
普通免許では何トンまでのトラックを運転できる? 運転可能なトラックの種類とは……
取得した時期によって普通免許で運転できるトラックのサイズが変わります。今回の『豆知識』では、普通車で運転可能なトラックのサイズを取り上げました。
時代の流れとトラック利用者からの要請によって短期間に改正された道路交通法における運転免許制度の概要を説明します。わかりにくくなっている普通免許の取得時期ごとに運転可能なトラックの種類を解説します。
目次

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トラックの最大積載量と車両総重量
トラックに積み込んだ荷物の重さのことを「積載量」と呼び、法令に定められている積載量の上限のことを「最大積載量」、トラックの重量を「車両重量」と言います。 車両重量と最大積載量、さらに乗車定員の重量を合わせたものが車両総重量です。
トラックは各サイズによって仕事の内容が変わってきます。大量の積荷を遠方まで運ぶのに一番効率がよいのが大型トラックで、市街地の狭い道路を自在に運行して小型の配送品を配達するには小型トラックが最適です。中型トラックはその中間、言い換えればその両方を兼ね備えた能力を持っています。そして、トラックのサイズによって最大積載量が変わります。当然大型トラックのほうが小型トラックよりも最大積載量は大きいです。
最大積載量は車両総重量―(車両重量+乗車定員数×55kg)の計算式で算出できます。この最大積載量・車両総重量には上限が設けられています。その理由はトラックをはじめ乗用車なども走行する、高速道路を含めた一般国道や都道府県道、市町村道の保全と交通安全のためです。全国で年間に1000億円以上の道路および付帯施設の維持管理費がかかっており、そのすべては私たちの税金から拠出されているのです。
この先、高度経済成長期に建設された道路やトンネル、橋梁などの付帯施設は老朽化していき、維持管理費が増していきます。加えて、最大積載量を上回った積載での走行は「過積載走行」であり、ひとたび事故を起こせば重大事故にもつながり、非常に悪質な交通違反として扱われます。1kgでもオーバーすると行政処分(免許停止や免許取消しなど)として扱われますのでご注意ください。
世の中の流れによって自動車免許制度は改正され、普通免許でも運転可能な車両区分が変わって小刻みになっています。これは世の中の動きに対応してのことです。2017年(平成29年)3月12日に準中型免許が新設されて「満18歳以上の免許を持たない若年者」でも取得できるようになりました。そして、2017年(平成29年)3月12日以降に取得した普通免許で運転可能なトラックの最大積載量は2t未満、車両総重量は3.5t未満と定められました。
ドライバー不足が大きな問題の運送業界で、新たなドライバーの担い手に若年者ばかりでなく、女性や高齢者にもより広く門戸が広げられた改正でした。

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普通免許でもトラックを運転できる
トラックのイメージがそうさせるのでしょうが、大きなサイズの車両の免許がなければ運転ができないのではないかと、詳しい知識がない方は思いがちです。しかし、実際はそうではありません。普通免許でもトラックを運転することは可能です。
ただ、免許を取得した時期によって運転できるトラックのサイズは変わってきます。自動車が世に生まれてまだ250年ほどしか時間は経っていません。その間に日本の人口は増え、車両も増え、交通事故も増えました。そんな社会の流れによって道路交通法は改正され、普通免許で運転の出来るトラックは変わってきたのです。そんな流れを頭に入れていただきこの先の業務に間違いがないようにしてください。
普通免許でも運転できるトラックの種類
普通免許でも運転できるトラックの種類(車両総重量、最大積載量等)は取得した時期によって変わってきます。
・2007年(H19)6/1以前に取得した普通免許で運転できるトラック
2007年(平成19年)6月1日まで自動車運転免許証の区分は普通自動車免許と大型自動車免許の2種類だけでした。この時には車両総重量8tを境にして普通免許と大型免許を定義していました。2007年(平成19年)6月1日まで普通免許を取得された方の運転可能なトラックサイズは下記のとおりです。
車両総重量:8t未満
最大積載量:5t未満
乗車定員数:10人以下
高度成長期に定められた自動車免許制度は日本のインフラを作り上げるため、その中心となる物流・建設を大きく成長させなければなりませんでした。物流・建設に不可欠な大型車両のドライバーを多く養成する目的のほうが交通事故防止の目的よりも先走りしていたのでしょう。
時代とともにその不具合を是正するためにトラックを運転できる運転免許の基準は変わっていきます。
・2007年(H19)6/2から2017年(H29)3/11までに取得した普通免許で運転できるトラック
普通免許の改正が2007年(H19)6/2に行われ、中型免許が創設されました。免許区分は大型免許・中型免許・普通免許の3種類となりました。交通量の増大から自動車事故が増えたことによる対応でした。
交通死亡事故の大半は貨物自動車で、その内訳は普通免許の上限に近い(車両総重量5~8t)と大型自動車の特に車両総重量 11t以上が占めていました。そしてその理由は交通量の増大ばかりではなく、ドライバーの運転技術や知識の足りなさによるものだったのです。
この10年後に再び自動車運転免許制度は見直されます。それまでの10年間に普通免許を取得された方の運転可能なトラックサイズは下記のとおりです。
車両総重量:5t未満
最大積載量:3t未満
乗車定員数:10人以下
免許制度改正までのこの10年間に普通免許を取得された方は「5t限定準中型免許」と表示されています。
・2017年(H29)3/12以降に取得した普通免許で運転できるトラック
2017年(H29)3/12に免許制度が改正され、準中型免許が新設されました。準中型免許が道路交通法の改正により導入された経緯はドライバー不足解消が目的でした。
前回の道路交通法改正で導入された中型免許取得条件には20歳以上、経験2年以上の規定があり、そのことがドライバー不足の一因となっていました。これで免許区分は大型免許・中型免許・準中型免許・普通免許の4種類となりました。2017年(H29)3/12以降に取得した普通免許で運転できるトラックサイズは下記のとおりです。
車両総重量:3.5t未満
最大積載量:2t未満
乗車定員数:10人以下
また、2022年(R4)5/13には大型免許と中型免許の受験資格が見直しされました。『特例教習終了(36時限以上)、19歳以上、普通免許等保有1年以上』となっています。

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普通免許と準中型免許・中型免許・大型免許で運転可能なトラックの違い
これまでの変遷の中、現在にたどり着いた普通免許とその途中に生まれた準中型免許と中型免許、そして大型免許で運転可能なトラックの違いを説明します。
・準中型免許で運転できるトラック
2017年(H29)3/12に改正された道路交通法で生まれた準中型免許は、その10年前に誕生した中型免許が20歳にならないと取得できないという不具合が原因で新設されたのです。
高校を卒業して物流・建設業界などに飛び込んできた若者たちにサイズの大きなトラックの運転はできなかったのです。これに対して物流・建設業界を中心とした産業界の声は大きく、10年後の改正に至ったのです。この準中型免許の取得条件は満18歳以上の年齢であれば、普通免許を持っていなくても取得できます。
車両サイズは車両総重量3.5~7.5t未満、最大積載量2~4.5t未満、乗車定員数10人以下です。
・中型免許で運転できるトラック
中型免許は2007年(H19)6/2の道路交通法改正時に誕生しました。取得条件は厳しく満年齢20歳以上、普通免許の保有期間2年以上となっていました。この取得条件は2022年に大型免許とともに緩和されています。それまでの免許制度では普通免許と大型免許の2種類のみ、ある意味おおらかな免許制度でした。
しかし、大型トラックおよび普通免許での上限に近いトラック(車両総重量5~8t)の事故が多く、この中型免許が生まれたのです。ところが取得条件の満年齢20歳以上、普通免許の保有期間2年以上という厳しさは高校を卒業した若者たちの中型車両以上のトラックの運転を10年間も阻んだのです。
中型免許で運転できる車両サイズは車両総重量7.5~11t未満、最大積載量4.5~6.5t未満、乗車定員数11人~29人以下です。大型免許に次いで運転できる車両の種類が多いのが中型免許です。
・大型免許で運転できるトラック
大型トラック・バス、トラクターなどの運転に必要な免許です。大型免許で運転できる車両サイズは車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上、乗車定員数30人以上です。
この積載量はトラック荷台の形状・装備で大きく違います。形状には最も一般的な平ボディから始まりバンボディ、ウイングボディ、冷凍冷蔵車、ダンプ、タンクローリーなどがあり、その装備によってトラック1台ごとの積載量に大きな開きがあります。
免許取得条件は各サイズの車両の中でも大型免許が一番厳しいものでしたが、2022年(R4)5/13の道路交通法改正で中型免許とともに見直し(緩和)されています。未成年者には門戸を閉ざしていた大型・中型免許でしたが、改正後は『特別な教習を修了した者、19歳以上かつ普通免許等保有1年以上』と、36時限の適正・技能までを含められた教習の後に19歳で受験が認められるようになりました。
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普通免許の区分外のトラックを運転するとどうなる?
普通免許の区分外のトラックを運転すれば『無免許運転』になってしまいます。無免許運転に科される罰則等は非常に厳しいものです。
・違反点数25点
・2年以上の免許取消し
・3年以下の懲役または50万円以下の罰金
以上の処分が待っています。
しかし、2017年(H29)3/11までに普通免許を取得した場合、違反を犯した車両区分によっては『無免許運転』ではなく『免許条件違反』となります。運転免許には安全運転のために必要な『免許条件』が定められていますが、免許条件に従わず誤って車両を運転した場合は『免許条件違反』です。この『免許条件違反』の罰則は違反点数2点のみであり、『無免許運転』と較べると軽いです。
2017年(H29)3/12の道路交通法改正前の普通免許では車両総重量5t未満、最大積載量3t未満、乗車定員10名以下の車両を運転することが可能でした。それが改正後、普通免許で運転できる車両は、車両総重量3.5トン未満、最大積載量2トン未満、乗車定員10人以下に変更されました。
これに加えて新設された準中型免許は車両総重量3.5トン以上7.5トン未満、最大積載量2トン以上4.5トン未満、乗車定員10人以下の車両を運転できます。2017年以前に取得した普通免許で免許条件改正後の準中型免許で定められている車両を運転した場合が『免許条件違反』に当たります。
2回の改正によって変更された運転可能範囲は勘違いしやすいため、実際運転する際に不明・不安がある場合には運転免許所センターや警察署で確認を取ってください。

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普通免許で運転できないトラックに乗るためにはどうすればいい?
普通免許で運転できないトラックに乗るためには上位の免許取得を目指してください。普通免許取得時に認められている大きさ以上のトラックに乗るためには準中型トラック、中型トラック、大型トラックそれぞれの免許取得が必要です。ここからは、各サイズのトラックの免許取得情報について説明します。
・通学による免許の取得
普通自動車免許の取得方法と同じで、教習所を利用して通学による免許の取得が可能です。教習所を利用しての通学による免許取得のメリットは、ご自身のペースで学科受講や実技講習の受講が可能なことです。お休みの日や空き時間を有効活用して着実に免許を取得できます。
受講時間や学科時間を自由に組むことができるので、毎日受講することで早く免許取得することも可能です。しかし、通学の場合には教習所の繁忙期には受講時間や学科時間を自由に組むことができない場合もありますので、短期間で取得したい方は教習所に余裕のある閑散期に通学できるようにスケジュールを組み立てる必要があります。通学による免許の取得であれば、普通免許証を教習所で取得した経験を持つ人であるならば、やり方は変わりません。
免許証取得時に教習所に通ったことを思い出して取り組まれれば、特に問題なく免許取得が可能でしょう。
・合宿による免許の取得
普通免許取得時と同様に、合宿による免許の取得方法もあります。民宿や旅館などと提携した地方の教習所で学科受講および実技講習の受講を行います。短期間での取得を目指す方に大きなメリットがあるのがこの合宿による免許取得です。
泊まり込みで、1日可能な限り学科受講や実技講習の受講を行うことによって2週間程度で免許取得が可能です。2週間泊まり込みという時間が確保できないと、合宿による免許取得に参加できないというデメリットはあるものの、短期間での免許取得が可能なことは大きなメリットです。2週間、プライベートな時間を持ち込めない経験もたまにはいいかもしれません。
合宿による免許取得の場合、連日の学科講習、技能講習が続くため前回の受講内容を忘れてしまうようなことはありません。
どこの合宿でも完全予約制で、無駄のない講習が続き、かかる費用も安価で参加することが可能です。
運転免許の取得にかかる費用相場
続いて、各サイズのトラック運転免許の取得にかかる目安としての費用相場をお伝えします。取得時に詳細は教習所等にご確認ください。
・準中型自動車免許の取得にかかる費用相場
取得の方法は普通自動車免許の取得方法と同じで、教習所等利用もしくは検定試験の一発受験方法があります。教習所での準中型免許取得の費用の目安は通学での場合35万円くらいから、合宿教習で30万円台くらいからですが、地域や時期(繁忙期・閑散期)によっての違いもありますので、ぜひご自身で調べてみてください。
全日本トラック協会では準中型免許の新規取得と5t限定準中型免許の限定解除のための助成事業を行っていますので、都道府県の各トラック協会窓口でこれも調べてみてください。
『令和6年度若年ドライバー確保のための運転免許取得支援助成事業』
※一般社団法人 東京都トラック協会
・中型自動車免許の取得にかかる費用相場
普通免許を取得していれば教習所通学の場合は10万円台~20万円台、合宿は10万円台ほどとなりますが、こちらも地域や時期(繁忙期・閑散期)によっての違いもありますので、ぜひご自身で調べてみてください。
取得の方法は準中型免許の取得方法と同じで、教習所利用もしくは検定試験の一発受験方法があります。一発受験は一度で合格できれば数万円の費用で免許を取得できますが、必要で取得する免許であれば、確実な方法を選びたいところです。
・大型自動車免許の取得にかかる費用相場
普通免許(MT)を取得していれば通学の場合は30万円台~40万円台、合宿は20万円台~30万円台ほどとなりますが、こちらも地域や時期(繁忙期・閑散期)によっての違いもありますので、ぜひ自身で調べてみてください。
費用に関してはハローワークによる「教育訓練給付金制度」を利用するのはいかがでしょうか。助成金には10万円という上限額がありますが、免許取得などにかかった費用の20%相当が支給されます。安くはない費用を少しでもまかなってください。
運転免許を取得する条件
各サイズのトラックの免許取得にはそれぞれ条件があります。必要な運転免許を取得する条件をよくご確認ください。
・準中型免許を取得する条件
準中型免許を取得する条件は、年齢が18歳(修了検定受験時)、身体的能力として視力は片目で0.5以上、両目で0.8以上、色の識別も必要です。
また、聴力では10m先の警音器の音の聞き分けが必要です。
・中型免許を取得する条件
中型免許を取得する条件は、2022年(R4)5/13の見直しで『特例教習終了(36時限以上)、年齢19歳以上、普通免許等保有1年以上』となっています。身体的能力として視力は片目で0.5以上、両目で0.8以上、色の識別も必要です。
また、聴力では10m先の警音器の音の聞き分けが必要です。準中型免許の取得条件と同じです。
・大型免許を取得する条件
大型免許を取得する条件は、2022年(R4)5/13に大型免許と中型免許の受験資格が見直しされ、大型免許の取得条件の年齢等は『特例教習終了(36時限以上)、年齢19歳以上、普通免許等保有1年以上』となっています。
身体的能力の視力・聴力も同様です。視力は片目で0.5以上、両目で0.8以上、色の識別も必要です。
また、聴力では10m先の警音器の音の聞き分けが必要です。
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まとめ
交通事故をなくし安全な社会を作るために多くのルールがあります。私たちはそのルールを守りトラックを運転して日々の業務を遂行しなければなりません。今回説明させていただいたトラックの運転免許が複雑なのは私たちの日常生活を成り立たせるためにトラックでの輸送が不可欠だからです。
今回の普通免許で運転できるトラックの種類をよくご理解いただいて、今後の業務に役立ててください。
トラックファイブは『豆知識』でこれからも皆さまにさまざまな情報をお届けしていきます。
