
大型トラック運転手(ドライバー)の収入は高いの?年収アップ方法やメリットを解説
目次

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トラック運転手(ドライバー)の年収はどれくらい?
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トラック運転手(ドライバー)の平均年収を生みだすフィールド
現実的なトラック運転手の平均年収をつかむために、昨年公益社団法人全日本トラック協会が出した「2023年度版 トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」を参考にしています。本調査はトラック事業に携わる従業員の賃金や労働時間、福利厚生等の実態を職種別に詳細に把握し、労働環境改善のための基礎資料として編纂されたものです。
調査対象を特別積み合わせ貨物業者180社、一般貨物自動車運送事業者4,434社の計4,614社の事業者としています。有効回答事業者数は特別積み合わせ33社と一般貨物643社となっていますが、協会員でもある事業者の回答は信ぴょう性の高いものと言えるでしょう。ちなみに全国の特別積み合わせ貨物は319社、一般貨物は57,459社あります。
全国のトラック運送業者の事業者数は6万社近くあるわけですが、そのなかで中小企業基本法における中小企業の定義の一つである「従業員数300人以下」の会社が99%を占めています。トラック運転手の年収を考えていくうえで、このことは一つのポイントになっていきます。中小・零細トラック運送業者の多くは、ほんの1%に過ぎない大企業である同じトラック運送業者の下請け業者として仕事をしているのです。
・トラック運転手(ドライバー)の年収
全ト協(全日本トラック協会)の資料をもとにすると、業種、性別、職種(けん引、大型、中型など)、従業員規模、年齢階級、地域などで分類された平均賃金を調査していますが、ここでは運転手の2023年度の年収(年間賞与を加えた金額)のみに着目しますと、以下のようになります。
・男女別のトラックドライバー平均年収は?
1.男性ドライバーの平均年収
特積が452万4,000円 平均年齢47.6歳 勤続年数16年 8ヶ月
一般が456万0,000円 平均年齢50.0歳 勤続年数12年 10ヶ月
2. 女性ドライバーの平均年収
特積が357万8,400円 (男性比 79.1%) 平均年齢40.1歳 勤続年数6年 4ヶ月
一般が381万1,200円 (男性比 83.6%) 平均年齢46.0歳 勤続年数7年11ヶ月
ちなみに運転者から事務員、荷扱手、整備・技能員までのトラック運送事業全体では、全職種平均年収は、
特積が432万6,000円 平均年齢46.8歳 勤続年数15年 5ヶ月
一般が446万6,400円 平均年齢48.2歳 勤続年数12年 10ヶ月
参考URL:2023年度版 トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態 全ト協
前年度までは特別積み合わせ貨物業者のほうが、一般貨物自動車運送事業者より年収が多かったのですが、それが逆転しています。大きな企業である場合が多い特別積み合わせ貨物業者は、当然売上も大きく、その分利益も大きくなるはずです。
2024年問題に対応しはじめて、ドライバーを初めとする社員の労働時間を調整し始め出したのかもしれません。そして、その足らずが特別積み合わせ貨物業者の下請けも行う一般貨物自動車運送事業者に回ってきたのかもしれません。ただし、詳細な資料はなく現状を考えあわせての推測にすぎません。
3. 性別ごとの平均年収
下記は前項の女性ドライバーの平均年収です。
特積が357万8,400円 (男性比 79.1%) 平均年齢40.1歳 勤続年数6年 4ヶ月
一般が381万1,200円 (男性比 83.6%) 平均年齢46.0歳 勤続年数7年11ヶ月
特積業者でも一般業者でも男性ドライバーとは、15%~20%もの差があります。しかし、よく数字を見ていただきますと、勤続年数と平均年齢が女性のほうがずっと短く若いです。経験がものを言い、腕前になっていく業界です。どんな業界に行っても日本の古い慣習で女性の年収が若干低く設定されている場合を見かけます。
変わらなければ成り立っていかない日本の現状で、この先女性の立場・給与は間違いなく上がっていくことでしょう。そして女性では、特積よりも一般のほうが年収の高い現象が確認されます。これは大企業よりも現場に近い中小・零細企業のほうが女性の力を認めているのではないでしょうか。
・長距離運転手の平均年収
本資料には長距離運転手の調査項目はないのですが、大型運転者を長距離運転手として読み替えてみると、各運転者の中で1番か2番に収入が高いです。ただ、その内訳を見ると固定給よりも歩合給(時間外手当等)が、固定給と同等もしくはそれ以上あります。
長距離運転手の年収の高さは、自分の身体を動かす結果にもたらされるものということでしょう。しかし、今後2024年問題への対応で時間外労働は制限されていきます。
・年代別のトラックドライバー平均年収は?
年代別のトラックドライバー平均年収は下表のようになります。荷役作業に加え、心身ともに酷使するドライバーの仕事は体力勝負になってきます。経験と知識を身に付けることのできる40歳代、50歳代を年収のピークとし、下降してしまうのは仕方ないのかもしれません。
⚫︎2023年度年齢別年収(特積・一般平均)
年齢 | 年収 |
20歳未満 | 3,108,000円 |
20歳代 | 3,612,000円 |
30歳代 | 4,257,600円 |
40歳代 | 4,620,000円 |
50歳代 | 4,689,600円 |
60歳代 | 3,993,600円 |
65歳以上 | 3,254,400円 |
平均 | 4,408,800円 |
※全日本トラック協会資料(2023年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態)から
・サイズ別トラックドライバー平均年収は?
トラックのサイズによってドライバーの平均年収は変わってきます。サイズが大きくなれば年収は上がります。トラックのサイズが大きくなるほど免許取得の投資も必要ですし、運転の難易度が上がり責任も重くなります。平均年収を紹介します。
全日本トラック協会資料(2023年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態)資料にもとづいたデータです。
1.普通車トラック運転手(ドライバー)
2023年度の普通車トラック男性ドライバーおよび女性ドライバーの平均年収と平均年齢です。特積・一般貨物合わせての平均金額です。
性別 | 年収 | 平均年齢 |
男性ドライバー | 4,063,200円 | 47.2歳 |
女性ドライバー | 3,194,400円 | 45.7歳 |
平均 | 3,628,800円 | 46.5歳 |
普通免許で運転可能なAT限定の2t車も増えており、人気のあるトラックサイズです。年齢、実績とともに収入は増えますので、普通車トラックは男女差の年収差の大きくないゾーンと言えるでしょう。
2.準中型トラック運転手(ドライバー)
準中型トラック男性ドライバーおよび女性ドライバーの平均年収と平均年齢です。
性別 | 年収 | 平均年齢 |
男性ドライバー | 4,220,400円 | 47.6歳 |
女性ドライバー | 3,468,000円 | 41.4歳 |
平均 | 3,844,200円 | 44.5歳 |
普通車トラック運転手の年収を上回り、女性でも運転しやすいサイズの準中型トラックは女性向きのトラックと言えるかもしれません。ドライバー不足に向かう今後、女性ドライバーには追い風が吹くと考えられます。普通車トラックから準中型トラックへのステップアップを考えてみる時期にきているかもしれません。
3.中型トラック運転手(ドライバー)
中型トラック男性ドライバーおよび女性ドライバーの平均年収と平均年齢です。
性別 | 年収 | 平均年齢 |
男性ドライバー | 4, 170,000円 | 47.2歳 |
女性ドライバー | 3, 637,200円 | 45.7歳 |
平均 | 3,903,600円 | 46.5歳 |
普通車トラックや準中型トラックより輸送量は当然増えます。男女間の年収格差はありますが、この先大きな世の中の流れとともに変わっていく可能性が十分にあります。免許と資格、経験で女性が男性に負けない年収を獲得する日は遠くないかもしれません。
4.大型トラック運転手(ドライバー)
大型トラック男性ドライバーおよび女性ドライバーの平均年収と平均年齢です。
性別 | 年収 | 平均年齢 |
男性ドライバー | 4, 838,400円 | 49.8歳 |
女性ドライバー | 4,258,800円 | 46.8歳 |
平均 | 4,548,600円 | 48.3歳 |
高度な技術が求められる大型トラック運転手は一番高額な年収を手にすることができます。女性は男性にはない繊細な技術や気配りを持つことによって、男性ドライバーより評価の高い場合もあります。経験(年数)を積めば男性ドライバーに劣らない年収を得ることが可能です。
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地域別のトラックドライバー平均年収は?
全日本トラック協会資料(2023 年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態)による地域別平均年収をまとめました。
⚫︎2023年度地域別年収(特積・一般平均) (円)
地域 | 年収 |
北海道 | 3,993,600円 |
東北 | 2,940,000円 |
関東 | 3,930,000円 |
北陸信越 | 3,482,400円 |
中部 | 4,035,600円 |
近畿 | 4,178,400円 |
中国 | 3,757,200円 |
四国 | 3,452,400円 |
九州 | 3,646,800円 |
沖縄 | 2,612,400円 |
全国平均 | 3,603,000円 |
地域別年収は甚句の集中する関東、中部、近畿などの都市部が高くなっています。地方でも北海道や中国、九州など年収が高い地域があります。活発な産業を持ち、鉄道網などが希薄でモーダルシフトに頼れない地域は、やはりトラック輸送に頼らざるを得ない現実があるということでしょうか。
・トラック運転手(ドライバー)の年収推移
どんな業界にも年齢による年収の推移はあります。本資料の「年齢階級別賃金」を見ますと、トラック運転手の年収ピークは、40~49歳と50~59歳で、この2期間にわたってほぼ最高年収を得ることができる長いピークになっています。熟練を必要とする仕事であり、神経を使う仕事でありながらも、体力的にはギリギリ60歳くらいまでは持ちこたえることができるということでしょうか。60~64歳で15%の年収ダウン、65歳以降はさらに35%のダウンになっていきます。
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トラック運転手(ドライバー)の仕事内容とは
大きく分けるのであれば、長距離か近距離か、または中距離かで仕事内容は変わります。2024年問題の960時間の制限で長距離輸送は、鉄道・船舶のモーダルシフトに流れる部分もあるでしょう。
長距離輸送は交通量が少ないという理由や、高速料金の深夜割引のある夜間に行われ、中距離、近距離輸送ではルート配送など日中の決まった時間に行われることが多いです。トラック輸送ではありとあらゆるものが積荷の対象なので、積荷によって仕事の内容は変わります。
・トラック運転手(ドライバー)に向いている・向いていない人の特徴
法規制の強化前であれば、昼夜を問わず働きまくって、独立するための事業資金を貯めたり、運転の休憩時間や待機時間に資格取得の勉強をしながら生活費を稼ぐこともできましたが、時代は変わりつつあります。
トラックドライバーに向いている人はまず運転が好きな人でしょう。長時間、人と会話を交わさずハンドルを握り続けていても大丈夫な人です。そして、体力にある程度自信があり、いつも冷静に判断を行うことができる方はトラックドライバーに向いているといえます。
トラックドライバーに向かない方は、運転が苦手で好きじゃない方や、短気で運転中にイライラする方、体力に自信がなく、不規則な勤務形態に適応できないと思う方もトラックドライバーに向かないでしょう。
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大型トラック運転手になるメリット
・いろんな土地への訪問
大型トラックは長距離を走ることが多いです。運送会社によっては決まった配送先にしか行かないこともあるでしょうが、配送先がさまざまであればいろんな土地に行くことができます。その配送先は観光地かもしれませんし、大都会の倉庫かもしれません。
毎日配送先が違えば毎日違う街に行くことができます。地方の名物を昼食で食べることもできますし、オシャレなレストランでランチを楽しむことができるかもしれません。
自分で電車賃を払わずに毎日いろんな場所に行けること、そして休憩時間にそこで好きなことができるのは、地理に詳しくなるばかりか、精神衛生上非常に好ましいことだと思われます。
・人間関係
トラックドライバーでも、会社からサラリーをもらうのでサラリーマンです。しかし、一般的なサラリーマンとは違って会社に長時間拘束されることがありません。
出社して、トラックに乗る前に朝礼、一連の点呼・点検を済ませばあとは一人の世界です。泊まりでの出張があっても現地から会社への連絡は携帯電話かSNSで終わります。人とかかわることが苦手な方には、とても楽で、大きなメリットがある仕事だと思われます。
・大型トラックの需要の高さ
大型トラックはどこの業界でも需要が高いです。運送業界はもちろんのこと、建設業界でも製造業界でも大型トラックの運転手は足りていないのが現状です。少子高齢化でこの先ますます大型トラックの運転手は減っていくでしょう。そのため仕事は見つかりやすく高い報酬を得るチャンスになる可能性も大きいのです。大型トラック運転手になる大きなメリットといえるでしょう。
・トラック運転手(ドライバー)はきついなどネガティブなイメージの理由
トラックドライバーにネガティブなイメージを持たれるのには、いくつか理由があります。まずは3K(危険・きつい・汚い)とも評価される仕事内容です。常に交通事故を起こす危険性を持つ職業です。
荷の積み降ろしは、機械化などで減ってきてはいるものの、なくなったわけではなく肉体労働はついて回ります。仕事をしながらのトイレや休憩所が完備されているわけではないので、特に女性ドライバーにとっては辛い職場である可能性があります。不規則な勤務を強いられたり、長時間運転は健康を害することもあります。今後どんどん改善されていくでしょうが、今はまだそれらのネガティブなイメージが払しょくされるには至っていません。
トラック運転手(ドライバー)として年収を上げるには
・長距離運転手(ドライバー)
短期的な考えの1年間の年収だけで考えずに、長距離運転手としてのピークである40~59歳の20年間をフルに働くことを考えてください。年収を上げるためには、まずは大型免許を取得して大型トラックに乗ってください。
・歩合給が出る会社に転職
固定給を獲得しながら、時間外手当や資格手当、危険手当など歩合給で稼ぐのも年収を上げる方法としてあります。運送業にも運ぶ積荷によってさまざまな資格が必要で、危険を伴う作業が付随する場合もあります。年収を上げるためには、業務の詳細を調べてから転職の準備をするのもありかと思われます。
・速達や深夜早朝の配送
誰もがしたくない、できない仕事をすることで、普通に仕事をする人よりも多くの報酬を手にすることができるのは当然です。速達や深夜・早朝の配送を受けることは、年収を上げるためには最も手っ取り早い方法かもしれません。
・異業種への転職
大型免許を持ちながら働く業界を変えることは難しいように思います。しかし、まったくの異業種に転職するわけではありません。人がやりたがらない仕事です。前項の人がやりたくない時間の仕事もそうです。
汚れる仕事であるゴミ収集車の運転、し尿取集運搬者の運転、危険な仕事である砕石運搬車の運転、汚泥回収車の運転などです。少し目先を変えて、運転教習所の大型免許担当の教官などはどうでしょう。年収を上げるということは、他のドライバーとの差別化を図るということであると、よくご認識いただきたいと思います。
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まとめ
運送業界において、大型トラック運転手の収入が高いのは本当のようですね。しかし、他業種と比べれば決して高いとはいえない収入です。
それを比較することに意味があるかどうかはわかりません。決して楽な仕事ではなく、気を抜けば事故に直結します。しかし日本経済を支えているのは物流です。その物流に欠くことができないのがトラック輸送であり、国が育ててきた産業なのです。
その日々の物流を途切れさせることなく働くトラックの運転手や運送会社の社員が今より多くの報酬を手にしてもおかしくはないと思います。かかる対価に正当な利益を載せて支払う、そんな当たり前の日本になってほしいものです。若者たちが希望を持つ、そんなトラック業界になってもらいたいものです。
トラックファイブは『豆知識』でこれからも皆様にさまざまな情報をお届けします。
