トラックのAT化が止まらない!? 構造が複雑なギアのトラブルはこれで解決!

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はじめに

大型トラックやバスにはマニュアルトランスミッション(MT車)が多い理由をご存じでしょうか。「車両総重量」「積載の増減による重量差」「廃車までに走る距離」などの理由があげられます。

総重量はブレーキの効きを悪くしてしまいます。元々AT車のエンジンブレーキの効きは強くありません。積載時と空車時での積載量によって走り方が変わります。乗用車のようにシフトチェンジプログラムを一定のエンジン回転数や速度などで組まれていると、トラックでは加速が鈍ったり、トルクコンバーターが滑ってしまいます。そして廃車までの走行距離は各部品の寿命に関係してきます。

AT車のトランスミッションの構造は複雑なため、廃車までの長い使用期間中に故障してしまうと部品の交換だけでは済まず、トランスミッション自体の交換が必要になり高いランニングコストとなってしまいます。

そんな事情もありますが、近年ではドライバー人材獲得のためにトラック・バスのオートマチック車(AT車)が増加しています。そして、そんなオートマ車で時折「ギアが入らない」といったトラブルが発生することがあります。

今回の『豆知識』では、オートマ車(AT)でギアが入らなくなる理由や対処法を解説いたします。

 

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オートマ車(AT)でギアが入らなくなる理由

オートマ車(AT)のトランスミッションは比較的故障の少ない部品ですが、長い走行距離が原因となって部品の経年劣化による故障が起きる場合があります。

トランスミッション内部の部品や関連部品は、経年劣化により摩耗や破損が起きてしまうのです。しかし、中にはトラックの安全確保が原因となってギアが入らなくなってしまう時もあります。

かつてのマニュアル車(MT)は比較的わかりやすいエンジンとトランスミッションの仕組みでしたが、オートマ車(AT)は複雑になっています。

この先AIがトラックの操作に入り込むことで、ますます簡単に便利になっていきますが、かたや複雑に進化していく機器部品等は、専門の知識を持った整備士でなければ故障や不具合の対処が難しくなっていくでしょう。


・関連部品が故障している

ミッションに関連している部品が経年劣化等によって故障している場合があります。シフトロックソレノイド(シフトレバーのロックを解除する部品)の故障もそれに当たります。

ブレーキからの指示信号をシフトロックソレノイドが受けなければギアを動かすことはできないのです。電気系統の故障もあれば、シフトロックソレノイド自体の故障もあります。


・ATフルード(AT専用ミッションオイル)の劣化による

ミッション内部の部品類の経年劣化とともにミッションオイル(ATF)の劣化がギアを入れにくくする原因になることもあります。

AT車のトランスミッションは故障が少ない部品ですが、経年劣化に勝つことはできません。トラックの走行距離とともにギアやクラッチ盤が削れ、トランスミッション内のミッションオイルにはスラッジ(鉄粉)が溜まり、ギアが動きにくくなってしまいます。


・電気系統が故障している

トラックには多くの部品があり、その連携によって走行を可能にしています。そして、その部品の連携は電気が行っています。

その電気系統に故障が起きてしまうとギアも作動しなくなる可能性がありますので、最終的にギアが入らない場合に疑うべきポイントとなってきます。

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オートマ車(AT)でギアが入らなくなったときの対処法

上記のようにさまざまな理由でオートマ車(AT)のギアが入らなくなる場合があります。仕事中にそんなアクシデントにあったら、なんとか応急処置を考えたくなるでしょう。

しかし、一般のドライバーが複雑なトランスミッションの修理を行うのは荷が重すぎるかもしれません。

専門家である整備士に託すことが一番の対処法です。


・トランスミッションオイルを交換する

車検や定期点検など定期的に交換を行っているでしょうから、このトランスミッションオイルがギアの入らない原因なら整備不良である可能性が高いです。

汚れた油を抜いたあと、洗浄して新しいオイルを入れてください。


・電気系統の点検と部品を交換する

電気系統の点検、トランスミッション内やトランスミッション関係の部品の交換は、ディーラーや整備工場の整備士に任せるしかありません。

一般のドライバーでは困難な点検、交換整備となります。


・整備工場やディーラーに修理を依頼する

不具合を感じたら、早めにディーラーや整備工場の整備士に見てもらい、本格的な故障になる前に修理を依頼してください。

早めに手を打たないとトランスミッションをまるごと交換しないといけない、という状態になってしまいます。

 

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トラックのオートマ車(AT)の今後

ドライバー不足と運送業界の2024年問題解決のために、今後トラックのオートマ車に注目が集まっています。

「だれでもトラック」というキャッチコピーがつく、いすゞのエルフミオは今夏に販売を開始した普通免許で誰もが運転しやすい小型ディーゼルトラックです。もちろんAT車も設定されており、普通免許AT限定でも運転できます。

そして、2027年にはトラック・バスの大型車にAT限定免許を導入すると、今年(2024年)4月に警察庁が発表しました。準中型と中型のAT限定免許は2026年4月、大型は2027年4月の道交法改正により施行されます。

大型車にもATが普及しつつある現状に反して、免許は運転操作がより複雑なMT車向けに限られることによって人材確保のハードルの一つとなっていました。

ドライバーの裾野を広げ、物流業界などの人手不足を軽減させることが目的の道路交通法改正です。

この先、物流業界でもトラックのAT車がますます増えていくでしょう。

 

まとめ

ギアが入らなくなってもあわてず対処してください。

まずは安全な側道などに停車して、ハザードランプ・三角停止板を表示してニュートラルに入れることができるかを確認してください。

無理な作動は、軽度の故障を本格的なものにしてしまう可能性があります。なるべく自走せずに、会社またはご自身で決めているロードサービス、もしくはディーラーをご利用ください。

比較的故障の少ないトランスミッションですが、日頃の点検・整備を大切にして日々の安全走行に努めてください。

トラックファイブは『豆知識』でこれからも皆様にさまざまな情報をお届けします。


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