クレーンの吊り上げ荷重と定格荷重は何が違うの?
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クレーンの荷重
吊り上げ荷重とは?
クレーンの荷重にはいくつか種類があります。
安全に荷を吊り上げて移動するためにとても大切な荷重です。
その中で「吊り上げ荷重」はクレーンが吊り上げることのできる最大の荷重のことを言います。
吊り上げ荷重とはフックなどの吊具を含めてクレーンが吊上げることができる最大の荷重であることが大切な点です。
言い換えてみればクレーンフックより下部で吊ることができる最大の荷重ということになります。
例をあげると、吊り上げ荷重が2.93tと記載されている天井クレーンの場合、吊り具の質量を含めて2.93tまで吊り上げられるということです。
移動式クレーンまたは拡幅式のクローラーを有する移動式クレーンの場合、この吊り上げ荷重はブーム(ジブ)の長さを最短にして、かつブーム(ジブ)の傾斜角度を最大にし、アウトリガーを最大に張り出した状態で測定する荷重と、厚生労働省で定めています。
なお、後述する定格総荷重の最大値と、吊り上げ荷重の値は同じになります。
定格荷重とは?
定格荷重とは、クレーンの条件に応じて吊り上げることのできる吊具の重量を除いた荷重のことを言います。
別の言い方をすれば定格荷重はブームの長さやクレーンの傾斜角等の条件によって変化する「クレーンが吊り上げることができる最大の荷重」を指し、傾斜角が少なく、長さを伸ばすほどその荷重は小さくなります。
そして、移動式クレーンや拡幅式のクローラーの場合は、アウトリガーまたはクローラーを最大限に張り出した状態で、定格荷重内に納めることが必要です。
※クレーン等安全規則第70条の5
「事業者は、アウトリガーを有する移動式クレーン又は拡幅式のクローラーを有する移動式クレーンを用いて作業を行うときは、当該アウトリガー又はクローラーを最大限に張り出さなければならない。」
吊り上げ荷重と違い、フックなどの吊具の重量を差し引いた重量であるために、実際に吊り上げることができる荷重といえます。
傾斜角が低くなり、ブームを伸ばすほど、吊り上げられる重さは小さくなります。
定格総荷重とは?
定格総荷重も定格荷重と同じようにブームの長さやクレーンの傾斜角等の条件によって変化する荷重を指します。
しかし、定格荷重とは異なり吊具の重量も含んだ荷重が定格総荷重です。
定格総荷重は吊具を含むため、より正確な荷重を知ることができます。
また、クレーンに負荷させることができる最大の荷重である定格総荷重の最大値と、吊り上げ荷重の値は同じになります。
ちなみに、クレーンの製品情報では、吊具の重さを含まない定格荷重で表記されることが一般的です。
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〇トンクレーンという表記
〇トンクレーンは〇トン吊れない?
クレーンの表記である「トンクレーン」は、クレーンの能力を示す用語です。
しかしながら「〇トンクレーン」という表記は定格総荷重の最大値を指しているため、フックやワイヤなどの吊り具の重量も含まれています。
そのために表記通りの「〇トン」の荷を吊ることは出来ません。
クレーンの荷重で使う用語
ブーム
クレーンのブームは機能を果たすためには必要不可欠なものです。
ブームは移動式クレーンや拡幅式のクローラーの場合、クレーン車上部本体に取り付けられているクレーンの腕部分です。
ブームは、上下動や伸縮、旋回することで、荷を吊った際の作業半径や高さを確保します。
また、ブームはジブとも呼ばれています。
アウトリガー
アウトリガーはトラッククレーンなどに装備されて、吊り荷の荷重による転倒を防止する装置です。
左右に広く張り出したシリンダーの先から、地面に腕立て伏せをするように車体を支える油圧シリンダーが伸びます。
2つのシリンダーの力によって地面に接地し固定するのです。
なお、アウトリガーはクレーン車だけのものではなく高所作業車やコンクリートポンプ車など車体上部において荷重がかかるトラックに装備されています。
作業半径
トラッククレーンなどの作業半径は、クレーンを旋回した際の中心部分からブーム先端にあるフックの中心部分までの距離になります。
この距離は、作業によってブームを高く上げれば作業半径は小さくなり、ブームを下ろせば作業半径は大きくなります。
また、ブームの角度を一番低くして、ブームを最も伸ばした作業半径を「最大作業半径」と呼びます。
作業半径内は立ち入り禁止の危険場所となります。
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クレーンで規定以上の重さを吊ることは可能か?
クレーンは、定格荷重を越える荷重のものを吊上げてはいけませんが、そのルールは安全を第一に考えられており、実際には規定された以上の能力を持っています。
やむを得ない事情のある場合に限り、定格荷重を越えて使用することができます。
そのためには一定の条件をクリアする必要があります。
3年間の記録保管義務
定格荷重以上の重さの荷を吊るための条件として、まずは「クレーン特例報告書」を所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。
そしてあらかじめ「クレーン等安全規則」第6条第3項に規定されている荷重試験を 行ない、異常がないことを確認しなければなりません。
そして上限は、定格荷重×1.25倍、吊り荷重が200トンを超える場合は、プラス50トンまでと決められています。
実際の作業時には作業指揮者を指名して、その作業指揮者による直接指揮のもとで作業を行わなければなりません。
そしてこれらの記録は3年間の保存義務があります。
ただし、本来は定格荷重をこえての作業はできません。
本当にイレギュラーな単発での作業の場合の特例です。
まとめ
クレーン作業は簡単なように見えて、実は非常に奥が深く危険が伴う作業です。
十分に関連の法規を熟知し、クレーンの機能を認識してください。
実際にクレーンを使用する際は、吊り上げ荷重のみならず、定格荷重・定格総荷重についても確認して作業に当たることが重要です。
事故の無い、安心安全のなかでクレーン作業に当たってください。
トラックファイブは『豆知識』でこれからも皆様にさまざまな情報をお届けします。
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