指したテレスコピック式のブームは、多段式で高く、遠くへ荷を吊り、移動させることが可能です。
現在では高張力鋼のブームが主流となり、ブーム伸縮装置の軽量コンパクト化によりブームの長尺化はさらに進んでいます。65t吊りから1200t吊りのオールテレーンクレーンが、現在国内では使用されています。
2.不整地でも走行できる
大型で重量のあるオールテレーンクレーンが不整地でも走行できるのは、特別なシャーシとサスペンションシステムによるものです。駆動軸は接地圧を低く抑えた設計で、ぬかるんだ地面や岩場でもスムーズな走行を可能にしています。多軸駆動と全輪操舵は不整地での走行能力を向上させています。
油圧式のサスペンションは傾斜地で車体を水平に保つための調整機能があり、不整地では揺れを軽減し、安定性を確保します。オールテレーンクレーンは大型でありながら、さまざまな工夫により現場の厳しい地形に対応しながらパワフルな作業をこなします。
3.走行用と操作用の運転席が分かれている
大型クレーンを使用するためにオールテレーンクレーンは走行用と操作用の運転席が分かれています。
上部旋回体(クレーンとクレーン運転席)を走行トラック部に載せたままでは、道路交通法に定められた制限重量を超えてしまうのです。走行部は自走、クレーン部は回送車で移動します。
4.安定性に優れており高所への資材搬入に適している
車両重量の大きいオールテレーンクレーンは安定性にすぐれており、軽量化されたブームと、しっかり左右に張り出すアウトリガーによってその安定性はさらに増します。高所への資機材搬入に適した構造になっています。
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オールテレーンクレーンと他のクレーンの違い
移動式クレーンにはいくつか種類があります。オールテレーンクレーンと、その他のクレーンの違いを紹介します。
・ラフタークレーンとの違い
ホイール式キャリアであるラフテレーンクレーンとその姿は似ていますが、オールテレーンクレーンはキャビン(運転室)とクレーン操作室が分かれているトラック式キャリアです。オールテレーンクレーンは、コンパクトで市街地の狭隘現場に向くラフタークレーンよりも大型の車両が多く、多軸なのが外観からもわかりやすい違いです。
吊り上げ能力にも違いがあります。オールテレーンクレーンは吊り上げ能力が700tを超えるモデルが存在しますが、ラフタークレーンは100t以下が一般的です。そして走行速度にも違いがあります。トラックと同様に時速60㎞が制限速度ですが、ラフタークレーンは時速50㎞です。
ラフタークレーンと違いオールテレーンクレーンの運転室が二つあるのは、自重の大きさが理由です。オールテレーンクレーンは、道路法の制限を超える重量の場合、トラック部分は自走し、クレーン部分は回送車両で輸送されます。
・トラッククレーンとの違い
トラッククレーンには、キャビン(運転室)とクレーン操作室が分かれているタイプ、車両積載形タイプ、レッカー形タイプがあります。大きな違いはラフタークレーンと同様で、吊り上げ能力の高さです。どのタイプもオールテレーンクレーンほどの能力はありません。
そして、複数の車軸・車輪の全輪駆動・全輪操舵のオールテレーンクレーンとは違い、トラッククレーンの場合、後輪駆動・前輪操舵となります。
トラッククレーンのクレーン動力は、走行用原動機(エンジン)を利用しての油圧方式ですが、オールテレーンクレーンの場合、原動機は走行と揚重が別になっています。
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オールテレーンクレーンの活用シーン
さまざまな場所や用途に使用されているオールテレーンクレーンの活用シーンをまとめました。
オールテレーンクレーンの活用場所 | 活用具体例 |
高層ビルやタワーマンションの建築現場 | 市街地での高層ビルやタワーマンションの建設現場で活躍します。部材はすべて数10tから数100tの部材コンクリートの二次製品です。 |
橋梁や鉄道高架橋の建設現場 | 足場の悪い未舗装地の建設現場で、橋梁や高架の鉄製・コンクリート製の数10tから数100tの部材を揚重します。 |
風力発電の組み立て現場 | 不整地の現場まで進入して、風力発電の支柱、モータープロペラと非常に重量のある部品を揚重して設置の補助を行います。 |
大規模イベントなどのセット設営現場 | 野外架設ステージなどの設置に活用されています。セットばかりか、本番での出演者の吊下げを行って演出にも協力します。 |
自然災害の復旧作業現場 | 地震、台風などの災害復旧で未整地に入り込み、強力な揚重力で倒壊した建物や瓦礫の撤去に当たります。 |
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オールテレーンクレーンを操作するのに必要な免許
オールテレーンクレーンを現地作業において操作するためには、労働安全衛生法に定められた、吊り上げ荷重が5t以上の移動式クレーンの運転に必要な『移動式クレーン運転士免許』の保有が義務づけられます。
試験内容、受験費用等をまとめましたのでご参照ください。
移動式クレーン運転士免許 | |
試験内容 | 学科:移動式クレーンに関する知識、原動機および電気に関する知識、関係法令、移動式クレーンの運転のために必要な力学に関する知識
実技:移動式クレーンの運転、移動式クレーン運転のための合図 |
合格ライン | 60% |
合格率
(2024年度) |
(学科)61.9% |
(実技)64.7% | |
受験料金 | 学科試験8,800円、実技試験14,000円ですが事前に必ずご確認ください。 |
試験日程 | 各地域によって2025年度日程が発表されていますので安全衛生技術試験協会ホームページでご確認ください。https://www.exam.or.jp/ |
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オールテレーンクレーンで公道を走るには許可が必要
車両重量の重いオールテレーンクレーンが公道を走行する際には、道路法や道路交通法で走行に制限がかかります。道路法に定める一般的制限値にある総重量20t(指定道路25t)を上回ってしまうからです。トラック部、クレーン部、ブーム部分に分けて移動するのはそのためです。
そして、『特殊車両通行制度』のルールに従って、特殊車両通行許可を受けなければなりません。自走部分となるトラック部の運転にはもちろん、大型免許が必要になります。
トラック部分、クレーン駆動部分、ブーム部分に加えて現場でオールテレーンクレーンを組み立てるためのクレーン車も1台必要になります。
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オールテレーンクレーンは年々進化している
オールテレーンクレーンは一般的な車両と同様にさまざまな研究・開発やAIによって年々進化を続けています。その進化の現状を紹介します。
・軽量化
オールテレーンクレーンの特徴であり、弱点ともいえる車両総重量の大きさが、移動時における車両とクレーンを分解しての移動を余儀なくしています。
新素材の採用により車体は軽量化されつつ、吊り上げ能力を大幅に向上させているモデルが登場しています。車両総重量を減らし、クレーンのブームの軽量化も行って、クレーンの延伸はさらに伸び、性能を向上させています。
・安全性
建設現場で最優先課題である安全性の向上も置き去りにすることなくオールテレーンクレーンは進化しています。クレーン操作の安全性を向上させるため、AIがリアルタイムで状況を分析し、そして制御する技術が組み込まれています。
GPSやAIの活用による自動運転支援装置の搭載機種もあり、安全ばかりか高効率な運転や操作を実現させています。
・エンジン
ハイブリッドエンジンや効率的なエネルギー管理技術で、環境負荷を減少させる取り組みも進んでいます。低燃費で環境負荷の少ないエンジンはオールテレーンクレーンの世界でも主流になりつつあります。
・テレマティクス技術
「通信」と「情報科学」を組み合わせた技術のテレマティクス(Telematics)は、リアルタイムでデータを収集・管理し、位置情報や運行状況を確認したり、燃費や安全運転を分析して効率化を図ります。
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オールテレーンクレーンの主なメーカー
オールテレーンクレーンを開発・販売する主なメーカーを紹介します。
・タダノ
株式会社タダノは1948年創業の日本を代表するクレーンメーカーで、本社は香川県高松市にあります。タダノは建設用クレーンや高所作業車を製造・販売しており、特にオールテレーンクレーン分野では優れた技術力を持っています。タダノが開発した1200tのオールテレーンクレーンは、世界最大級のクレーンです。
舗装道路からオフロードまで対応可能な高機能クレーンを採用し、小回りの良さと大きな吊り上げ能力で、狭い現場や都市部での作業にぴったりです。また、環境に配慮した低騒音型建設機械の開発や排出ガス対策に力を入れており、最新技術を取り入れたモデルで市場をリードしています。
モアイ像修復プロジェクト、カンボジアのアンコール遺跡群の修復などでメセナ活動も行っています。世界中に拠点を持つタダノは、夢を吊り上げる企業として、さまざまな人々の挑戦を支えています。
・加藤製作所
株式会社加藤製作所は日本の総合建機メーカーで、主に建設用クレーンや油圧ショベルを製造・販売している企業です。本社は東京にあり、国内外に多数の拠点を持っています。
加藤製作所はオールテレーンクレーンばかりでなく、大正時代の機関車をはじめとして、トラッククレーン・油圧ショベル・ラフテレーンクレーン・クローラキャリアなど、創業以来のパイオニア精神と独自の技術革新で様々な機種の開発に挑戦し、製品化してきた日本を代表する建設機器・特装車のメーカーです。
加藤製作所のクレーンは高い信頼性と先進技術を持ち、オールテレーンクレーンの分野でも環境対応エンジンや低騒音設計など、最新技術を積極的に取り入れています。また、「優秀な製品による社会への貢献」を社長自らの言葉で提唱し、「ものづくりの精神」を大切にし、持続可能な社会への貢献を目指している企業でもあります。
・コベルコ建機
コベルコ建機は、日本を代表する建設機械メーカーで、本社は広島県にあります。主にクレーンや油圧ショベルを製造していて、特に「移動式クレーン」や「クローラクレーン」で高い評価を受けているメーカーです。
コベルコ建機のクレーンは、パワフルな吊り上げ能力と信頼性が特徴で、最新技術を駆使した環境配慮型のモデルも充実させています。さらに、IoT技術を活用して機械の効率を上げたり、操作の安全性を向上させたりするシステムも取り入れています。
・リープヘル
リープヘルはドイツ発の建設機械メーカーで、クレーンや油圧ショベルを中心に多岐にわたる製品を手掛けている世界的な企業です。本社はスイスにあり、家族経営企業として知られています。
特にリープヘルのオールテレーンクレーンは、パワフルな吊り上げ能力と革新的な技術で高く評価されています。LTM1160NXのモデルでは、最大吊り上げ能力150tと長いテレスコピックブームを備え、高効率なエンジンやエコモードで燃料消費を抑えた環境に配慮した設計が特徴です。さらに、リープヘルは技術革新に力を入れていて、アウトリガーのバリオベースシステムや、現場のスペースに合わせた柔軟な操作性も魅力の一つになっています。
・XCMG
XCMG(徐州建設機械集団有限公司)は、中国を代表する建設機械メーカーで、1943年に設立されました。本社は中国・徐州市にあり、世界第3位の建設機械メーカーとして知られています。特にオールテレーンクレーンの分野では、強力な吊り上げ能力と最新技術を融合した製品で高い評価を受けています。
XCMGは環境に配慮したモデルや自動運転支援システムなど、革新性あふれる技術で市場をリードしています。製品は世界180以上の国と地域で使用されており、グローバルに展開しています。
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まとめ
公道を自走し、悪路にも強いオールテレーンクレーンは、有能な移動式クレーンです。その大きさが、大重量の吊り上げを可能にするのですが現場を選ばなければならず、必ずしも汎用性の高いクレーンとはいえないかもしれません。しかし、必要なタイミングは必ずやってくるクレーンです。この先、海外では復興のために多くのオールテレーンクレーンが必要になります。
現在、オールテレーンクレーンを所有しており、買い替えや買い取りを検討しているタイミングのユーザーにはぜひトラックファイブにお声がけいただきたく思います。海外に中古重機・トラックの販路を持つトラックファイブは、ご満足いただける買取ができるよう努力します。
トラックファイブは『豆知識』でこれからも皆様にさまざまな情報をお届けします。
