Nシステムとオービスはどう違う?設置場所や目的を解説
一般道や高速道路の走行中に道路の脇や頭上にあるカメラが気になったことがありませんか。
多くの方がそのカメラをNシステムやオービスであることをご存じだと思います。
Nシステムとオービスはそれぞれ警察が所轄しており、その利用目的が違います。
今回の『豆知識』でそれぞれのシステム利用目的を正しくご理解・再認識をしていただき心にゆとりを持って運転していただきたく思います。
そして、これからの安全運転に役立てていただきたく思っています。
目次
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Nシステムとは
Nシステムとは、走行中の自動車のナンバープレートを自動的に読み取るシステムです。
このNシステムの主たる目的は速度違反を取り締まるための撮影を行うオービスとは違います。
警察庁と都道府県警察が管理しており、「車両捜査支援システム」とも呼ばれ、警察が犯罪捜査や手配車両の追跡に利用しています。
映画やテレビドラマで警察が逃走犯をカメラで追っているあのシステムがこのNシステムです。
Nシステムは、正式名称を自動車ナンバー自動読取装置と言います。
ナンバーの頭文字(Number)から名付けられました。
2015年5月時点で、全国に1690台(警察庁1511台、都道府県179台)が設置されているとされているようです。
古い数字ですが、警察による年度ごとの設置台数の公表は無く、Nシステムの存在が初めて公となったのは、2015年6月にあった国会衆議院法務委員会において警察庁刑事局長が参考人として答弁した数字です。
ここで「2015年5月末日現在、警察庁が設置している自動車ナンバー自動読取装置いわゆるNシステムの設置台数は1,511式」と公表しました。
そして、高性能カメラを搭載したNシステムは、通過した車両のナンバーだけでなく、車種や色、運転者や同乗者の顔も撮影しています。
撮影されたデータは、一定期間(30年間)保存されており、もちろん後検索も可能です。
Nシステムは、速度違反の取り締まりを目的としたオービスとは異なります。
オービスは、速度超過した車両に対して発光しますが、Nシステムは赤外線カメラを用いているため、目に見えない光で撮影します。また、オービスには事前に警告がありますが、Nシステムにはほとんどありません。
・Nシステムのデータは蓄積されるの?
警察が犯罪捜査や手配車両の追跡を目的とするNシステムのデータは蓄積されています。
Nシステムの写真撮影範囲は広く、路肩までの写真を記録として残します。
撮影されたデータは、一定期間(30年間)保存されており、後検索も可能であるとの情報はありますが、撮影写真はすべてデータであり、以前のフィルム写真とは違い永久保存することも可能でしょう。
オービスの主たる目的であるスピード違反の取り締まりとは違い、犯罪捜査目的のNシステムにおいてはそのデータが将来的な犯罪での参考資料ともなり得るのでかなりの期間にまで及んで蓄積されることでしょう。
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Nシステムとオービスの違い
所管は同じ警察庁、そして都道府県警となりますが、犯罪捜査や手配車両の追跡を主たる目的とするNシステムとスピード違反の取り締まりを主たる目的とするオービスの違いを考えると所管は同じ警察であっても、警察のなかで捜査担当と交通担当に分かれるかも知れません。
それぞれNシステムとオービスの主たる目的と設備の特徴によって設置場所や設置方法に違いがあります。
・Nシステムとオービスの使用目的の違い
まずは、この二つのシステムはスタートから違います。
歴史が早いのはオービスです。
オービスはボーイング社の商標で1976年に商社によって警視庁に持ち込まれて、
『速度違反自動取締装置』として採用されました。
Nシステムは1980年代後半に、科学警察研究所から出たアイデアでNECと合同で『自動車ナンバー自動読取装置』として開発されています。
そしてそれぞれは同一所轄官庁にありながら縦割り組織のその中の役割分担から使用目的の違いが出てきます。
Nシステムはすべての通過する車両を対象しており、撮影時には点滅することはなく、ドライバーは撮影の瞬間を気付くことはできません。
盗難車や、違法車両や逃走車を以前では検問でつかまえていたものを、検問を行うより早くその所在をつかむことができるようになりました。
可搬式Nシステムができてからはそれまでは対応できなかった細い道までも対象区間とできるようになりました。
現在では対応範囲を広げて、自動車登録情報などを管理しているMOTAS(自動車登録検査業務電子情報処理システム)に即時照会し、車検切れ車両の把握まで対応できるようになっています。
・Nシステムはオービスのように光る?光らない?
では、このNシステムとオービスを見分けることはできるのでしょうか。
一般道、高速道路で頭上や側面に設置されているこの二つの設備はよく見ていると気がつくのですが、事前に予告看板があったり、オービスには撮影時に赤もしくは白い光を発します。
それに対してNシステムは発光すること無く撮影を行っています。
これは赤外線カメラを使用しているからです。
発光するオービスと発光しないNシステム、これは大きな違いです。
Nシステムの設置場所
Nシステムの設置場所はその主たる目的である犯罪捜査や手配車両の追跡に利用するために最適な場所を選んでいます。
逃走経路となりやすい一般国道や高速道路などの重要幹線沿いや高速道路のインターチェンジ、それから県境、市境の道路、空港周辺道や、原子力発電所付近などに設置されています。
そして、以前は前方よりの撮影が主で後方からの撮影が出来ないためにオートバイのナンバーにはNシステムは対応できないとされてきましたが、現在では後方よりの撮影の対応もあり必ずしもオートバイには対応しないことはなくなっています。
Nシステムは世の中の交通事情に合わせて犯罪捜査や手配車両の追跡のために設置場所を移動しながらNシステムで可能な他の能力を活かして新たな役割も果たしています。
・可搬式Nシステムによる車検切れの摘発
Nシステムの主たる仕事は犯罪捜査や手配車両の追跡ですが、通行する全車両のナンバーの撮影が可能なことから車検切れ車両の摘発も行っています。
車検切れで公道を通行している車両は驚くほど多いです。
道路運送車両法により無車検で公道を走ることが禁止されていますが、約20万台もの車両が日本国内を走っていると言われています。
無車検ということは自賠責保険に入っていないということで事故を起こした際の最低の補償も出来ないのです。
可搬式のNシステムを使って車検切れの摘発を行うようになっています。
撮影された写真でナンバーと車検切れ車両のデータとを瞬時に照合し、その場で摘発されます。
ちなみに車検切れ車両は公道を走れませんから、そのままレッカー移動されることとなります。
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Nシステムで速度違反で捕まることはない?
Nシステムによって速度違反を理由に捕まることはないのでしょうか。
原則的にNシステムは、速度違反を取り締まる機能に特化していないため、スピード違反の車両が捕まることはありません。
しかしながら、物理的には連続撮影やA地点のNシステムとB地点のNシステム双方の記録から速度を割り出すことは可能でしょう。
そして、Nシステムを目にしたドライバーに赤く点灯しなくオービスではないと安心させておいて、その先にパトカーや白バイが待っていてネズミ捕りをしているケースは少なくないようです。
人間の心理を利用したズルいやり方のように思いますが基本的には交通ルールは守って当然のことです。
オービスではないから大丈夫だとの考え方に間違いがあるでしょう。
Nシステムによって速度違反を理由に捕まることはないかも知れませんが、Nシステムを利用してのネズミ捕りの可能性はあるでしょう。
まとめ
SFの世界のような社会に向かっているようです。
システムを組み替えるだけのことでいずれはオービスも、いや日本全国に設置されている監視カメラのすべてが一極に集中されて管理されていく社会が来ないとも限りません。
民主主義のこの日本ではどこかの国のようなそんなことがあって欲しくはありません。
とりあえず私たちが今、大切にしなければならないのは交通ルールの順守です。
Nシステムやオービスを目にしたからと言ってスピードを落とすのではなく、いつも余裕を持って法定スピードで走りたいものです。
法定速度、安全ルールを守ることは国民私たち全員のルールです。
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